気付くと銭湯は、そっと消えている。
世の中には、たぶん2つの変化がある。
ひとつは、ある時点をきっかけにパッと起こる変化。
もうひとつは、ある一定の時間をかけてじわじわと進む変化。
札幌の銭湯における変化は、まさに後者のひとつ。
この 20 年で、およそ 100 軒の銭湯が、静かに姿を消した。
1999 年に 143 軒あった銭湯が、2019 年 3 月時点で 39 軒にまで減ってしまったのだ。
じわじわというには、ちょっと劇的な変化にも思えるけれど、
とにかくこの変化の大切なところは、「人知れずに」進行している点に思えた。
そこで、僕たち新ど研は、考えた(というより思い立った、に近いですけど)。
銭湯のために、一肌ぬごうじゃないか、と。
これまで地域をあたためてくれた銭湯を、今度は僕らが沸かしてやろう、と。
試みは、とてもシンプル。銭湯に「学び」を加えてみる。
まちの銭湯をカルチャースクールにしよう、というアイデアです。
名前は『ふろカル』。
準備は急ピッチで進みました。
だって、のんびりしていると、
銭湯は音もなくそっと消えてしまうかもしれないから。
ふろカル、はじまる。
第1回目のふろカルは、4 月 7 日(日)。
札幌市北区にある福の湯さんで開催しました。
男湯と女湯のしきりが可動式のパテーションになっていて、
とりはずすとずいぶん広い脱衣所に。
講師は ARAMAKI というものづくりのユニット。
ふつうは廃材にもなってしまうシャケの空き箱をつかって、
家具や楽器、アクセサリーから神棚まで作ってしまう、
宮大工の村上さんと楽器職人の鹿川さんのお二人です。
準備風景。
銭湯があっというまに作品展示会場に。
靴箱の木札も、講演台も講師のお二人がその場でつくってしまった。
講義風景。
まずは、銭湯の実態を新ど研から。演台に、脱衣所のかごを使ってみました。
(写真が筆者。)
そして、ARAMAKI のお話。
生徒さんの質問や意見を聞きながら、
じっくりものづくりへの思いを掘り下げていく。
ふたりの共通点は、U ターン組であること。
一度北海道の外に出たことで、シャケ箱という素材を
「発見」する視点が生まれた。
最後に、福の湯の小西さんから銭湯の正しい入り方講座。
しめくくりは、みんなでいちばん風呂!
開店前の時間から入浴をはじめて、
途中からは地元の方といっしょに裸のおつきあいを楽しみました。
しあわせは、近所で生まれる。
地域の活性化を、ごくごく小さい単位から考えてみる。
そこに暮らす人の、生活実感や身体感覚に近いところから
まちを元気にできないだろうか。そんな仮説をもとに、
新ど研はふろカルをはじめました。
取り組みとしては、非常にささやかですが、
じわじわと新しい変化の潮流をつくりたいと思っています。
しあわせってたぶん、近所にこそゴロゴロ眠っていそうな気がするので。
ふろカルは今後、6 月と 8 月に開催予定。
詳しくは HP でお知らせいたしますので、どうぞご期待ください。
http://www.fulocal.net
クリエイティブ・プラニング局
クリエイティブディレクター
営業局
北海道に移住し、マーケティング×人事×広告を掛け合わせておもろい事を考える人です。
海が大好き。夏になると黒くなるのが特徴。