Local.Biz https://local-biz.jp 日本の未来を、ローカルからつくる。 Mon, 13 Dec 2021 01:41:41 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.8.7 Local Good.Biz…Vol,1 岩手県の福祉実験ユニット ヘラルボニーと東北博報堂 ロッケンによる「GRAM PROJECT(グラムプロジェクト)」って何だろう? https://local-biz.jp/news/4515 Tue, 28 Jul 2020 10:25:15 +0000 https://local-biz.jp/?p=4515 ビジネスの枠組みがあっという間に変わっていく。そんな大変革の時代の中で、「社会常識そのものを変えていく」企業が、岩手で成長を続けています。大事だけどお金にならない。田舎ではそんなの無理だよ。そう言われてきたソーシャルビジネスは、いったいどのように生まれ、ローカルの険しいマネタイズロードを駆け抜けているのか?さらには、彼らが今猛スピードでギアを上げるコロナに対応した「GRAM PROJECT」とはどんなものなのか? Local.Biz編集長 鷹觜愛郎が、対談形式でインタビューしました。

左上:鷹觜 愛郎 株式会社博報堂クリエイティブセンターCD、株式会社東北博報堂ECD、Local.Biz編集長

右上:栗原 渉 株式会社東北博報堂MD戦略センター メディア&ビジネス開発局開発グループ ディレクター、ロッケン(東北6県研究所)メンバー

左下:松田 崇弥 株式会社ヘラルボニー代表取締役社長。チーフ・エグゼクティブ・オフィサー。小山薫堂率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズ、プランナーを経て独立。異彩を、放て。をミッションに掲げる福祉実験ユニットを通じて、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。

右下:松田 文登 株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコン会社で被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共にへラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネジメント担当。

 

知的障害のあるアーティストの作品を「支援」や「貢献」ではなく、「リスペクト」してほしい

鷹觜:はじめまして。きっとこの記事を読んでくださる人は、まだヘラルボニーの活動を知らないと思います。まずは、お二人が立ち上げた事業の内容を教えていただけますか?

文登:株式会社ヘラルボニーは、異彩を、放て。をミッションに掲げる福祉実験ユニットです。大きく分けて3つの事業があり、まず1つ目は原画の複製画事業、2つ目はライセンス事業、3つ目がアパレル事業です。アートに特化した福祉施設が日本全国に約200団体あり、その中の約20団体の社会福祉法人とライセンス契約を結び、アート作品を高解像度データで保有させていただいています。そして、アート作品を様々なモノやコト、場所に落とし込んでいます。

2015年から会社勤めをしながら副業でプロジェクトとして始めて、2018年の7月24日に法人化。今年の8月から3期目に突入します。

株式会社ヘラルボニーは、異彩を、放て。をミッションに掲げる福祉実験ユニット。双子の兄弟に自閉症の4つ上の兄がいたことから誕生。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。

 

鷹觜:アートに特化した福祉施設が日本に200もあるとは知らなかった。社会福祉法人とアートのライセンス契約を結ぶなんて、すごく魅力的なやり方ですね。そんなお2人がへラルボニーを始めたきっけは、どんな思いからだったのですか。

文登: 我々は双子の兄弟なのですが、4つ上の兄が自閉症だということがヘラルボニーを始めるきっかけとなりました。小さい頃から障害のある兄を「かわいそう」と言われる機会が多かったのですが、僕はかわいそうと思ったことはありません。自宅から一歩外に出た途端、「障害者」という枠の中で生きていることにずっと違和感を感じていました。

そんな時、弟の崇弥が障害のある方のアート作品を見て、ものすごく感動して電話をしてきたんです。調べてみると、障害のある方々のアート作品を「アートとして価値あるもの」としてではなく、「支援しよう」とか「貢献しよう」という意味で取り扱われていました。そこで、我々が障害のある方々のアート作品を「リスペクトする」という文脈に変えていきたいと思いました。

崇弥:才能というものは、人に披露して初めて才能になると思っています。プロデュース機能がない福祉施設に代わって、才能がある方々をきちんと世の中に広めていきたいのです。

 

アパレルブランド「HERALBONY」は日本の職人と組むというコンセプト

 

知的障害のあるアーティストが作品作りを行う様子

 

障害に関して課題を持っている人は多いが、社会にコミットしようという活動が今まであまり無かった

 鷹觜:心に響くお話ありがとうございます。そんなヘラルボニーと東北博報堂 ロッケンの出会いといいますか、連携はどのように生まれたのですか?

栗原:もともと東北博報堂に勤めていた丹野くんが、ヘラルボニーさんに転職したことがきっかけです。面白いことをしていると伺い、2019年仙台市主催のイベントで丹野くんに文登さんを紹介してもらいました。

自分の父も2015年に脳梗塞で倒れていてその時に残った障害で、理解や判断、記憶がうまくできない。そんな父とのコミュニケーションがもっと楽しく豊かにするにはどうしたら良いのかと常に考えていました。今まで感じていた課題の答えの一端に出会ったような気がして、「自分も何か一緒にやりたい」とお話ししました。障害に関して課題を持っている人は多いですが、社会にコミットしようという活動が今まであまり無かったと思います。

 

鷹觜: なるほど、社会にコミットしようという思いが繋がったのですね。では、今日の主題であるGRAM PROJECT(グラムプロジェクト)が立ち上がったきっかけや経緯をそろそろお聞きしたいと思います。

栗原:新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけでした。5月上旬に第1回目のブレスト会議が始まりました。メンバーは東北博報堂のロッケンから数名とヘラルボニーのお2人です。プロジェクト名はインスタグラムやピクトグラムのようにgram(グラム)の「〜を描く、表現する」という意味から名付けました。

 

GRAM PROJECT(グラムプロジェクト)のロゴ(アートディレクター・高橋鴻介)

 

福祉施設での新型コロナウイルス感染クラスター解決のため、ビジュアルコミュニケーションに注目

文登:その時期に千葉県の福祉施設で40名のクラスター、広島県で20名のクラスターが発生していました。福祉施設がクラスター化する要因になっているということで、Twitterなどで「福祉施設を閉鎖するべきだ」という声がたくさん上がっていました。

福祉施設は三密が避けられない空間。さらに、突然手洗いやうがいを強制されたことでパニックが起きて、手洗いやうがいがあまり実施されていない状況となっていました。

 

崇弥:知的障害があると、目に見えない新型コロナウイルスがいかに大変なものなのか認識してもらうことは、非常に難しいのです。手洗いやうがいをする「行動の習慣化」を促すために、ポスターを通じたビジュアルコミュニケーションを提供することに決めました。

自閉症の兄も言語的なコミュニケーションは非常にハードルが高いのですが、ビジュアルには強く反応します。子供の時から母親が自作で絵が書いてあるカードを作っていて、笑顔や悲しい顔、お風呂の絵が書いてあり、それを見せてコミュニケーションを取っていました。結構、活用している方は多いです。

 

リモートだからこそ、離れた場所でもスピード感をもってプロジェクトが進んだ

鷹觜:第1回目のリモート会議でプロジェクトのコアを決めた後、どのように進めていきましたか?

文登:まずは、メンバーを揃えました。Braille Neue(ブレイルノイエ)」という、最近WIREDイノベーションアワードを受賞したグラフィックデザイナーの高橋鴻介さんに参加してもらいました。彼は、目が見えない人のためだけだった点字の上にフォントを書き込むことによって、目が見えている人も見えていない人も同じように点字を読めるようにしました。彼も普段から懇意にしてくれていて、話をしたら興味があると言ってくれました。

崇弥:あと、エビデンスを確保するため、自閉症の専門家である岩手県の自閉症協会の小川博敬さんにもお声がけしました。

そこから全員で全体会議をする形になって、どうビジュアルを作っていくのか議論をしました。離れているメンバーがリアルに会うとなると、スケジュールが合わなくてスピート感を持って進められない。だけど、その頃は外出自粛期間で、みんな時間があり、ネット会議なら移動時間も0なので、猛スピードでプロジェクトが進んでいきました。

鷹觜:ポスターのデザインが決まるまで、どのくらいの時間で?

栗原:5月前半に行った約1時間の会議でプロジェクト内容が決まって、それから約2週間でポスターを制作。6月前半には実証試験を始めました。

鷹觜:そのスピード感はすごいですね!

崇弥:小川さんから、自閉症の方々は建物に取り付けられている「出口マーク」の前でずっと佇んでいる人がいたりして、「標識に惹きつけられているのではないか」という仮説を伺いました。また、アイドルやキャラクターが好きで、キャラクターの言うことだったら聞く場合がよくある。この、大きく2つの仮説をベースに、「標識」と「キャラクター」の2パターンでグラムを作ってみることにしました。

栗原:「きょうされん」という障害者施設を支援する団体の方々に協力していただき、検証をしていくことにしました。

 

手洗いやうがいを促進するポスター(上:標識、下:キャラクター)

 

施設全体が手洗いやうがいの習慣化を促すための行動に変わった

鷹觜: 実証試験で効果は出ていますか?

文登:まだ全てのパターンを実施していないのですが、効果は出ています。17人の支援者の方のうち、16人。残りの1人以外は手洗いをする回数が促進されたということでした。

崇弥:あまりにも結果が良すぎて、慌てているぐらいです(笑)。

ただ、ポスターを貼っただけでは、良い結果は出なかったと考えています。一番は施設の職員の人たちの意識が変わったことが大きいと思います。施設の職員の人たちがポスターを掲示することによって、「あっ、手洗いうがいさせないと!」と意識し始めました。それが、施設全体で習慣化を促すための行動に変わったのではないでしょうか。やってみてわかった発見であり、効果でした。

実際に福祉施設で実証試験を実施している様子

 

実証試験の結果。ベースライン期がポスターの導入前、介入後がポスターの導入後。

 

障害があるなし関係なくフラットに、本当の意味でのユニバーサルデザインへ

鷹觜:実証試験後の展開は決めているのですか?

崇弥:「手洗い・うがい」以外の行動も促せるようなビジュアルコミュニケーションのカード、「グラムカード」を開発したいです。そうすれば、特別支援学校やご家庭で手作りしているバラバラのものを、我々が基本として担うことができるかもしれません。

例えば、コンビニのプリペイドカードと、「歩く」というグラムカードを組み合わせることによって、1人で買い物行けるようになるとか。みんなが「お出かけデッキ」とか「学校デッキ」というような組み合わせを使って、一人で行動できるようになったら良いですよね。やっぱり、うちの家も兄は母親に依存していて、母親がいないと生きていけません。そんな母親の自由な時間を作り、障害を持つ方の行動や自由の幅を広げるカードになったら素敵ですよね。

栗原:冒頭で崇弥さんも言っていた手作りのカードでは、今までは施設側やご家族が伝えたい言葉でのみコミュニケーションがとられていないのではないか、という懸念点がありました。もしかしたら、そのことで覚えられる語彙の数が少なくなっているかもしれない。グラムカードの活用で語彙が増え、障害のある方々がもっと世界を広く見ることができて、豊かな生活を送れるようになってほしいです。

また、先ほどの話にもあった、家族や施設の方々のつきっきりのご負担を減らしてあげたいです。お兄さまにつきっきりになっている中で自由な時間が無く、心身ともにご負担があるかもしれないですよね。それを解決したいと思っています。まずは同じように課題を抱えている方にインタビューをして、それからプロダクト開発をする予定です。

文登:グラムカードがあることによって、一目でわかるビジュアルコミュニケーションが作れる。例えば、障害が関係のない1歳のお子さんも一目で分かるビジュアルコミュニケーションに発展すると思います。障害があるなし関係なくフラットに、本当の意味でのユニバーサルデザインになるのかもしれません。

 

ソーシャルグッドをビジネス化することで、社会へ広がっていく

鷹觜: 日本でのソーシャルグッドの難しいところは、ビジネス化する、活動への対価をしっかりいただくところにあると思います。ヘラルボニは、この壁をどのようにお考えですか?

崇弥:我々は株式会社ですし、きちんとビジネスとして成立させないと続けられません。正直、どのぐらい大きな商流に乗せられるのか、ハードルは高いと感じています。大企業の方と一緒にやらせていただいても、SDGsの予算を使うようになっていて、利益を出すような部署には相手にしてもらえていないです。ソーシャルグッドがきちんと利益を生むようなイメージの刷り込みが、まだできてないのが課題です。

栗原:そこで、我々東北博報堂がパートナーとして入って、マーケティングの部分、商品設計から流通までのアドバイザリーを担っていけたらと思っています。このグラムカードが世の中に流通するためのフレームをしっかり作っていきたい。ファーストカスタマーは、テスト導入をお願いしながら、効果を実感していただいた上で福祉施設を対象にローンチを目指していきます。

また、コロナの感染拡大を防止するためのグラムカードのポスターは、いますぐ無償でお配りするので、どんどん実証試験に参加していただきたいです。

(※無償提供に関しては、記事の最後にご案内しています。)

鷹觜:素晴らしい試みですね。必要としている施設やご家族が多いと思いますので、ぜひ使っていただければと思います。

話を戻しますが、ヘラルボニーの事業は、今後どのように拡大させていくイメージをお持ちでしょうか。

文登:今、盛岡のホテル事業をお手伝いすることが決まっています。今後、ダイバーシティーからクロスオーバーへ、岩手の既存の文化と我々のような新たな文化が混ざり合うことで、新たな価値が生まれる場所を作れると思います。実は、最近他にも再開発の話をいただいています。そういう企画コンセプトから空間までプロデュースし、原画複製やアパレルの事業へ派生する仕組みを作っていきたいと考えています。

 

地域初だからこその「応援する力」がファンをつくっていく

鷹觜:すごい!まちづくりのスタートから関わることができたら未来が一気に変わりますね。ご覧の皆様で連携できる構想をお持ちの人がいましたら、ヘラルボニーに声をかけていただけたらと思います。

ここで、少しLocal.Biz的な話もお聞きしたいのですが、岩手という地域から始められたことのメリット、デメリットを感じることはありますか。

文登:現在、ヘラルボニーは岩手と東京を拠点に活動しています。東京は渋谷の100BANCHという施設で活動していますが、たくさんのスタートアップ企業の方がいて、似たような会社は埋もれてしまいます。

でも、岩手には同じようなスタートアップの企業が他に無いので、いろいろな方々が面白がってくれています。例えばJR花巻駅の駅舎をラッピングするという新しい試みは、東京ではハードルが高かったと思います。まず、岩手からスタートして、東京へ広げていくというやり方はメリットの方が多かったと思います。

崇弥:それに、地域の「応援する力」はものすごいエネルギーになります。岩手県知事や県議会の方が我々のネクタイをよく締めてくださるのですが、政治の世界で応援してくださっているのはすごいことですよね。「甲子園で地元を応援する」というような、地方ならではの感覚があると思います。なので、我々は岩手の会社だという自負を持って活動していきたいです。

鷹觜:立ち上がりは大変かもしれないけど、地域で新しいことをやると心ある人が応援団になってくれて、ファンベースが生まれていく。栗原さんも応援団の1人ですよね?

栗原:そうです。もしかしたら、東京での活動であれば、今ほどの思い入れはないのかもしれません。同じ東北で、震災も含めて地域を見てきた経験や地域を愛する気持ちがあるからこそ、このような繋がりができたと思います。

岩手県にある花巻駅をラッピングしたプロジェクト

 

グラムカードが世界をつなぐ共通言語になっていくことを目指す

鷹觜:では、最後にこのグラムプロジェクトの今後に向けての抱負や想いをお伺いしたいと思います。

栗原:僕が目指すのは、知的障害の方とご家族の方がジョークを言いあったり、何気ない会話ができたりする世界をつくっていくこと。

直近はグラムカードの開発に取り組み、ゆくゆくはWebでみんなが組み合わせて言語を作り上げていったり、世界中の人たちが一緒にベースとなる新しい言語をつくっていったりするような活動を行なっていきたいです。

文登:僕としては、まず自閉症の兄にグラムカードを使ってもらいたいです。兄がこのカードを通じて活動の幅が広がり、1人で新しいことができるようになれば、他のみなさんもできると信じています。

日本だと知的障害のある方は約110万人、世界では2億人以上はいると言われています。もしかしたら、グラムカードが日本だけでなく、世界でも同じ共通言語になるのかもしれません。世界の障害のある方の活動の幅を広げていくカードにできたらいいですね。

崇弥:お2人からもありましたけど、何か新たな言語を生み出せると面白いですよね。今は、特別支援学校も知的障害のある方々のご家族もみんなバラバラのビジュアルコミュニケーションの中で生きています。障害の有無だけでなく、英語や日本語といった各国バラバラの言語をこのグラムカードが1本のラインとなり、共通言語として機能するかもしれません。新しい言語で共通認識を持って語り合えることが、新しい未来なのではないでしょうか。そこを目指して頑張っていきたいです。

鷹觜:世界共通のコミュニケーションプラットフォームが生まれるかも!日本語、英語のようなコトバの垣根がビジュアルにはない。「グラム・プラットフォーム」は、みんなにやさしい気持ちから始まっているから、パッと響く。これからの時代のスピード感がありますね。とても期待していますし、僕もサポーターになります!今日はありがとうございました。

 

 

グラムプロジェクト モニターの募集

今回、グラムプロジェクトのポスターを無償で配布させていただきます。下記からダウンロードしてください。また、効果検証のモニターにご協力ください。モニターの内容はフォームに状況をレポートしてもらう簡単なものです。

>>>ポスターダウンロードはこちら

モニターのお申し込みはヘラルボニーのお問い合わせからお願いいたします。

<問い合わせ先>

株式会社ヘラルボニー

社号|株式会社ヘラルボニー / HERALBONY Co.,Ltd.

所在地|岩手県花巻市東宮野目1地割2番地

役員|代表取締役社長 松田崇弥、代表取締役副社長 松田文登

問合せ先|heralbony.official@gmail.com

URL:http://www.heralbony.com

 

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〜静岡茶ガール、ローカル茶の秘密を探る〜 「20世紀最後の大ヒット商品?! 沖縄のさんぴん茶」 https://local-biz.jp/news/4497 Wed, 22 Jul 2020 09:46:02 +0000 https://local-biz.jp/?p=4497 みなさん、日頃からお茶を飲んでいますか?私たち「静岡茶ガール」は、お茶をもっと多くの人に楽しんでもらいたい…!そんな思いから静岡の茶業振興を目的として「静岡茶ガールプロジェクト」を立ち上げました。

静岡茶の魅力×広告会社の女子ならではの発想力でお茶の新商品や新サービスを開発しています。

(写真は、昨年11月にリリースした第二弾「静岡茶鍋」。県内で大きな話題となりました。)

詳しくはこちらhttp://www.shizuoka.hakuhodo.co.jp/creation/chagirl/

これまでも、お茶について学ぶために、県内・県外のお茶産業について勉強してきました。そんな中、株式会社アドスタッフ博報堂に、沖縄を代表する「さんぴん茶」の立ち上げ、商品化に関わった方がいるという情報を入手!早速、当時の話をインタビューに行ってきました。

(※伺ったのはコロナ禍による非常事態宣言前です)

 

 

―「さんぴん茶」、誕生秘話。

今回インタビューに答えてくださったのは株式会社アドスタッフ博報堂 上江洲安広さんです。

上江洲さんは、27年前に日本の飲料・食品メーカーの株式会社沖縄ポッカコーポレーション様(現ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社グループ企業)の営業担当でした。

まず私たちは、どのようにして「さんぴん茶」が生まれたのか、ルーツを探りました。

岩﨑:沖縄のお茶といったら「さんぴん茶」のイメージが強かったのですが、商品ができてまだ27年とお聞きして大変驚きました。「さんぴん茶」はどのようにして生まれたのですか?

上江洲さん:「さんぴん茶」は商品としてありませんでした。私が若い頃、サトウキビ畑に手伝いに行くと、休憩の際に急須に入った生温かい「さんぴん茶」を出してくれました。

茶葉自体はすごく安く、一般家庭では当たり前のように飲まれていました。なので、僕たちの世代は、商品はなかったけど、味そのものは馴染んでいました。

岩﨑:なるほど「さんぴん茶」は沖縄県民にとって日常の中にある馴染みある味だったのですね。では、どのようにしてヒット商品になったのですか?

上江洲さん:そうですね。さんぴん茶は商品化されると一気にヒットしたと思われがちなのですが、ヒットするのに5年もかかっているんです。

 

商品化のきっかけは、沖縄ポッカ様の代表者が「何か沖縄で売れる商品はないか」と悩み、悩みぬいて多くの商品を開発した中で生まれたのが さんぴん茶でした。そして、代表者自ら、沖縄県内のスーパーに商談しに行ったそうです。

ですが、最初は「あんたわかってないよ。さんぴん茶なんて飲まん。飲まん。」と言われてしまい、全く相手にされなかったそうです。

しかし、諦めずにチェーン展開するスーパー、コンビニではなく、地道に沖縄県の個人商店に一店一店足を運び「一つくらい置いて行くさ。」と販路を少しではありますが広げていきました。

また、空港のタクシー運転手さんにサンプリングを配ることで、タクシー内で観光客と「さんぴん茶」について会話が生まれ無料で宣伝効果になり、徐々にですが認知度も上げていきました。

そんな地道な交渉の甲斐あってか、最初断られていたスーパーからも「置いて欲しい」と要望が徐々に増えていき沖縄ポッカ様でも「さんぴん茶」は売れるのでは?と期待が膨らんできたそうです。

 

―さんぴん茶をめぐる意外なデータ

やっとの想いで販路を広げつつあった最中、上江洲さんたちに、「さんぴん茶」の市場調査の依頼がやってきました。

上江洲さん:実際に「さんぴん茶」の調査を進めていくと驚くべきことがたくさんわかりました。1つ目は、沖縄県は、「他の県と比べて清涼飲料を飲んでおり、お茶のニーズが高いこと」

2つ目は、沖縄県は、「日常的に飲まれていると思っていたさんぴん茶の知名度が低かったこと」です。

でも、「さんぴん茶を飲みたいですか?」と調査するといきなり上位にくるんですよ。なぜかというと、沖縄県民は地元愛が高く、沖縄の商品に興味があるんですよね。

だから、私たち広告会社としては「調査だけではなく、さんぴん茶を飲みたいという潜在意識が沖縄県民は高いから、もっと広めるために若い人たちに向けてコマーシャルを作りましょうよ。」と提案をしました。

 

―沖縄民謡コマソンで独自のブランドを確立

〜当時のCMを見せていただく〜

岩﨑:実際のCMには「さんぴん茶」の誕生秘話にもあったタクシーの運転手さんが出てきていましたね!

上江洲さん:そうなんです!沖縄ポッカ様の代表者がどれほど苦労されてきたか知っていたので作り手としてタクシーの運転手はどうしても入れたいと頼みました。完成したCMを見て代表者の方も喜んでくれて嬉しかったですね。

岩﨑:BGMの音楽は、オリジナルソングですか?

上江洲さん:良いところに気づいてくれました!ベースになる音楽は、「じんじん(蛍)」という沖縄童謡で、小学校で習い、沖縄県民は音としてとても馴染みがあるんです。

「さんぴん茶」をより親しんでもらうために「じんじん」を替え歌にしました。

他にも沖縄の伝統を意識して作ったポイントがあるんですよ。

CMの途中で「かばさんよ」という方言があるのですが、「香ばしいね」という意味なんです。「さんぴん茶」の特徴はジャスミン茶よりも強い香りなんです。方言を使うことで商品の特徴をポジティブに表現しています。

岩﨑:沖縄の伝統を入れることで、より早く地元の方に親しまれていったんですね!

その後のCMの反響はどうでしたか?

上江洲さん:チームみんなの頑張りの成果あってか、目標の2倍売れたんです。
勢いがあった飲料メーカーも追い上げるほどでした。皆が驚く、20世紀最大のヒット商品が生まれたというわけです。

よく言われるナンバーワンのセオリーで「マーケットを広くする」ということがあるのですが、

まさに「さんぴん茶」は沖縄県の清涼飲料自体のマーケットを広げていきました。

そして、他メーカーによる類似商品がたくさん売られ、さんぴん茶の棚の幅がどんどん広くなり、元祖である我々は常にナンバーワンを維持することができました。

岩﨑:すごいですね。最初に販路が広がらない時に諦めていたら、こんな大成功は起きなかった、、、と思うと感慨深いです。

 

―ナンバーワンブランドとして、沖縄愛を発信し続ける。

沖縄を代表する商品としてブランドを確立した「さんぴん茶」は、社会貢献活動も数々率先して行っています。

上江洲さん:実は、「さんぴん茶」は、社会貢献も多く行っています。例えば、アメリカの同時多発テロが起きた時、沖縄県は風評被害を受けて、観光業が止まってしまいました。

ホテルのキャンセルが相次ぎ、経済が衰退してしまう危機的状況でした。

そんな中我々は、ホテルの部屋を買い取り、「さんぴん茶」を買ってくれた人たちにホテルのチケットを配るキャンペーンを行いました。するとホテルの人が、御礼にとポッカ様の自販機を置いてくれることもあったそうです。もちろん、ポッカ様の営業努力も大きいと思いますが。

また、平成14年に厚労省が沖縄の男性の平均寿命が4位から26位に転落した と衝撃の発表があった際もウコン・グァバ葉・よもぎをブレンドした「さんぴん茶」を販売し、「沖縄県の健康長寿を守ろう」というプロジェクトをスタートさせました。

現在ではなんと沖縄県に健康長寿プロジェクト担当部署ができ、20年後に男女とも平均寿命日本一を目指して様々な分野で復活に向けた取り組みが行われているそうです。

岩﨑:飲料メーカーとして、商品を売るだけではなく健康を守るブランドとして常に社会に働きかけてるんですね。

上江洲さん:「ナンバーワンブランドだからこそ沖縄のために何かしよう。」と率先して働きかける地元愛とスピード感が大切だと思います。

 

 

今回上江洲さんのお話を聞く中で、眠っていた地域の資産を磨きあげる様々な人たちの地元愛、ナンバーワンブランドとして沖縄県の先頭に立ち、県民の健康を支えるメッセージを発信し続けていることが、何よりも高いブランドの価値を作り上げているのだと感銘を受けました。今後「静岡茶ガールプロジェクト」も静岡県民の中にあるお茶に対する親しみや想いを掘り起こし、新しい静岡茶の価値を発信していきたいです。

上江洲さん、貴重なお話をありがとうございました!

 

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【北海道のワカモノ】就活生ホンネ座談会 https://local-biz.jp/news/4689 Fri, 10 Dec 2021 04:00:04 +0000 https://local-biz.jp/?p=4689 昨今、新型コロナウイルス感染症拡大により就活の在り方は大きく変化しました。そこで今回は北海道における就活生の本音を探るため、北海道のワカモノを研究するプロジェクト”ワカモノFACTORY”代表研究員の藤山博史がファシリテーターとなり道内に通う大学生と実施した「札幌の就活生ホンネ座談会」の模様をお届けいたします。

参加メンバー

・A君(大学3年生で休学中。とある企業に長期インターン中) ※右上

・B君(大学4年生。内定あり。就活時代は札幌と東京で悩んでいた) ※左下

・Cさん(大学3年生。これから就活について考えようとしている) ※左上

・ワカモノFACTORY代表研究員 藤山博史 ※右下

 

北海道の大学生から見る会社ってどんなところ?

藤山:ワカモノFACTORY代表研究員の藤山博史です。本日はよろしくお願いします!さてさっそくの質問なんだけど、みんなは『会社ってどんなところ?』って聞かれたらなんて答える?

B君:自分が幸せに生きるための1つの手段ですかね……。

藤山:「幸せ」…。それを実現するために選んだのが今の内定先ってことかな?

B君:内定先の中に東京のWeb広告大手やベンチャーがあったのですが、それと比較したときに労働環境・業務内容・カルチャーの観点から、地元札幌がいいなって。それで内定先である金融業界の会社を選びました。

A君:なんで、金融業界だったの?

B君:将来的に起業したいと思っていて、それを分解すると自分に必要なのはマーケティングと財務だと思ったんです。それで金融業界を選びましたね。

藤山:Cさんは就活前だと思うんだけど、今の話を聞いて就活をどう思った?

Cさん:まだ想像もつかないし、現実も見れていないですね……(笑)私にとって会社は、1日を過ごすうえで大部分を占めるものなので、妥協して選びたくないなと思っています。

藤山:自分の人生の大きな部分を占めるものだと捉えているということは、選ぶ重要さは学校以上かもしれないね。たとえば、将来自分が仕事しているイメージを浮かべられる?

Cさん:今それで困っているんです。自分が働いている姿を実際に想像できないので、インターンにもなかなか踏み出せません。

藤山:なるほどね。A君はどう?休学しているのは働くイメージがつかなかったからなのかな?

A君:働くイメージはついていました。僕が休学した理由は、人生の中でこれだけ何の心配事もなく自由に1年間を追加することができるのは今だけだと思ったからですね。

藤山:みんな人生について真剣に考えてるね、真剣度は大学受験以上かも。大学受験って自分の身の丈とか偏差値で考えるけど、みんなの考え方を聞いていると、就活では、自分の性格に合う場所、自分が心地よいと感じられる場所を探している感じがするね。

札幌の大学生が持っている就活の軸とは!?

藤山:みんなは会社選びの時にどんな軸を持っているのかな?

B君:僕はのちのち起業しようとを考えているのですが、仮に起業できなくても、ずっとその会社に勤める覚悟はあるのか?ということを考えていました。

藤山:僕が大学生だったころは起業したいって言う大学生が少なかったんだけど、B君の周りには多い?

B君:正直自分の大学にはいないんですけど、Twitterでそういう大学生の存在がいるのを知っています。今の長期インターン先の社長を見ていると『起業って面白そうだな』って思います。

藤山:A君も起業の気持ちがありそうだけど、就職することは起業の準備みたいなイメージなのかな?

A君:そうですね。僕は起業するとしたら教育・人材の業界でやりたいので、出来れば同じ業界の会社に行きたいと思っています。でも、折角入った会社でただ経験を積ませてもらうというのは嫌なので、自分に合う人たちが集まる居心地のいい会社に行きたいなと思っています。

北海道の大学生が考える居心地のいい会社の見極め方

藤山:じつはみんなが明確に将来を見据えていて驚いてる笑。Cさんは今までの2人の話を聞いててどう?

Cさん:私は2人のように起業したいという気持ちは全くないですね。安定志向なので、冒険よりもあらゆる面で安定したところを選びたいと思ってます。

藤山:僕もCさんが言ってくれた『安定』ってめちゃくちゃ大事だと思ってるんだよね。特に『心の安定』。そして心を安定させるうえで場所はすごく重要だとおもっていて。例えばCさんにとって札幌にいると心が安らぐと思うのであれば、札幌というエリアの軸を持って就活するのはすごく良いと思う。心の安定っていうのは会社とのフィット感みたいなものも大事だと思うんだけど、その見極め方ってあるかな?

A君:社員さんと話すしかないんじゃないですかね?僕はどちらかというと、世間一般でイメージする体育会系の頭を持っているので、あまりロジカルじゃないんです(笑)。だから、もし入った会社の社員さんが僕以外全員ロジカルな人だったら、病んでしまう気がします。もちろん体育会系の人しかいない会社はダメだと思いますけどね(笑)。

B君:僕の場合はA君と正反対です。内定先も体育会系の社員さんは少ないほうだし、自分としても体育会系の人が得意じゃないんです。『待遇無視!』って感じよりも穏やかな雰囲気の方が僕には合ってる気がします。待遇がある程度良い上で、やりがいを重視しているのであれば良いのですが……。

Cさん:私は就活生として、社会人の方と話した経験は全くないんですけど、バイト選びのときを考えると2つの軸があります。1つ目は働きやすさ、2つ目は職場で1番上に立つ人の人柄です。やりがいとか賃金とかよりも精神的な豊かさを取りたいし、自分の生活を圧迫しない職場を選んできました。

藤山:3人とも自分なりの見極め方があってすごいね!

なんで北海道?東京?

藤山:ちなみになんでCさんは札幌が好きなの?

Cさん:私の地元は静岡なのですが、札幌と地元を比較したときに札幌がいいなあと思ったからです。札幌のコンパクトな街がすごく気に入ってます。あと、私は当てのないところに行きたくはないんですよね(笑)。今の気持ちとしては当てのない場所で就職しようと思わないです。また、東京に住むことは全く想像がつかないです。

藤山:確かにいろいろとリスクがあるよね。B君は東京でも就活をしていたけど、生活イメージはできていた?

B君:ある程度イメージはしてましたけど、東京にこだわっていたわけではないです。行きたい企業がたまたま北海道か東京の2択だっただけですから。

藤山:A君は東京での就職を考えているのかな?

A君:いいなって思う会社は沢山あるんですけど、まだ焦らなくてもいいかと思って、全部ストックしています(笑)。それにしてもほとんど東京ですね。やっぱりスタートアップに行きたいとなると、札幌よりも東京の方が面白そうな企業がたくさんあります。20代のうちに独立しようってことは決めていて、そのために居心地がいい+色々やらせてもらえる会社がいいなあと思ってます。

北海道の大学生が会社に求めること

A君:就活生目線、社会人目線の両方の目線から札幌の会社に『こういうことしてほしいなあ』ってことはありますか?

藤山:採用に対してもっと見られる側の気持ちになってほしいかな。例えば就活生が会社説明会とか面接に行っても、そこで出会う社会人に対して『この人めっちゃくちゃカッコいい!』って思うシーンが東京や関西の企業に比べて少ないと思っていて、それは見られる側の研究不足だと思っています。

A君:人事がカッコよくないってことですか?

藤山:いや、本当はかっこいいんだけど、うまく発揮できていない場合があると思うんだよね。僕は説明会や面接で登場する社員はカッコ良くあるべきだと思っていて、そこは学生のみんなの前に出る前にしっかり準備してほしいと思ってる。あとイケてない社会人って就活生のことをただの学生として見ていたりするんだよね。採用の場で出てくる人が、就活生に対して”学生”じゃなくて”1人の大人”として向き合う事が出来たら、受け手はその人の事がカッコよく見えてくると思う。

Cさん:藤山さんがおっしゃってることにすごく共感してます。平等に見てもらえると、とても嬉しいです。しっかり話ができて、楽しそうなことをやっている大人の方だあとわかったら、近付きたくなる気がしています。だから、うまく巻き込んでもらえると私としてはうれしいです。

藤山:就活生のみんなが会社や人事をしっかり見るのと同じように会社側も就活生のことをしっかり見ないとだめだよね!

 

 

【藤山のあとがき】

今回の座談会を終えて、大学生が私の時代とは比べ物にならないくらい将来を真剣に考えていることがわかりました。これからの未來を担う”新どさんこ”(北海道に住んでいる人をどさんこという)に、ご期待ください!

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地域の課題がまるわかり!ローカルSDGsプラットフォームのできるまでと使い方〜後編〜 https://local-biz.jp/news/4674 Fri, 10 Sep 2021 01:00:25 +0000 https://local-biz.jp/?p=4674  私たちの暮らし、それを支える地域や国、その先の世界を持続可能なものにしていくために、2015年に国連で採択された2030年までの人類目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」。

1,000万人以上のさまざまな人たちの声を反映したSDGsでは、17つの目標を通して、私たち、地域、世界の調和が目指されています。

そうは言っても、私たちの住んでいる地域は、世界とどうつながっている?何を解決しないといけないの?地域ではどんな取り組みが進んでいるの??そんなふうに思う人もいるのでは。

まさしく、これらの疑問に答えてくれるのが、地域のデータをSDGs で整理した『ローカルSDGsプラットフォーム』です。

17つの目標ごとの進捗データとともに、総合チャート、地域ごとの具体的な取り組みやインタビューも見ることができ、これらのデータを元に現状を理解して、どんなことが問題なのか、優先的にやっていくものはどれかを考えるヒントを示してくれます。

今回の記事は、前半 に引き続き、このプラットフォームを監修した川久保教授に、現状を理解するための指標とそこから見えてきた日本の課題、プラットフォームの使い方について、詳しくお話をお聞きしました!

 

出典/ローカルSDGsプラットフォーム

 

 

日本ならではの指標はありますか?

データを集めていくなかで感じるのは、ゴールの1~17のどれにも当てはまらないものが出てくるんですね。スポーツとか、文化、芸術とか。このどこのゴールにも当てはまらない指標が、

プラットフォームのSDGs 指標データベースのところにある「LI」はローカルインジケーターのことで、数字のあとに続く「x」という記号が付してあるインジケーターは、特定のターゲットに紐づかないもの、つまり日本独自のものとして提案しているものです。

たとえば、ゴール3(健康)を例にご説明すると、日本は医療費が国家や地域の財政を圧迫しているところもありますので、こうした実態もおさえておかなければいけませんよね。なのに医療費に関するインジケーターはSDGs のなかに含まれていません。

また、平均寿命なども含まれていないのですが、日本ではこうした点も関心が深いので、ローカルインジケーターとして提案しています。このように課題がたくさんある日本だからこそつくれるローカルインジケーターもあるんだと思います。

このローカルな課題に紐づく「x指標」をいかにつくっていけるかがカギになると考えています。科学的知見としてストックしていきたいと思っています。内閣府の地方創生SDGs官民連携プラットフォームの分科会にもローカルインジケーターの活用方法に関する知見を提供しています。

Beyond SDGs、2030年以降の新しい枠組みにおける指標の提案につながっていくんだと思うんです。そこは、課題先進国の日本から情報発信していく必要があるのではないかなと思います。

 

出典/ローカルSDGsプラットフォーム

 

 

指標の掲載基準はどこに設けていますか?

基本的には政策課題に紐付けているので、各省庁が発行している白書などに出てくるキーワードに基づいて指標やデータを検索しています。国の取り組みの方向性に沿うようなものにしていますが、

ときどきユーザーのみなさんから、こういうものも入れた方がいいというフィードバックをいただけるので、そういったものも入れるようにしています。

プラットフォームを公開して、議論できる場ができたので、みなさんと一緒に議論しながらより良いシステムをつくっていけるといいなと思っています。

 

ゴールごとに地域の数値を比較して見られるようなものはあるのでしょうか?

実はご指摘いただいたようなデータは、すでに加工していつでも公開できるような状況にあるんですが、これは地域格差が大きく見えてしまうので、出し控えています。

都道府県くらいのデータであれば可視化して公開しても良いかもしれませんが、市区町村単位とかになってくると、格差の顕在化と差別等の助長につながりかねないので、現時点では敢えて非公開にしています。同様の理由で「自治体ランキング」などの情報も出そうと思えばいつでも出せますが、敢えて出していません。

今は2015年頃のデータしか公開していませんが、来年になれば2020年の国勢調査の新しいデータが徐々に出てくるので、5年前の状況との前後比較ができるようになるんですね。

いい状況に向かっているのか、まずい状況になりつつあるのか把握していただいて、まずいところは改善しましょう、いいところはそのまま伸ばしていきましょうというふうに、データをまちづくりに活用していただけたらと思います。

 

総合戦略にSDGsを導入している自治体 出典/ローカルSDGsプラットフォーム

 

たくさんのデータを見ていると思うのですが、何か気づきはありましたか?

環境・社会・経済3つの観点から各地域がどういう傾向があるのかというところを見ていくと、明らかに都心部は経済偏重で環境がズタズタ、逆に地方は環境はいいけれど経済が疲弊していて、という極端な状況になっているなというのが見ていてわかります。

残念ながら日本では、地方と都市部の連携が弱いのかなと思います。都心部では環境の取り組み、地方では経済の取り組み、相互にバランスを取って統合的な取り組みをしていかないといけないのかなと思います。

 

東京にある企業は特に、日本全体のサステナビリティを含めて取り組む必要がありそうです。

そうですね。CSR活動をさらに深化させて、日本のサステナビリティ向上に資する取り組みを展開している企業も増えています。サステナビリティレポート等の発行を通じて、自社の取り組みを発信する企業も増えつつありますが、こうした取り組みがより広がっていくことが重要だと思います。

 

自治体インタビュー画面 出典/ローカルSDGsプラットフォーム

 

 

プラットフォームへの反応、データを取り入れた事例についてはどうでしょうか?

地方議会で本プラットフォームに掲載されている情報を参照していただいているケースが増えているようです。

あと実はユーザーの3割を学校教育機関の関係者が占めていまして、総合的学習の時間などの授業の際にアクセスしていただき、自分の住んでいる地域を17ゴールの視点から見てみましょうというふうに使っていただいているようです。

一番の驚きだったのが、企業関係者による利用が多いという点です。各地域の企業が、地元の実態を把握して地域の活性化に貢献したいから見に来ましたというケースが増えているみたいです。

ここは予期しなかったことだったので、いい動きだなと思っています。産官学民のさまざまな方々に使っていただいており、この手の情報に対するニーズが大きいことが分かりましたので、次のプラットフォームの開発企画につなげていきたいと思っています。

 

現状の課題と今後の展開をお聞きしてもいいでしょうか?

1つめは、指標の改善です。現時点ではまだ問題点の多い指標も多いので、内閣府と連携しながら少しずつ精度を上げていきたいと思っています。2021年度中に指標を改定できないか検討を進めています。

2つめは、プラットフォームの継続的な運用という点です。現状開発運営費用をもらっていない分、プラットフォームの維持管理は学生たちに半分ボランティアでやってもらっています。

研究成果は広く社会に還元したいと思っているので、当面このプラットフォームは無料でご覧いただけるようにしていく予定ですが、今後どう維持していくか、そのあたりの持続可能性の検討をしていかないといけないところです。

3つめは、ユーザー層を分析してみるといろんなステークホルダーに関心を持っていただいていることが分かりましたので、新しいプラットフォームを開発してそちらに機能移転していくのか、現在のものをアップデートしていくのかというのも課題です。

今後の展望に関してですが、2020年の国勢調査のデータが出たらすぐに2015年のデータと比較して変化の傾向(トレンド)を可視化したいと思っています。

このプラットフォームを活用していただくことによって、地域同士が学び合い、切磋琢磨し、まちづくりがちょっとずつ良い方向に向かっていくと良いなと思いますし、そのお手伝いができたらいいなと思っています。

 

川久保 俊 さん/法政大学デザイン工学部建築学科教授

2013年に慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程を修了。博士(工学)。同年4月より法政大学デザイン工学部建築学科助教。その後、専任講師、准教授を経て、2021年4月より教授。専門は建築/都市のサステナビリティアセスメント。近年は、持続可能な開発目標(SDGs)を原動力としたまちづくりに関する研究(ローカルSDGs推進による地域課題の解決に関する研究)を進めている。主な受賞歴:文部科学大臣表彰若手科学者賞、グリーン購入大賞・環境大臣賞、日本建築学会奨励賞、日本都市計画学会論文奨励賞、山田一宇賞、International Conference on Sustainable Building Best Paper Awardなど。

 

 

 

ローカルSDGsプラットフォーム

https://local-sdgs.jp/?lang=ja

プラットフォームの使い方動画はこちら!

https://youtu.be/tqVGsiFFnyg

SDGs の地域実装に関する研究動画

https://youtu.be/DCRnoQ-cNRI

 

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地域の課題がまるわかり!ローカルSDGsプラットフォームのできるまでと使い方〜前編〜 https://local-biz.jp/news/4665 Fri, 10 Sep 2021 01:00:19 +0000 https://local-biz.jp/?p=4665 私たちの暮らし、それを支える地域や国、その先の世界を持続可能なものにしていくために、2015年に国連で採択された2030年までの人類目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」。

1,000万人以上のさまざまな人たちの声を反映したSDGsでは、17つの目標を通して、私たち、地域、世界の調和が目指されています。

そうは言っても、私たちの住んでいる地域は、世界とどうつながっている?何を解決しないといけないの?地域ではどんな取り組みが進んでいるの??そんなふうに思う人もいるのでは。

まさしく、これらの疑問に答えてくれるのが、地域のデータをSDGs で整理した『ローカルSDGsプラットフォーム』です。

17つの目標ごとの進捗データとともに、総合チャート、地域ごとの具体的な取り組みやインタビューも見ることができ、これらのデータを元に現状を理解して、どんなことが問題なのか、優先的にやっていくものはどれかを考えるヒントを示してくれます。

今回の記事では、このプラットフォームを監修した川久保教授に、プラットフォームができるまでのエピソードと概要について、詳しくお話をお聞きしました!

 

 川久保 俊さん/法政大学デザイン工学部建築学科教授

2013年に慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程を修了。博士(工学)。同年4月より法政大学デザイン工学部建築学科助教。その後、専任講師、准教授を経て、2021年4月より教授。専門は建築/都市のサステナビリティアセスメント。近年は、持続可能な開発目標(SDGs)を原動力としたまちづくりに関する研究(ローカルSDGs推進による地域課題の解決に関する研究)を進めている。主な受賞歴:文部科学大臣表彰若手科学者賞、グリーン購入大賞・環境大臣賞、日本建築学会奨励賞、日本都市計画学会論文奨励賞、山田一宇賞、International Conference on Sustainable Building Best Paper Awardなど。

 

 

ローカルSDGsプラットフォームができるまでを教えてください!

2008年から慶應義塾大学の伊香賀俊治研究室で「地域の持続可能な発展」について研究してきて、それからずっとライフワーク的に「まちづくりとサステナビリティ」について研究してきました。

2014年6月にもう一人の恩師である村上周三先生に「SDGsというものが出てくるから勉強しておいた方がいいよ」と言っていただいたことが、SDGsに取り組むようになったきっかけです。

当時は日本でSDGs の「S(サステナブル)」の字も出ていなかった状況ですので、ウェブサイトを見ても断片的な情報しかなくて、いろいろ調べたり話を聞いたりして、これが国連で議論されている目標だというのはわかったんですね。

そのときには、すでにインジケーター(指標)の議論がされていて、ゴールだけを定めるのではなく、ゴールの達成に向けて進捗状況のフォローアップとレビューをしていきましょうと、200以上のインジケーターが提案されていました。

 

出典/国連広報センター

 

 

これを受けて私も準備を始めてインジケーターに関するデータを集めていたんですが、国際社会のインジケーターを見ていても、日本にそのまま導入できないと考えたので、

これをローカライズしていこうということで、2015年くらいから日本版のローカルインジケーターとそれを用いて日本の自治体の実態を可視化するプラットフォームの開発をスタートさせました。

開発当初はお金もなかったですし、外注することも無理でしたので、学生と二人三脚で一緒につくっていこうと決めました。結果的にウェブアプリケーションの開発に興味がある学生が、卒業研究の一環として取り組んでくれることになりました。

データの収集とウェブアプリケーションの開発を続けて、ベータ版を2018年の秋にオープンしました。ここで全国からSDGs に関心のある自治体担当者のみなさんを100名くらい呼んで、法政大学でシンポジウムを行って、プラットフォームと活用方法をご紹介しました。

 

 

出典/ローカルSDGsプラットフォーム

 

 

データ集めはどのように行われたのでしょうか?

ローカルSDGsプラットフォームでは、SDGs 指標データベース、SDGs について言及されている計画(総合計画・地方版総合戦略・環境基本計画・SDGs未来都市計画・その他計画)、SDGs への対応について言及している自治体のホームページ、SDGs 担当部署の担当者インタビュー、自治体発信情報(独自指標やニュースなど)が見られるようになっています。

データはさまざまな省庁や外郭団体等が保有している統計データベースからひとつひとつ集めています。都道府県別、市区町村別のデジタルデータが存在する場合は特に苦もなく、

コピーして我々の独自のデータベースに格納するだけで良いのですが、中にはアナログデータしか公表されていないものもあるので、それをデジタル化したり、加工してから格納したり、地味なところで実はかなりの手間暇をかけてデータベースを構築しています。

2008年以降、自身の卒業研究、修士研究、博士研究を進めるなかでデータ集めはずっとやっていたので、どこにどんなデータがあるのか、なんとなく把握していたんですね。興味を持ってくれた学生にそのデータの所在や収集方法を教えて集めてもらい、データベースをつくってもらいました。

 

統計の中には1回調査が行われた後、更新されないものもあるので、その後のフォローアップに使えなかったりします。そこで、今後更新されない情報に関しては、データベースに加えるリストから意図的に外しています。

これらの研究成果は後に内閣府のワーキンググループで専門家のみなさんにご助言をいただきながら進化を遂げて、「地方創生SDGs ローカル指標リスト 2019年8月版(第一版)」として公表するに至っています。

第一版と位置付けられていることから推察していただけるかと思いますが、この指標リストも改良の余地が大きく不完全なものなので、今後も改良を続けていきたいと思っています。

出典/ローカルSDGsプラットフォーム

 

 

自治体関係者のみなさんがご自身のまちの実態把握をしようとしたときに、それぞれが個別にデータを集めていると、とても労力かかりますし、忙しいみなさんには、厳しいのではと思いました。

ならばこの作業を昔からやってきた我々が担当してデータをご提供することで、お手伝いができるのではないかと考えました。

自治体のみなさんには、データ集めのような地味な作業に時間を割くのではなく、まちづくりに全力で取り組んでいただいた方がいいのではないかと思って、プラットフォーム開発と運用を継続しています。

 

我々研究者は、実際のまちづくりの施策を検討するところには立ち入れませんが、こうした情報やツールを提供することを通して少しでもまちづくりに貢献したいと考えています。

自治体の強みをお伝えすることや、データを戦略に反映していく「EBPM(エビデンスベースポリシーメイキング)」のところをお手伝いするのが研究者としての役目なのかなと思っています。

それぞれのまちが、こうしたデータを見ながら、それぞれの課題認識に基づいて、地元の人や企業を巻き込んで一緒に将来のまちのビジョンを語り、議論していくことが理想だと思っています。

 

 

 

新しいデータが出てきたときには、更新は手作業になるんでしょうか?

当面は手作業がメインになると思っています。「ウェブスクレイピング」という手法で、全体の3割くらいのデータは自動的に引っ張ってくることもできますが、データによって「粒度」が違うので、収集後にこのデータを都道府県や市区町村ごとに揃えていくところが、一番苦労しているところです。

残りの7割のデータ収集は人力です。学生たちが日本を良くするんだ!という志で、泥臭い作業もやってくれています。3〜4か月に1度、学生たちがSDGs 計画の策定有無をチェックして、反映してくれています。

たとえば、地方版総合戦略に関して言えば、全国の8割近い自治体でSDGs という言葉が入っていきているので、いよいよ世の中にSDGsが本格的に浸透してきているのが見て取れます。

 

みなさんの努力の結晶なんですね。ゆくゆくは自動入力になっていくのでしょうか?

デジタル庁もできますし、政府もオープンデータの支援をしていこうという流れが出てきているので、私もそこには期待しています。今はアナログデータでしか公表されていないものも、ゆくゆくはデジタル化されつつ、ちょっとずつフォーマットも揃ってきて、更新頻度もあげられていくのかなと思っています。

 

SDGsはデータ収集を最適化していくものにもなっていますね。

それはまさしくSDGs の効能かなと感じています。今後フォローアップとレビューをどのようにしていくのか、国でもまさしく議論がされています。政府統計データサイト「e-Stat」などもだいぶ使いやすくなってきましたが、

依然として行政の縦割りな構造を反映して多くのデータが散乱していて、これどうするの?というところがあります。それを少しずつきれいに整理して、統合していこうという流れになってきたので、これはいい流れだなと思います。

 

 

〜後半に続く 

 

ローカルSDGsプラットフォーム

https://local-sdgs.jp/?lang=ja

プラットフォームの使い方動画はこちら!

https://youtu.be/tqVGsiFFnyg

 

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【HOKKAIDO GOOD vol.6】Z世代のイマを探る。 https://local-biz.jp/news/4634 Mon, 08 Mar 2021 11:15:21 +0000 https://local-biz.jp/?p=4634 団塊の世代やバブル世代にゆとり世代、時代が変われば考え方や価値観も変わる・・今人口ボリュームとしては少ないけれど、社会に対する影響度の高いZ世代。今回は北海道のZ世代を代表する種市慎太郎さん(IRENKA KOTAN合同会社 代表)と、北海道のワカモノを研究するプロジェクトワカモノFACTORY代表研究員の藤山博史が対談し、Z世代の今を探りました。

 

※Z世代:1990年代後半以降に誕生したインターネットが当たり前の環境で生まれ育った世代のこと

 

 

▼対談前、新型コロナウイルス感染症対策のためマスクをつけての対談です。

友達も、伝え方も多角的なZ世代のSNS事情

藤山:どうもお久しぶりです。

元々種市さんとは共有の知人を介して知り合いましたよね、僕より一回り以上若い種市さんにZ世代の代表としていろいろと教えてもらいたいと思っています。まず、種市さんが経営している会社IRENKA KOTAN(イレンカコタン)はどんなことしているの?

 

種市さん(以下種市):IRENKA KOTANは北海道を拠点に「デジタルネイティブ発想」を軸とした事業で街を活気づけて、新たな社会設計目指す「ソーシャルデザインカンパニー」です。

最初は街づくりの領域で「若い人のための社会の中での学びの場」を作りたいという思いから生まれました。

 

藤山:お言葉にもあった「デジタルネイティブ」はZ世代のキーワードとなるので、まずはここについて聞かせてください。この前ワカモノ研究の一環としてとある高校生と話していてびっくりしたんだけど、LINEとインスタって使い方が違うみたいで、SNSで使い分けがあるみたいだね!

 

種市:今のSNSって大きく2つの役割があると思うんです。

一つは「自己肯定感を満足させるもの」、もう一つは「連絡ツール」

Z世代は連絡手段にインスタを使うことが多くなっているんです。インスタは自己肯定感を満足させてくれるツールに加えて、プッシュ機能も正確なんです。友達数人で話したいときは、インスタライブをやります。今日は〇時からインスタライブやろうって。特に女の子が多いですね。勉強しながらインスタライブやろうとか…。インスタライブは電話よりパブリックになった交流の場みたいな感じになりました。

 

藤山:友達の概念ってさ、僕らの世代だとリアルが当たり前だけど、Z世代ってどうなの?

 

種市:友達に階層を作っていますね。自分が相手に見せたい顔を、人によって使い分けてるんです。SNSは使い分けがすごくしやすいツールで、最近の使い方だと時間も見せたい範囲も数パターン設定できる限定公開にしています。 Z世代ってすごく多角的で、「大丈夫」といいつつ、もっと仲いい人には「ちょっと心配」家族には「だめかも」って伝えている。

伝え方にも階層があって、完全な真実を言わないんですよね

 

藤山:むず!いやー、本心を知るのは本当にむずかしい!

 

 

種市:企業も新聞、ラジオ、テレビで同じ広告でも言っていることを使い分けている。それと同じです。

Z世代も媒体と相手を考えてやっている。

全員広告プランナーの素質があると思います(笑)

 

藤山:情報処理したうえで発信方法も考えて分けないといけない。すごく複雑だね。

 

種市:友達の種類も多角的なので、言ってしまえばすべてが友達だし、すべてが友達じゃないんです。

 

 

Z世代の信用

藤山:友達の話から少し派生して聞きたいんだけど、信用ってどんな感覚かな?

 

種市:信用の感覚は世代感で差はないと思う。

いつの世代も信用ある人ない人がいますから。

 

藤山:僕がよく会ってきたZ世代の方たちは、すごく素直で信用する子が多い。こと就活でいうと、情報を鵜呑みにしがちな傾向にある。あれだけ情報の取捨選択をしてきたはずなのに、すごく信じやすい。という印象です。

 

種市:友人間の信用には憶病になっていて、ファクトチェックでいくと・・できないんじゃないですかね・・今はいろんな人が発言している時代。ファクトチェックがしづらくて、検索の仕方をわかっていない人は振り回されています。

 

藤山:情報ってその人が言っているから信用するっていう情報と、人と切り離した情報の信用ってあると思うけど、前者の判断が難しいのかなって。Z世代が信用している先ってなんなんだろう

 

種市:Z世代は情報が溢れすぎて、先生も友達も権威ある先生の言うことも、全部信じるほうが楽。ミレニアルは情報に適応するぞ!って世代なので、もっと正しい答えがどこかにあるかもしれないってなれたけど、でも結局は正しい答えってそんなになかったじゃん!って思うのがZ世代で、もうめんどくさい!ってなってます

 

 

種市:例えば団塊の世代は何もないところから作れた世代。

マッチョなんです、あの人たちは。

マッチョからしたら今の世代は楽勝じゃんって思うのは仕方ない。

 

藤山:マッチョっていう表現、面白いね笑 なんかわかる気がするけど。

 

種市:その世代には何もないので挑戦がしやすい。一方で今は情報もチャンスも機会も、なりたい自分もいっぱいある。Z世代からしたら、真実はいつも一つであってほしい。どんなに楽か…。

 

 

SDGsとZ世代のこれから

▼SDGsとは 参照:外務省

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

 

藤山:最後に、Z世代的にとってSDGsってどんな存在かな?

 

種市:Z世代に限らずですが、SDGs的なものが好きな人は好きだと思う。

グレタさんのように怒るとかっこいいかも?とファッション的にやっている人も多い。

空気を読んできたZ世代にも触発される人はいる。僕個人の意見だと偶像化の危険もあるかなと。もっと本質をみたほうがいい。

 

藤山:種市君の言う通りファッション化しているところはあるよね。

 

種市: SDGsを本気で取り組まないといけないのはZ世代だよってグレタさんは言うんですけど、ほんとにその通りで、僕らが積極的に取り組まないと、地球の温度は4度上がって鎌倉とか沈む。取り組む企業も増えてきていますが、その広告の為に紙を刷って広告を作るのなんてナンセンス。ファッション化は避けたいですね。それは本質的じゃないので。

 

藤山:僕らの世代もSDGsに取り組む意味を今一度思い出して、自分の行動を反省しなければならないね。社会課題に興味を持つだけではなく、その本質を考えることって大事。いろいろとわかりやすい言葉で説明してくれてZ世代への理解と興味が深まりました、今日はありがとうございました!

 

 

 

■対談者

種市慎太郎(たねいち・しんたろう) 

2001年、室蘭市出身。立命館慶祥高卒。2020年4月に立ち上げた「イレンカコタン」の共同創業者で代表。札幌市在住。

※IRENKA KOTAN(https://irenkakotan.co.jp

 

藤山博史(ふじやま・ひろふみ)

新どさんこ研究所 ワカモノFACTORY代表研究員。自身のマーケティング×人事×広告の経験を活かし、北海道の様々なクライアントの課題解決を行っている。

※ワカモノFACTORY(http://shindoken.com/wakamono/

 

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【CROSS TALK】観光PR動画の未来について https://local-biz.jp/news/4606 Fri, 11 Dec 2020 01:00:35 +0000 https://local-biz.jp/?p=4606 株式会社中国四国博報堂が制作した廿日市市のPR動画が、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2020にて、47都道府県で制作された観光プロモーション映像・映画・ビデオの中から、「第9回観光映像大賞 観光庁長官賞」を受賞しました。「観光振興」という観点で、最も創造性・振興性・話題性に優れた作品に対して表彰するものです。そのPR動画のタイトルは『はつかいち物語 愛の取調べ室』。

宮島と嚴島神社という世界的な観光地を持つ廿日市市では、どのような思いで観光施策に取り組まれているのか。動画の制作を担当した株式会社中国四国博報堂の藤川頼信が、廿日市市経営企画部シティプロモーション室長の松尾和政さんと、環境産業部観光課観光振興係長の丸子絵美子さんにお話を伺いました。

右より廿日市市経営企画部 シティプロモーション室 室長 松尾和政さん

廿日市市役所 環境産業部観光課 観光振興係長 丸子絵美子さん

株式会社中国四国博報堂 広島本社 マーケットデザイン室 室長補佐 藤川頼信

 

「第9回観光映像大賞 観光庁長官賞」を受賞して

藤川:このたび、2019年に制作した廿日市市のプロモーション動画が、「第9回観光映像大賞 観光庁長官賞」を受賞いたしました。世の中に出した作品や仕事が、多くの方に評価され話題になることは、広告会社にとって一番喜ばしい結果だと思います。

松尾:皆さんに廿日市市を知ってもらうためにも、とにかく多くの人に見てもらえるような面白い動画を作りたいと考えておりましたので、結果論ではありますが、こうして賞を獲得し、広く取り上げてもらえたのはとてもうれしいです。

丸子:海や山の豊かな自然に、海水浴やスキーなどのアウトドア、カキや穴子をはじめとしたおいしいご飯など、コンパクトな動画の中に廿日市市の良いところを詰め込み、その魅力を伝えてもらえたと思います。

藤川:あらゆるメディアが乱立する中で、広告はまず目立つことが欠かせません。でも、単に目立つだけでなく、伝えたい思いを込めた上で、うまくゴールに結び付けられたと思います。アイデアもかなり多く出し、悩んで作成した動画ですので、評価していただけて良かったです。本日は、今回の動画をはじめとした観光の取り組み、今の時代の広告や観光のあり方について、そしてコロナ禍で変わったことやこれからのことなどについて、お話をできればと思います。

視聴者の「期待感」につながる最初の「違和感」

藤川:今の時代、みんな忙しいです。いくら広告を流しても、その多くはあまり見られないまま終わってしまいます。そんな中で、「自分の時間を使ってでも見たい動画はどんなものだろう」ということから考え、視聴者の心をつかむために、わざと「違和感」のあるカットからスタートさせました。今回作成した動画は「取調べ室にいる男性」です。およそ観光の動画とは思えない、物々しい場面から始まります(笑)。最初に違和感を持たせることが、この後に何かあるなという「期待感」につながると考えました。

松尾:地域をPRする動画の内容が「取調べ」というと、行政らしくないですよね(笑)。でも、そこが逆にいいなと思いました。動画では、はつかいち応援大使の香川裕光さんと和泉崇司さんが登場しますが、演出ではどのようなことを意識されたのですか?

藤川:どのような演出にするのかは、「お笑い」が非常に参考になりましたね。お笑いは、限られた短い時間の中で、どれだけ印象を残せるかが重要です。今回の動画で意識したのは、具体的には「緊張と緩和」です。香川さんに疑いをかけられた和泉さんが、動画の終盤で堰(せき)を切ったかのように廿日市を語りだし、緊張が張り詰めたところで「愛してる廿日市」と書かれたシャツがあらわになるという構成です。

松尾:実際の演技を見ると、非常に緊張感が伝わってきました。それだけに、シャツにツッコミもなく、真顔で無言のまま終わるのは思わず緩んでしまいます。限られた時間で印象に残る表現を追求するということでは、「広告」と「お笑い」は通ずるものがありますね。

藤川:なぜお笑いが参考なのかといえば、結局のところ、面白くなければ見られないからです。私のお気に入りは、ロングバージョンの「おかわりもあるからな」という台詞とともに、特産品の杓子(しゃくし)を取り出すシーンです。クスッとする良いアクセントになっていると思います。今回の動画では、香川さんのにじみ出る優しさや、和泉さんの迫真の演技がとても役にはまっていました。

丸子:俳優の和泉さんは、本当に鬼気迫る演技でした。シンガー・ソングライターの香川さんは、演技に初挑戦ということでしたが、内面の優しさがすごく出ていて、和む演技になっていました。この対比も面白いと思いましたね。

藤川:あと、広告会社の私が言うのも変な話ですが、観光PR動画では「広告感を出さないこと」も大事ですね(笑)。世の中には情報があふれており、生活者は興味がないことに対しては、すぐに情報を遮断してしまうので、特に映像の入り口では、生活者に「壁」をつくられる前に、スーッと入っていくように、「広告であることを感じさせない」ことを意識しました。

知られているようで知られていない魅力に着目

藤川:宮島や嚴島神社は広島の誇りであり、県外から来た方や外国人の方に広島を案内するときは、ここに行けば間違いないでしょう。このように多くの方に愛される観光地があることは、広島県民にとって、おもてなしの場所として非常にありがたいのですが、「宮島といえば、広島」であっても、「宮島といえば、廿日市市」とはなっていません。さらに、広島県外の方に廿日市市について尋ねると、宮島すらなかなか出てこない状況です。そんな中で、廿日市市の観光振興に当たっては、どのようなことを考えていますか。

丸子:そうですね。宮島の人気はとても高く、廿日市市を訪れる観光客のおよそ7割が宮島の観光客です。こうした世界中から来ていただける宮島を快適に観光できるよう整備しつつ、中山間地域など地域色豊かな市内各地域を紹介するなど、近隣も周遊していただけるように力を入れています。

藤川:実際に行くと分かりますが、廿日市市は海と山と街がとても近いんですよね。穴子やカキなど海の幸もあれば、山でキャンプやスキー、スノボもできます。

丸子:キャンプは近年ブームになっていますが、廿日市市の山にはいろんなキャンプ場があります。例えば、廿日市市の山あいに位置する「岩倉ファームキャンプ場」は、目の前に川がありますので、夏には水遊びができます。さらに奥の吉和の方には「もみのき森林公園」や「吉和魅惑の里」など、森の中の自然豊かなキャンプ場があり、その他にも、廿日市市内から車で20分くらいで行ける、「アルカディアビレッジ」は、キャンプ場から眺める田園風景がきれいで、小さな温泉もあります。

藤川:それだけあると、いろいろな世代の方が、目的によって好きなように選べますね。

松尾:さらに海に行けば、釣りやマリンスポーツが楽しめて、2020年と2021年は中止になりましたが宮島の水中花火も見られます。観光客も多いので、カフェや雑貨などを開いて起業する若い方も多くいらっしゃいますね。

藤川:私も廿日市市について調べている中で、まだまだたくさんの魅力があると感じました。杓子(しゃくし)やけん玉といった、優れた特産品もありますしね。中でもけん玉は世界的な人気になっていて、廿日市市で国際的な大会も開催されています。このような、知られているようで知られていない魅力も、どんどん紹介できるといいですね。

コロナ禍の観光は「おもてなし」から「いやし」へ

丸子:新型コロナウイルスは、観光の行動にも大きな影響がありました。例えば宮島の観光では、これまでは、弥山(みせん)登山をされる方の多くは、外国人観光客で、日本の方は表参道商店街を一通り見た後、嚴島神社を見て帰るということが多かったのですが、コロナ禍では、マイクロツーリズムに注目が集まっており、時間にゆとりを持って行動できる近隣からの方が増え、日本の方も弥山に多く登られるなど、アウトドアの動きが活発になっています。

藤川:人と距離が取れるアウトドアは人気ですね。緊急事態宣言解除後、いわゆる「Withコロナ期」と呼ばれるようになりましたが、本当の意味で「Withコロナ期」となったのは、シルバーウィーク辺りだと私は感じています。解除前までは恐怖心もあり「できるだけ外に出ない」というマインドが強かったものの、密を避けつつ「気を付けて外出する」というマインドが顕在化され、まさに「コロナと共に生活する」ということが実生活で行われだしたと感じています。

松尾:良くも悪くも慣れというのがありますね。コロナ禍の前後で、観光の動きは具体的にどう変わっていると思いますか。

藤川:コロナ前の観光といえば、いわゆる「おもてなし」をアピールすることが多かったと思います。お勧めのルートやスポットの紹介、お得なクーポン、移動手段や時間の説明など、快適に楽しく旅行ができるように細やかな心配りが見られました。ところが、コロナ後には「いやし」をアピールする自治体が増えているように思います。

松尾:やはりストレスのたまる生活が理由でしょうか。

藤川:そうだと思います。毎日マスクを着ける生活は、大変ですよね。大人だけでなく、子どもたちも運動会や修学旅行など、楽しいイベントが中止や縮小となり、ストレスを抱えています。そんな中、コロナ禍だからこそ行ける場所ということで、マスクを外してのんびりできる自然などいやしの観光が人気になっているのだと思います。

松尾:イベントなどで大勢が集まると、どうしても感染のリスクが高まりやすいですからね。他に人のいない場所であれば、ストレスから開放されて伸び伸びと過ごせます。

藤川:そういった中で、海・川・山に囲まれた廿日市市はいやしスポットが満載です。今までは宮島と嚴島神社が際立っていましたが、コロナ禍だからこそ、隠れたこれらのスポットを磨き、情報を発信していくことが大切だと考えています。

丸子:実際に、キャンプなどができる中山間地域には、コロナ以降家族で来られる方が増えていますね。その他の屋外の体験観光施設も人気で、例えば、佐伯国際アーチェリーランドは週末を中心に、予約でいっぱいという話も伺いました。このような状況だからこそ、県内の皆さんに地元に目を向けてもらいつつ、廿日市市が地域で一体となって、安全を確保しながら盛り上げていきたいと考えています。

藤川:部分部分だけでなく、地域全体に魅力を感じてもらうことが大事ですね。そのためには、もちろん宮島の魅力も不可欠です。宮島水族館のCM(2020 50TH「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」地域ファイナリスト受賞作品)も私が担当して作成させていただきまして、この夏から放送しています。ぜひ宮島で自然を楽しんだ後は、水族館でいやしを満喫していただければと思います。

長く愛される魅力をつくる

藤川:インターネットが普及し、ECサイトが登場してから、ロングテール戦略が広く知られるようになりました。商品を売り上げの多い順番にグラフに並べていくと、少数の売れ筋商品が並んだ後は、それ以外のあまり売れない商品が尻尾(テール)のように伸びていきますが、あまり売れない商品でもたくさん並べることで、売り上げ全体では売れ筋商品を圧倒するようになっていくという戦略です。

松尾:実店舗と異なり、あれもこれもあるという品数の豊富さも、ECサイトの大きな魅力ですね。

藤川:そうです。実はこの考え方は、状況によっては観光資源にも当てはまるのではないかと思っています。観光でも、「この辺りならこれ!」という目玉スポットは、観光地として大きな魅力になりますが、次につなげるためにはテールの魅力を増やし、「いろいろなところを訪れる」「たびたび訪れる」といった繰り返しの観光をどう掘り起こすかが重要になるのではないでしょうか。

丸子:繰り返して観光に来ていただくには、この土地を好きになっていただくことが大切だと感じています。『はつかいち物語 愛の取調べ室』は、まさにその視点ですね。

藤川:埋もれているものや体験を掘り起こしていく。万人に受けることはなくとも、一人一人の感情を満たすニッチな魅力をたくさん提供する。そうすれば、一過性の観光に終わらず、スポットではなくエリアとして好きになってもらえるかもしれません。このご時世だからこそ、小さな魅力一つ一つを大切にしたいのです。

松尾:その通りだと思います。観光というのは、「光を観る」と言われますが、地域の素晴らしいものを発見することです。それは必ずしも人気のスポットだけではなく、文化や食、体験、暮らしなど「ここにはこんなものがあったんだ」と、訪れるたびに新しい発見があることも大きな魅力です。まずは市民の方に良さを知ってもらうことから始まり、そこから、廿日市市の魅力を口コミなどでどんどん広めていただけるとうれしいですね。

藤川:話題のマイクロツーリズムというと、コロナ禍での地域経済の切り札といった難しいイメージがありますが、言い換えれば「地元の魅力再発見」ですね。「灯台もと暗し」と言いますが、近くにあるものほど、意外と良さに気付きにくいと思います。今やるべき観光PRは、ゼロから魅力を磨き上げるというよりも、すでにある魅力に気付いてもらうということかもしれません。何より地元の方に、魅力を再認識し、発信していただきたいと思います。

情報が氾濫する時代の動画コンテンツ

松尾:今後、地域や観光をPRするには、動画を活用した情報発信が重要になると思いますが、現在は、テレビやインターネットなど多くのメディアが入り乱れていて、情報発信の方法が複雑になってきていると感じます。

藤川:テレビとインターネットがメディアとしてよく比較されますが、比べるものではないと思います。若い方はテレビを見なくなり、インターネットやSNSで動画を見ているという話をよく聞きますが、実際のところ「どのメディアで見るのか?」はそれほど意識しておらず、見たい動画をただ視聴しているだけだと思います。

松尾:なるほど。面白ければ、テレビかどうかなど気にせず、何でも見るということかもしれませんね。

藤川:ただ、基本的にテレビはマス向け、インターネットは関心の似た仲間向けに発信していますので、コンテンツの作り方と、視聴者との距離感や関係性は異なります。観光PRの面では、テレビで取り上げてもらうことも重要ですが、インターネット上でも、さまざまなコンテンツがあふれかえっている中に、視聴者が「つい」見たくなるような動画をアップし続ける必要があると思います。

丸子:情報がどんどん増えていく中で、PR動画を見てもらい、拡散してもらうためには、いろいろなことを考えないといけないですね。

藤川:最初に紹介した通り、観光動画の入り口に「違和感」を持たせ、「つい」見たくなるような仕掛けと、動画全体を「心地よいものにする」ことを意識しなければならないと思います。ストーリー面では、できるだけ不要なものを削りシンプルにし、精神的な面でも、時間的な面でも、負荷を軽くしなければなりません。今回作成したものは、TVCMが15秒、ロングバージョンのWeb動画でもおよそ1分30秒です。伝えたいことがたくさんあると、どうしてもあれもこれもと情報を詰め込んでしまいますが、長さが30分以上もあれば、その時点で見る気がなくなってしまいます。

松尾:確かに30分もあると、簡単には見られないし、人にも勧めにくいですね。逆に短めの動画だと、「面白いから、ちょっと見てみて。」と気軽にオススメできます。

藤川:これからのPR動画では、一方的に伝えたい情報を発信するだけでなく、生活者との距離感を縮め、余計なものを徹底的にそぎ落とし、自分や他の人が見て心地よいと感じられる長さと内容に、こだわる必要があると思います。

新しい価値は生活者目線でつくる

藤川:先の新型コロナウイルスの話にもありましたが、今、社会が大きく変わりつつあります。これからの観光において、廿日市市としては、どのようなことをアピールしていきたいと考えていますか。

丸子:宮島は、皆さんが安心して楽しんでいただけるように受け入れ環境の整備を進め、その他のエリアは、その良さをしっかりと掘り起こし、発信していきたいですね。そして個々の魅力をつなぎ、廿日市市という一つの魅力的な土地として認識していただきたいです。新しくなった宮島口の旅客ターミナルでは、宮島とその他のエリアを結ぶ観光交流拠点として、はつかいちの地産品の販売や、各地域の魅力を紹介するイベントの開催、はつかいち・みやじま情報センターでの体験型展示など、様々な取り組みを行っています。今後は、ワーケーション・テレワークの適地化なども検討し、宮島をはじめ、吉和など空気がきれいで自然豊かな場所で、アウトドアを楽しみながら働くといったこともできたらいいなと思っています。これからも皆さんのニーズを取り入れ、市民の方や観光客の方にファンになっていただき、何度も訪れたくなる廿日市市を目指します。

松尾:廿日市市は、日本の縮図といいますか、海も、山も、街もあり、それぞれのライフスタイルにあった生活ができます。都会ではないけど、病院や大型ショッピングセンター、保育園や幼稚園など、便利な施設が近くにあります。生活に必要なものが一通りそろい、かつ自然もある、暮らすに「ちょうどいい」まちです。ぜひ「住んでみたい」まちに選んでいただけるよう、居住地としての魅力をプロモーションしていきたいですね。

藤川:従来の働き方も見直され、ライフスタイルが変わったことで、いろいろな価値観も変わっています。私自身、テレワークを始めてから、家族と過ごせる時間がいかに大切か身にしみて分かりました。また、新型コロナウイルスの影響で、急激なデジタル化が進みつつあり、産業の構造自体の劇的な変化も始まっています。今は少し立ち止まり、じっくりと未来について考える良い機会といえるのかもしれません。

なお2019年の『愛の取調べ室篇』に続き、2020年12月には『愛の追跡篇』が公開されます。廿日市市の魅力をさらにたくさん掘り起こし、「廿日市市に行ってみたい!」「住んでみたい!」と思っていただけるものに仕上げましたので、なるべく多くの方に見ていただきたいですね。

本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

●「第9回観光映像大賞 観光庁長官賞」 受賞作品 

「廿日市市 はつかいち物語 愛の取調べ室」

●2020 50TH「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」地域ファイナリスト受賞作品

「廿日市市 宮島水族館ブランドCM 瀬戸内ラグジュアリー篇」

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地域拠点プロデューサー大集合!「これからのローカルの可能性って?」 https://local-biz.jp/tips-post/748 Wed, 15 Nov 2017 04:41:20 +0000 https://local-biz.jp/?p=748 博報堂の地域拠点のプロデューサー、クリエイターが考えるこれからのローカルの可能性とは? 「Local.Biz」をともにつくるメンバーのみんなに語ってもらいました。

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Local Entertainment.Biz…Vol,1  地域在住の音楽アーティストは、 withコロナの時代、 どのようにビジネスを変えているのか? https://local-biz.jp/news/4557 Tue, 25 Aug 2020 00:19:06 +0000 https://local-biz.jp/?p=4557

ビジネスの枠組みがあっという間に変わる。特に音楽業界は、CDから配信、サブスクへと流通がチェンジ。さらにはコロナの影響でライブ活動が止まり、収益の柱である来場収入が激減。一寸先が見えない状況にある。一方、急激に成長するライブ配信や、ソーシャルメディアを活用したファンベースの拡張は、いったいどこまで収益を挽回できるモデルになっているのか?地域在住アーティストの今後の展望はいかに? Local.Biz編集長 鷹觜愛郎が、なかなか直接聞きにくいリアルなマネタイズも含めて、対談形式でインタビューしました。

 

左:株式会社ストラテジー代表 赤間 史将さん

中央:シンガーソングライター Carya(カーヤ)さん 仙台・東北を拠点にプロとして活動中。角田市PR大使。

右:鷹觜 愛郎 株式会社博報堂クリエイティブセンターCD、株式会社東北博報堂ECD、Local.Biz編集長

 

鷹觜:赤間社長は、東北では知らない人がいないトップ広告マン。その赤間さんが、地域在住アーティストを支援し、このビジネスモデルを手探りで進めている。広告とエンターテインメントビジネスでは、結構ギャップが多く仕事のやり方も違うと思います。

なにより、地域発のアーティスト活動をビジネスとして支えるのは決して楽ではないはず。足を踏み入れられた経緯を教えていただけますか。

 

赤間:私が経営しているストラテジーという会社は1989年6月設立で、今年で31年になります。事業内容は広告制作、イベント制作、事業計画、在籍するアーティストのエンターテインメント事業です。

学生時代からイベント運営をやっていた関係で、博報堂仙台支社(当時、現東北博報堂)に声をかけていただき、出向という形で2年間お世話になりました。その後独立し、今の会社をつくりました。仙台支社でプランナーをさせていただいていた当時はコンペに負けたことがほとんどなく、かなり忙しく働きました(笑)。広告の基本は、その時のアカウントディレクターやクリエイティブディレクターに厳しくも優しく教育していただいた賜物ですし、現在も仲良くさせていただいています。

2011年東日本大震災がきっかけで始まった

エンターテインメント事業

 

鷹觜:そんな赤間さんが広告だけに留まらず、エンターテインメント事業を開始したきっかけは、何だったのでしょうか。

 

赤間:新潟から始まった「美少女図鑑」という地域型ファッション雑誌があり、その岩手版を手伝ってほしいと相談を受けました。出版直前に「東日本大震災」が起こってしまって……、スポンサーも被災された企業が多く、とても継続できる状況ではなく廃刊となりました。

掲載予定だった地元のモデルさん達が多数いたのですが、震災ということもあり、その子たちとの関係を急に終えることが僕にはできませんでした。とても難しい時期でしたので、心のケアもあり、自費でこの先に向けたレッスンを開催したり、芸能活動を続けていく意思があるかどうかを、全員に確認を取ったりしました。

 

鷹觜:それはとても、大変な状況でしたね……。

 

赤間:雑誌がなくなり、震災後の盛岡で広告もあるわけはないので、仕事がまったく無いまま沸々としている子たちを見ているのは申し訳なかった。

そんな中で、AKB48や長渕剛さんなどが被災地支援に来てくれて、ライブやパフォーマンスを現地に届けてくれて、その姿に感動し勇気やエネルギーをもらったという人が沢山いました。当時、岩手医大の学生としてレッスンを受けていたメンバーの何人かがその光景を見て、自分たちも「地元のアイドルユニットとして被災地支援をしたい」と言ってくれて、地元のためになればと活動を開始しました。当時、医療現場で命の大切さに携わっていた学生たちから生まれたのが、最初のアイドルユニット「chairmans(チャーマンズ)」です。

「chairmans(チャーマンズ)」

 

鷹觜:震災時であり、そもそも地域型アイドルユニットの活動はビジネスとして難しく、たとえ思いがあったとしても厳しい状況だったと思います。なぜそんな中で、活動を開始されたのですか。

 

赤間:広告業界で働いてきた中で、モデルさんやタレントさんをいかに大切にしなきゃいけないかを、先輩たちから叩き込まれたからだと思います。

経営者としてはやめた方が良いのかもしれませんが、クリエイターとして大切な地域人材をバッサリ切るという考え方はできませんでした。純粋に彼女たちが考えた支援活動を応援したかったし、私ができることは広告の中で彼女たちを活用することしかないと思いました。

 

鷹觜:広告畑からエンターテインメント畑への移住は、ギャップがあったりしませんでしたか?

 

赤間:ギャップだらけでした(笑)。

スタートするにあたって、音楽系のプロと言われている方々にたくさん会いました。ただ、叱るのが愛情だと勘違いして、素人の歌い手さんに罵詈雑言を浴びせるようなところがあったり、我々の考える数字よりも低い価格で活動している現状があったりと、まだまだ課題も多く手探りの状態です。

でも、続けているうちに一緒にやりたいという音楽関係者が増えて、この10年あまりで地域の環境も変化し、思い描く良い方向へ向かっています。

 

 

事務所に所属したことで

たくさんの人に求められる成長ができた

 

鷹觜:震災きっかけで音楽エンターテインメントのビジネスへと踏み込み、ギャップと戦いながら約10年走ってきた。

その中で本日同席いただいているCarya(カーヤ)さんと出会われたきっかけはどういう形でしたか?

 

Carya:元々、中学高校でバンドを組んでいました。高校3年生の時に、たまたま仙台でのライブを見に来ていた事務所のスタッフさんが声をかけてくれました。高校を卒業して、福島の会津短期大学へ入学すると同時に事務所に所属し、Caryaとしての活動をスタートしました。

 

鷹觜:すごい!ライブハウスでスカウトされ、10代でプロデビューしたんですね!Caryaさんのパターンは、地元でプロを目指す人たちの希望ですね。

 

赤間: 当時はそんなに歌は上手くなかったのですが、事務所に入ってからどんどん変わりました。Caryaの成長過程は見ていて楽しいです。

 

 

鷹觜:事務所に所属したことでどのように成長したのでしょうか。

 

Carya:高校生の時は、自分の中から出てくるものを「とにかくいろんな人に聞いて欲しい!」という思いが一番でした。誰かの意見を取り入れようという気持ちや、広い視野を持って楽曲を制作することはできないし、する気もなかったと思います。事務所に入って、「自分の曲をどうしたらもっと多くの人に聞いてもらえるのか」ということを考えるようになりました。それはすごく大事な時間で、自分の成長に繋がりました。

 

赤間:彼女は今まで3枚のアルバムを出していて、コンセプトは事務所が提示しています。

1枚目の「アプリ」は、Caryaがスマホのアプリになって、未知の世界へ入り込んでいく物語。2枚目「Carya MANSION」は、Caryaがマンションの管理人になり、集まってくる個性的な住人たちとのドラマを描く。3枚目の「PLANET」は、宇宙サイズまでイマジネーションを拡大し、未知の惑星=無限の未来を生きるドラマを描く。アルバムのコンセプトに合わせ、どれだけ表現を広げることができるかにトライしてもらっています。

逆にシングルは、Caryaが自由につくったものを今までに11枚出しています。

今年の3月以降は、コロナ禍での未来を見いだすためにCaryaがテーマ出しをし、スタッフと共にミーティングを重ねてつくっているようです。

 

 

鷹觜:「自分の好きなものをつくる」から、「プロデューサーにオーダーされたものを共同で完成させる」という形に、楽曲制作の方法が変わっていったと思うのですが、アーティストとして悩むことはなかったのですか。

 

Carya:最初はかなり悩んだ時期もありましたが、ここはこういうフレーズに直した方がいろんな人の心に刺さる、こちらのほうが聞きやすい、といった客観性を自分の中に増やしながら、組み立てていく知識を得ることができたと思います。

 

赤間:事務所としてはできる限りの支援をして、短期間で成長させなければいけないという使命があります。当時、彼女は苦しかったと思いますが、価値を高めることでマーケットに反映されることは広告と一緒。彼女も同じ仲間として認めた上で、より良いものをつくるために、戦いながら高め合っています。

 

 

保育士を辞めて、音楽と向き合う覚悟をした

 

鷹觜:卒業して、保育士さんの道に進んだのは、歌だけではやっていけないと感じたからですか?

 

Carya:そういうわけではなくて(笑)。

もともと子供の頃から保育士になるのが夢でした。子供の時からの夢を叶えつつ、自分のやりたい音楽の夢も追いかけて、2足のわらじでやってきました。しかし、保育士と音楽を両立する中で、音楽の方のウエイトがどんどん大きくなりました。もっともっと音楽と向き合って、たくさんの人に聞いてほしいという思いが高まり、覚悟を決めて保育士を退職しました。

 

 

コロナ禍における

仙台のライブハウスからモデルチェンジを

 

鷹觜:音楽1本でやっていこう、と決めたところで、3月下旬ごろから新型コロナウイルスの感染拡大が広まり、ライブハウスでの活動が厳しくなったと思います。仙台でのライブ活動は現在どのようになっているのでしょうか。

 

赤間:うちの会社では3月1日から国の指導に従って、ライブ活動を中止しました。宮城県知事が5月の連休後に経済も人も両方大事だから、通常の生活に戻していくと宣言を出しました。

その時、我々の方からライブハウスに声をかけて、「レギュレーションをつくってライブ活動を始めよう」と話しました。仙台のライブハウスが一つになり、組合を作って県知事に訪問したところ、応援してくれると約束をしてくれました。そこで、我々がさらに厳しい独自のレギュレーションをつくって、最初の公演を行うことでライブハウスの活動再開をしました。

 

鷹觜:素晴らしいですね。音楽活動をやり続けたい夢を持っている若者は、たくさんいると思います。その時に協力してくれる大人が周りにいるのは心強いですよね。

 

赤間:音楽活動を応援する上で私が一番大事だと思っているのが教育です。教育には2種類があって、まずは技術。ボイトレによる音感、ダンスによるリズム感、あとは会話で楽しませるトーク力。

2つ目は哲学というか、いわゆる演者としての心構えが重要だと思っています。育ってきた家庭環境は違うけれど、一緒にものづくりをする場ではみんな平等ですよね。一個人としての人格育成はすごく重要なことなのです。どんな職業でも人に望まれなければ、仕事として成り立ちません。

 

Carya:私も事務所に入る前とはかなり考え方が変わりました。最初は「好きじゃないなら私のライブに来なくていい」という突っ張ったタイプだったと思います。でも、お客さんと接するときの話し方や、どういう風にライブを作っていったらより多くのみなさんに楽しんでもらえるのか、というように相手の気持ちを大切にするようになりました。

 

 

ツイキャスやSHOWROOM、「ネットサイン会」など、新しいマネタイズにチャレンジ!

 

鷹觜:僕もCaryaさんのライブを観にいきましたが、すごくファンの方々が熱狂的でびっくりしました。それはファンの人たちを大切にする教育の積み重ねだったのだと話を聞いて感じました。では、さらにマーケットを広げていくために何か新しい取り組みはしていますか?

 

赤間:例えばTikTok(ティックトック)やツイキャス、SHOWROOM(ショールーム)のような、新しいメディアマネタイズをどんどん試しています。特に、今回のコロナ禍においては、ツイキャスやSHOWROOMによる有料配信は新しい生活様式としてとても重要になっています。

仙台のライブハウスでは、現在、新型コロナウイルスの影響で例えば定員150人のライブハウスに40人しか入れない状況となっています。この入場減をツイキャス配信サービスでカバーしてもらっています。彼らも運営を続けるために箱のレンタル料金は下げられません。その代わり、収益減となる分を会場内にカメラを何台か用意してくれて、ツイキャスでライブを配信してくれています。配信用のチケット代はアーティストが全額もらえるようになっているので、全国から有料で観にきてくれるファンのネット課金は、今の活動においてかなり大きな収入となっています。

 

Carya:会場に観に来るとなるといろいろな制約がありますが、いつでもどこでも気軽に見ることができるので、新しいお客さまが観にきてくれるきっかけになっています。ツイキャスの良いところは、電光掲示板のような感じでファンの方のコメントが読めて、一緒に会話ができるところです。私が把握しているファンの方々だと、青森や東京、大阪の人も観にきてくれていてとても嬉しく励みになっています!

 

 

 

鷹觜:ピンチな時こそ助け合い、新しいビジネスが胎動していく現場力に感動しました。Caryaさんは、ネット配信も含めて応援してくれる方々との関係を深める上で、どんなことを実践していますか。

Carya:ファンの方々は、私がおすすめした地元のお店やイベントにも参加してくれて、音楽だけじゃなく、地域もセットで興味を持ってくれています。角田市のPR大使として「田植えイベント」に参加しているのですが、そこにわざわざファンが来てくれて一緒に田植えをしてくれます。

 

角田市で行われた「田んぼアート」の様子

 

 

泥だらけになりながらも一緒に田植えをする姿が印象的

 

Carya:ファンとの関係性を強めていくために、毎月必ず新曲を完成させて、CD付きの「月刊Carya」を発刊しています。自分の気になっているお店や、地域の旬な情報と音楽を一緒に届けることが、今は大事だと思っています。地産地消で、「音楽と地域をセット」にして発信しています。

 

 

「月刊Carya」は毎月CD付きでリリース

おすすめのお店情報や近況報告、手書きの歌詞が書かれている

 

 

Carya:さらに、私たち地域在住のアーティストにとっては、ネットがテレビよりも主流な時代ですので、SNSでの発信は特に心がけています。ライブ配信を活用した「ネットサイン会」も好評です。今、コロナ禍でなかなかライブに出かけられない人も多いので、ネットでファンの方が注文してくれた商品にサインをして「産地直送」しています(笑)。予約を受け付ける時にリクエストを一緒にもらい、ライブ配信の際にサインだけでなくお題に沿ったイラスト描いたり、即興ソングをつくって披露したりしています。

また、サインを入れたグッズと一緒に撮った写真も送っています。

 

赤間:Twitterライブ、インスタライブ、SHOWROOM用の3つカメラを用意して、同時配信しています。愛用しているアカウントやプラットフォームが違っているので、お客さんが自分の一番見やすい形で見てもらえるように考えています。

 

ネットサイン会ではイラスト付きで商品にサインをしている

 

 

Twitter、インスタ、SHOWROOM用の3つカメラでサイン会を開催する様子

 

 

鷹觜:今、YouTuberが活躍していると思うのですが、YouTubeでの配信をなぜしないのですか?

 

赤間:会社ではYouTubeチャンネル持っていて、Caryaのミュージックビデオは配信しています。ただ、我々はYouTuberを目指しているわけではありません。たまたまこういう環境下にあるのでいろんなことをやっていますが、YouTubeコンテンツに必要な編集に力を入れて時間を割くようなことはやっていないです。コミュニケーションによる人肌の感覚を大切にするために、ライブ感のある場所を優先しています。

例えば、Caryaは角田市のPR大使だけではなく、環境省のRe-Styleサポーターもやっています。福島と仙台でラジオ番組も3つ持っているのでなかなか忙しいですし、楽曲作りを最優先にしてあげたいと思っています。ラジオという媒体は、リスナーとの関係が人肌感覚でとても大事だと思っています。優先すべきことを順番にこなすと、撮影や編集のクオリティが必要で、短いスパンで本数をアップする必要があるYouTubeは、今はやるべきものの選択からは外れている、という状況です。

 

 

農産品や観光と一緒。地域から音楽を「地産地消」で届けていく活動

 

鷹觜:なるほど、優先すべきものは「人肌のライブ感」いい話ですね。どんなにネットメディアが進んでも、自分たちのスタンスが狂えば足元がぐらつく。そんな中で、今後の可能性も考慮しながら、どこにフォーカスすべきだとお考えですか?

 

赤間:我々のビジネスは地域とともにあります。農業や特産品と一緒で、素材が音楽に変わっただけだと思っています。全国から仙台へ来てもらって、ワンマンライブの特別な時間を過ごしてもらう。そのためには、Caryaも全国ツアーを回って、東北の音楽をより多くの地域に届けて知ってもらう。Caryaを気に入ってくれた人が、また仙台に来ることで地元に貢献するというのが基本のスタンスです。我々は文化的要素だけでなく観光的な要素も大事にしていて、この考え方は震災から始まっています。この街が好きで、この街のために何ができるかということをやり続けることが大事だと思います。

 

 

角田市教育委員会主催「かくだ田園ホール ホールワンマンライブ」

角田の小学生とのダンスワークショップを行い、一緒にステージに立った

 

地元の学生から花束を受け取る場面も

 

鷹觜:音楽とセットで地域コンテンツをファンに響かせていく。地域のアピールに貢献してくということですね。

 

赤間:仙台には過去、HOUND DOG(ハウンドドッグ)のように地元で暮らしながら東京へ遠征をしてメジャーになった人たちもいます。まだ、そういう活動を根付かせる仕組みができていないだけで、仕組みが確立できれば、地域で音楽を生業にすることは可能だと思います。

「チャレンジする」という形で無理に全国展開をするよりも、この街のために身の丈レベルで良い音楽を届ける。そんな活動を続けていると、行政や地元企業、地元メディアから声がかかることが増え、新しいビジネスが広がっていきます。地域と一体となった「エンターテインメント事業」は、無理に領域を広げるよりも足腰が強いと考えます。

この先、彼女が全国のホールを満員にするアーティストになっても、大好きなこの街では、いつものライブハウスで歌っている、そんな環境を仙台で作っていきたいと思います。それが、私の目指すローカル音楽ビジネスの到達点ではないでしょうか。

 

鷹觜:いいストーリーですね。地域の音楽エンターテインメントにも、スポーツと同じように賛同し、協賛してくれる企業や自治体が増えていくことが理想ですね。話は音楽の配信に変わりますが、昨今はサブスクが登場して、流通方法もだいぶ変わりました。サブスクには取り組まれていますか?

 

Carya:私も7月15日からサブスクを始めています。1枚目のアルバム「アプリ」がずっと売り切れていたので、サブスクでリリースを始めました。CDとして制作するものや、配信型にしていくタイミングなど、自分だけでは考えが至らないことも、事務所が一緒に考えてくれるのはとても心強いと思います。

 

 

 

エンターテインメント協会を立ち上げ

音楽業界の向上を目指す

 

鷹觜:それでは、最後に今後の抱負を教えてください。

 

赤間:宮城仙台でエンターテインメント協会を立ち上げる準備をしています。

アイドルやアーティストのレベルや地位向上、新規参入の協力、作家の支援活動など多岐にわたり、この地域でのエンターテインメントの向上に向き合っていきたいです。

自社利益を出すだけであれば、本当に手間暇がかかりますのでやらない方がいいのかもしれないけれど(笑)次世代育成や閉鎖された業界の脱却を図っていためにも、やっていくべきだと思っています。

 

Carya:私は音楽でもっと多くの人に元気を届けたいと思っています。もっと自分のスキルを磨いて、大きな会場でたくさんの人に歌を届けられるようになりたいです。

そうなることで、この大好きな東北、宮城や福島、角田の魅力を世界中に知ってもらえると思っています。そして、より広いエリアから、故郷の地に足を運んで来てもらって、魅力を感じてもらえたり、空気感を感じてもらったり、好きになってもらえたら嬉しいです。音楽を通して応援してくれている地元の方々に恩返しできるように、これからも頑張っていきたいです。

 

鷹觜:音楽を、観光や特産品のような「地域コンテンツ」として捉え、デジタルの進化を取り入れながら成長させていく。まさに、日本の未来を地域から動かす、これからのLocal.Bizだと思いました。コロナ禍で大変なことも多いと思いますが、赤間社長、Caryaさんの今後を、僕も応援していきたいと思います。本日は貴重なお話を、ありがとうございました。

 

 

 

Caryaの活動情報

 

■公式サイト:http://str-co.jp/stranew/carya.html

■Instagram:https://www.instagram.com/carya_69/

■Twitter:https://twitter.com/Carya_69

 

 

■宮城県角田市との連携で行っている「KAKUDA GET OVER PROJECT」

Caryaの産直便

http://strategy.sun.bindcloud.jp/caryasanchokubin.html

GET OVER Tシャツ企画

http://strategy.sun.bindcloud.jp/getover.html

 

 

 

 

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日本の描く2030年のありたい姿「地域循環共生圏」と「SDGs」実現に向けたロードマップ<後半> https://local-biz.jp/news/4445 Thu, 16 Apr 2020 23:00:51 +0000 https://local-biz.jp/?p=4445  

 

ー 日本のパーパス(存在意義)とミッション(やるべきこと)は?

日本には「常若(とこわか)」という言葉があります。古来より使われている言葉で、常に若々しく、みずみずしいという意味です。近年は、伊勢神宮の式年遷宮とあわせて語られることが多くなりました。  

 

伊勢神宮では20年に一度、社殿や御装束、神宝を新しく作り直し、常に若々しい社殿で、神も若返るとされています。実はこのことによって、工匠の技術が伝承されています。社殿を残すのではなく、作り直すシステムが維持されていることが大きな特徴です。たえず生まれ変わる。永遠を目指すための20年ごとの再生です。

 

 

「Sustainable Development(持続可能な開発)」という言葉は、直線的な時間の概念の枠にあり、右肩上がりの成長ないしは近代的な価値観というのが、未だに払拭されていないという指摘があります。「常若」という言葉は、循環する時間を象徴しています。日本のこの思想を基盤とする「地域循環共生圏」は、地球と人類のあるべき姿を示す可能性を持っています。

 

 

まずは、それぞれの地域が足もとにある資源を見直し、「循環」と「共生」の視点から、自立分散型の未来像を考えることです。一人ひとり、それぞれの地域が持てる力を十分に発揮すること、誰ひとり取り残さないということが大切です。

 

その取り組みとして、環境省では地域だけでは足りない知識・技術・資金・人材などを支援する「地域循環共生圏づくりプラットフォーム」を構築していきます。

 

 

出典:「地域循環共生圏づくりプラットフォーム

 

 

こういう意識を、産業、学術会、老若男女含めてみんなで共有すれば、売れ筋商品も変わる。安かろう悪かろうじゃなくて、再生産可能な価値あるものが流通する社会基盤をつくる。とはいえ、新しい社会を実現していこうとすると、保障や雇用なども含めてさまざまな課題が出てきます。みんなで考えて、みんなで解決していく、SDGsのパートナーシップが大切です。

 

もともと環境省は、公害対策から1972年に始まった役所で、気候変動、ゴミやリサイクルを含めた廃棄物問題、国立公園や生物多様性を守る自然環境保全、この3つの分野に取り組んできました。これまでは、出てきた問題に対応するための部局がその場でできるなど取り組み自体がバラバラでした。

 

また、環境と経済も対立型で距離がありました。でも、対話しないと世の中は変わらない。地球という同じ船に乗って沈没しそうになっているんだから、船に空いた穴は誰が空けた!?と犯人探しをするのではなく、みんなで協力して水をかきださなきゃいけない。いまはそういう状況だと思っています。

 

環境省職員には、そういうマインドになれ、リアルに現実を変える役所に脱皮しろと言っています。地域循環共生圏は、環境政策の分野を超えています。金融分野は金融庁、エネルギーは経済産業省、インフラは国土交通省、農業は農林水産省、福祉や健康は厚生労働省。

 

今回の基本計画は重点戦略という立て方で、環境の発想じゃない、分野横断的な施策になっている。そこで、環境省が汗かき役になって、他の省庁と関係を築いていく。一緒に汗をかこうと呼びかけをしています。

 

 

出典:環境省

 

 

エネルギーも従来型の重電力の大規模集中型中心のシステムから脱却して、自立分散型のシステムの拡大を目指す。いまは、蓄電機能とデジタル技術を組み合わせてバーチャルパワープラントにもできる時代。

 

経済産業省も、再エネの主力電源化に向けて、分散型エネルギーシステムの構築を目指そうとなっています。経済産業省資源エネルギー庁の省エネルギー・新エネルギー部と、環境省の地球環境局を中心とする連携チームを組んで、主に資源エネルギー庁が電力会社の設備を活用したモデルを、環境省は自治体のプランニングや自営線を活用したモデルをそれぞれ支援しつつ、地域資源を活用した分散型エネルギーシステムのモデルを共同でつくっていくことになっています。

 

 

 

ー 一方で既存産業の雇用問題に取り組む必要もあります。ドイツの石炭委員会のように、雇用を含めたエネルギーシフトの議論は起きていますか?

中井統括官: 自由化の最終局面で、2020年4月から発送配電分離が始まり、FITの見直しが進んでいますが、地域のどこにどれだけリソースがあるかをまず把握しないといけません。

 

やり方としては地域で起こってくる新電力に出資するとか、子会社をつくって社員を入れながら地域の会社とジョイントベンチャーをつくるとか、やり方はいくつかあるとは思いますが、そういった具体的な議論はこれから。

 

旧一般電気事業者も地域と共存してどう関わっていけばいいのか、一緒に勉強会をやったりと模索し始めています。いままさに激動です。

 

出典:環境省

 

 

 

ー 都市と地方は、具体的にどのようにシフトしていくと良いのでしょうか?

中井統括官: すでに農村地域から都市に人口が移動し、二分的になってしまったのは事実。都市は自然の恵みが少ないなかで、ビルの屋上に太陽光をつける、ベランダで家庭菜園をやる、そういう取り組みを進めることもできると思うのですが、それでは足りないという話になるので、そこは地方に頼りつつ、お互いに良い関係性を築く必要があります。

 

地方の農村や漁村には、自然の恵みが余るほどあるけれども、それを活かせていない。手が足りなくて耕作放棄地が広がって、森林も荒れている状態。そこで、都会からは人とお金がいくかたちでお互いに顔が見える関係性をつくっていく。

 

過度に資源を収奪して蝕んできた経済のあり方から脱却し、二酸化炭素が出ない世界を目指していく、そんな風にシフトしていったらいいのではと思っています。

 

 

 

ー 都市化の解決に向けて、どのようなロードマップをお持ちでしょうか?

東京は地方や他国に食やエネルギーを依存して成り立っている。ということは、地方が倒れると東京も倒れるということ。中央集約型ビジネスを持つ大手企業が都心に集中することも、地方衰退の根本原因のひとつ。都市の最適化を進めるとともに、大手企業を地域に分散する必要もあるのでは。

 

中井統括官: 分散型が理想ではありますが、人に強制できない上に、すぐにはできない現実があります。けれども、目指すところはそこにあると思っています。ステップを踏んで移行していくのが日本には合っているでしょうね。

 

気候変動の影響もあり、今後大きな災害が起きる可能性は高まっています。当然直下型地震がきたら、東京にはいまのように住めなくなるかもしれません。

 

行政の避難誘導を待つのではなく、いまからセーフティーネットを張るのがマスト。SDGs経営、社員が大事だ、日本をサステナブルにしていくというのであれば、企業はそういうことも考えないといけません。

 

就活生の企業選びや株価にもそういうことが反映されていく時代なので、災害時のバックアップ体制として地方と繋がっていく、地方へ事業を移転していくことは、そういう点でも大事だと思います。

 

まずは地方で社員研修をする、地方の食材を社食で安定的に購入するというところから、関係性をつくっていくといいのでは。とはいえ最近では、地方と提携する企業の声も聞くようになってきましたし、そういう相談も既に複数の企業から受けています。

 

その動きから地域に人的リソースを移していくようになっていくのが理想かもしれません。

 

環境省 中井徳太郎 総合政策統括官

 

 

中井統括官: SDGsの観点で、国内での関心も高い「健康」という点でも、地方との繋がりを強めていくことは有効です。薬に過度に依存しないで自然とともに生きる。自然に沿った食べものを食べ、きれいな空気や水があるところで暮らせば、健康でいられます。

 

いま社会保障費はとんでもない金額になっていて、保険で個人負担額が見えていないけれど、介護を入れると一人あたり一生で使われる医療費は、およそ3,000万円と言われています。

 

これらはすべてみなさんが払った税金、赤字国債で賄われています。これを次の世代に背負わせては、サステナブルとは言えない。それに突き詰めていくと、自分の健康実現が地域や地球の健康にも繋がっています。

 

地域循環共生圏にも「生命体」のキーワードを入れていますが、自分が健康になるものの見方で、産業や社会や地球のことを考えることが大切だと思っています。

 

2025年の大阪万博でも「いのち輝く未来社会」、まさしく「サステナブル」がテーマとなっています。脱炭素の動きなど、いまやっていることを結集するかたちにして、アジアや世界に発信していくという大構想を持っていますが、生命の視点で持続可能性を捉えるメッセージも発信していきます。

 

37兆個の細胞からできている体に例えて、生きている一個一個の細胞が自分の役割を考え、一生懸命その場で生きてくれるからこそ成り立っている、これは国も地域も組織も同じなのだと思います。

 

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アースオーバーシュートデー」の指標にもあったように、日本はいまの暮らしを根本から考え直さなければ、世界の調和も、SDGsの実現も達成できません。コロナで得た気づきを生かしながら、いま一度私たちが住むこの地球、そして日本、地域を考える必要があります。

 

 

本当に私たちが実現したい未来とは、どんなものなのか?

本当の意味での「サステナブル」とは?

 

この機会に周りの人と話してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

前半はこちら

日本の描く2030年のありたい姿「地域循環共生圏」と「SDGs」実現に向けたロードマップ<前半>

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日本の描く2030年のありたい姿「地域循環共生圏」と「SDGs」実現に向けたロードマップ<前半> https://local-biz.jp/news/4422 Thu, 16 Apr 2020 12:30:17 +0000 https://local-biz.jp/?p=4422  

コロナウイルスは私たち人類に大きな影響を及ぼした一方で、新たな気づきをもたらしているとも言えます。

 

「SDGs(Sustainable Development Goals)」のゴール13、14、15にもある、気候変動の悪化、海洋汚染、生物多様性の損失などの問題も、コロナの影響で経済が止まることにより、一部で変化が見られました。ベネチアの水質汚染や中国の大気汚染が改善し、経済を見直せば環境が回復することを、私たちはたしかに目の当たりにしたのです。

 

※「SDGs」…2015年国連全会一致で採択された、持続可能な世界の実現を目指す全人類の目標。2016-2030年の目標として「誰ひとり取り残されない」世界の実現を目指しています。

 

以前から私たち人類は、未来世代の地球資源まで使ってしまっていました。そのことを表す指標があります。人類による自然資源の消費が、地球が一年間に再生産できる資源量とCO2吸収量を超えた日「アースオーバーシュートデー」です(出典:Global Footprint NetworkWWF)。

 

世界の「アースオーバーシュートデー」は、「7月29日(2019)」。7月30日以降は未来世代から借金をしている状態が続いています。また、今を生きる私たちの1年間の消費を賄うに「1.75個分」の地球資源が必要だとも算出されています。

 

この指標からもわかる通り、現状の取り組みだけでは2030年にSDGs 達成は困難」ということから、国連では「accelerate(加速化する)」という言葉がキーワードになっている、と国連広報センターの根本かおる所長は話します。

 

コロナの影響で「グローバリゼーション」への見直しがかかり、まさしく「ローカル」へとシフトが起きつつありますが、ウイルスが文明転換を後押ししてきた歴史から見ても、もしかしたら私たちはコロナで問題解決へと急がされているのかもしれません。

 

出典:Global footprint Network アースオーバーシュートデーの推移

 

 

さて、私たちが住む日本はどうでしょうか?

 

日本のオーバーシュートデーは、なんと「5月13日(2019)」。世界よりも早くに迎えています。さらに、全人類が日本と同じ生活水準になれば地球資源は「2.8個分」必要とも言われています。SDGsに取り組む以前に、私たち日本人の暮らしを見直すことをしなければ、世界の調和は成し得ないのです。

 

このような現状を見つめながらも、私たちはコロナが収束したあとの世界「アフターコロナ」をどのように思い描いていけばいいのでしょう? その先にある本当の意味での「持続可能な社会」とは、どのようなものなのでしょうか?

 

今回は、環境省が提唱している「地域循環共生圏」について、中井徳太郎 総合政策統括官にお話を伺いました。この記事を通し、日本や地域のあるべき姿について、改めて皆さんと一緒に考えていけたらと思います。

 

 

ー 「地域循環共生圏」ができた経緯は?

中井統括官: 2011年に東日本大震災がありました。放射線汚染もまだ終わっていないわけですが、震災当時「今後人類はどう生きるべきか」が問われるということを、環境省職員と一緒に考えました。

 

自然はあるときは脅威となるわけですが、人は水も、空気も、食べものも、エネルギーも、すべて自然からいただいています。体そのものが自然の一部であり、自然の恵みに支えられて日々を営んでいる。この地球生命体の一部として人間が存在していることを共有するためにまず「森里川海プロジェクト」を立ち上げました。

 

森から里、川から海へ水が流れて、蒸気となってまた雨になり、森に還る。この循環する自然のエコシステムを「森里川海」という言葉で表現しました。

 

自然のエコシステムを意識して社会や暮らしを構築していく必要がある時代に来ているわけですが、日本は江戸時代に植物文明や完全循環システムを実現してきた経験があるなかで、本来であれば身の回りの恵みを引き出しながら生きていけるはずです。

 

もちろんいまから縄文時代に戻れるわけではないので、Iotなどの技術を活用しながら自然と調和し、地域で循環していく。これは地球のシステムからすると、一番自然な考え方だと思っています。

 

 

出典:環境省

 

 

これまで地下資源を掘り起こし、化石燃料を燃やしてきたことで温暖化が進み、循環を無視して森林伐採や土地改変をしたことで生物多様性を損ない、ビルをたくさん建てて、大量生産・大量消費・大量廃棄を進め地球環境を汚染してきました。便利にはなっているけれども、まさしく自分の体の一部を痛めている状態です。

 

これからは、いままでの社会を横に置いて、そうじゃない世界を目指す。自然の循環の中から生まれる恵みを守りながら、うまく回していく経済に移行する必要があります。それを柱としてできたのが『地域循環共生圏』です。

 

2011年に尊い命をたくさん失って、これはどういうメッセージなんだろうと紐解く思いで、環境基本計画の見直しにも取り組んできました。5年かけて改定作業をし、ようやく一昨年4月に閣議決定できた。日本国として『地域循環共生圏』をやっていくとなったわけです。

 

大きくパラダイムシフトしていく、文明を大きく転換するということを、日本政府の公式見解にしました。これは SDGs が記載された 2030 agenda にもある「Transforming Our World」の部分とも重なります。

 

 

 

ー この理想像にシフトしていくには?

中井統括官: もちろんトータルイノベーション、税金や金融を含めた経済、社会システム、ライフスタイル、あらゆる観点からのイノベーション創出が必要です。

 

世界経済フォーラムでも、環境基盤が大きく壊れていることから、資本主義をステークホルダー資本主義にしていく必要と、そこに向かって調和していくことが議論されました。日本でももう高度成長時代とは変えていかなければいけないということを、国全体で認識する必要があります。

 

経済はとかく「成長」という言葉を使いたがるけれども、地域循環共生圏のような世界に向かうことも「成長」と言えるのではないでしょうか。人類は良い方向にトランスフォームする。これは新たな成長であると。

 

これは、お金が否定される世界のことを言っているわけではなく、”付加価値経済” を実現していくということ。農薬や化学肥料を使わずに育てられたオーガニック野菜のような、本当に良いものの価値が認められ、公正な値段で流通される世界になれば、人口が減っても市場のパイは縮小しない。

 

いままでは人口が減ったら当然経済も縮小するだろうという話ばかりでしたが、そうではなく、経済で回すものの中身が脱炭素型、より良い質に転換していけばいい。経済が成長してもCO2が減る、デカップリングの世界です。

 

 

 後半へと続きます

日本の描く2030年のありたい姿「地域循環共生圏」と「SDGs」実現に向けたロードマップ<後半>

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Local Project.Biz … Vol,1 ロッケン(東北6県研究所)が構想する東北のこれから https://local-biz.jp/news/4391 Tue, 03 Mar 2020 09:20:37 +0000 https://local-biz.jp/?p=4391

ビジネスの枠組みがあっという間に変わっていく。そんな大変革の時代の中で、地域のあり方を変えるプロジェクトが次々と生まれています。地域らしさを生かし、新しい視座で未来にコミットするプロジェクトはどのように生まれ、進んでいるのか?具体的なプロジェクト内容をLocal.Biz新編集長 鷹觜愛郎が、「構想と実践」を軸に、対談形式で紹介していきます。

今回は東北博報堂で始まった、地域(ローカル)をベースとしたプロジェクト「ロッケン(東北6県研究所)」にインタビュー。地域課題が山積する東北に、元気や誇りを感じるきっかけをつくっていくため、研究とクリエイティブの両輪で「東北って、おもしろそう」というイメージを未来に向けてひろげていくプロジェクトです。メンバーの加勇田 亮二さん、武田晋さんにお話をお伺いしました。

 

ロッケン(東北6県研究所)https://rokken-lab.com/

 ロッケン(東北6県研究所)のメンバー(左から)加勇田 亮二、栗原渉、武田陽介、武田晋

 

きっかけは東北の課題を解決し、資産を掘り起こすこと

鷹觜:ロッケンのプロジェクトが始まったきっかけを教えてください。

加勇田2012年に東北博報堂が新設になった時、R&D(研究開発)的な部署を持ったほうがいいのではないか、という意見が挙がっていました。

東北らしいデータやインサイトが拾えてないという状況では、提案業務に厚みが出ないんじゃないか、という懸念があったからです。そうした構想はずっとあったにも関わらず、なかなか取りかかる時間や人員などのリソースがなくて、浮かんでは消えていく状況でした。

そして、一昨年ぐらいに、東北の課題を解決したり、東北にあるいろんな資産を掘り起こしたり、そういうことができる部署が、やっぱり必要だよねってことで、本格的に始動することになりました。2018年の11月にはメンバーが固まり、そこから徐々に動き出した、という感じです。

鷹觜 愛郎 株式会社博報堂クリエイティブセンターCD、株式会社東北博報堂ECD、Local.Biz新編集長

 

鷹觜:プロジェクトには何人くらい立候補したのですか?

加勇田基本的にはMD戦略センターの中で、挙手制でメンバーを決めたんです。実は他にも2つのプロジェクトを同じタイミングで立ち上げたこともあり、僕と武田に関しては部署の責任者なので3つ全てに関わることになりましたが、このプロジェクトには私たちを含めて4人のメンバーしか集まらなかったんです(笑)。

武田 晋 株式会社東北博報堂 MD戦略センター ビジネスプロデュース部 部長(主な担当:岩手県のラグビーワールドカップのファンゾーンの運営や広報活動、ミラノ国際博覧会東北出展、新「みやぎ米」ブランディング業務、など)

 

鷹觜:メンバーが決まってから、どんな話し合いがあったんですか?

武田:メンバーから、「大学とうまく連携するビジネスがあってもいいのではないか」という意見がありました。宮城大学の教授とご縁があったので、うまく連携して取り組む方法があったら、僕らだけのマンパワーでは足りなかった部分が補えるんじゃないかと思いました。また、いろんな知恵や新しい発見があるかもという期待もありました。

加勇田後は、「テーマをどうするか?」という話し合いをしました。メンバーの栗原は東京から戻ってきたばかりだったので、その目線で東北をどう感じているのか。僕らは東北でずっと仕事をしてきてどう感じているのか。そんな日頃感じている、「東北の今」みたいなことを中心に雑談レベルでざっくばらんに話していました。スタートラインとして、メンバーが感じてる東北に関する考え方のすり合わせを行った感じです。

加勇田 亮二 株式会社東北博報堂 MD戦略センター クリエイティブ部 クリエイティブディレクター(主な担当:うみの杜水族館のオープニング立ち上げ業務、山形のブランド米のローンチ、インフラ系企業のブランディングなど)

 

鷹觜:外部リソースとして、大学との連携をプロジェクトに入れ込もうと思って進めていって…いつ頃、基本の構想を言葉にしていくことになったんですか?

武田:2019年の2月あたりに3回目の打ち合わせで、みんなの共有価値が固まってきました。プロジェクト名やロゴ、目的を決めることになり、週1回と頻繁に会議をするようになりました。

決定したプロジェクト名とロゴ

 

東北は本当に元気がない?面白くない?

 鷹觜:東北に関する考え方のすり合わせはどのように進めたのですか?

武田:「東北ってなんか元気がないよね」という話になったんですよ。具体的に元気がないということではなくて、感覚的になんか元気がないよねっていう感じが漠然とあって…それは東日本大震災があったからなのか、それとも人口減のためなのか、それをなんとかできるプロジェクトだといいんじゃないか、という話に一旦着地しました。

ただ、どこかしっくりきていなくて…元気がないということは、勝手な私たちの主観で、どこか上からのような感じもして、もう一度考えてみようということになりました。

改めて共通項として浮き上がってきたことは、東北って「真面目だね」、「素朴だね」というようなことはよく言われるけど、「心躍らされるような形容をされることが意外と少ないよね」ということでした。

 

鷹觜: 逆に他の地域で元気だなって思える場所ってある?

武田:なんとなく南の方ですね(笑)。北は雪が降って寒いためか、なんとなく内向的になったり、人前に出ることが苦手だったり、というイメージがあります。そのことが東北の元気さや面白さを低くしたり、伝わっていなかったりしているかもって考えました。

でも一方で、仲良くなると一気に距離が縮まるじゃないですか。そのパワーはすごいと思っていて、何かをちょっと変えるだけで、東北はもっと面白くなるんじゃないかという話になりました。そこから「面白い」という言葉にたどり着いたわけです。

鷹觜: そこから導き出した、このプロジェクトの目的って何だったんですか?

加勇田:議論を進めていく中で、本当に東北って面白くないのかな、そもそも「面白い」とはどういう意味なんだろう、という疑問が出てきました。「面白い」という言葉は、面白ろおかしくゲラゲラ笑うってことだけではなくて、いろんな意味が内包されているのではないかと気づいたんです。

興味深いものがあるとか、心惹かれるものがあるとか、ただ単純に辞書で引くだけでも「面白い」という言葉にはいろんな意味が内包されていて、意外と東北ってそういうものには長けているんじゃないのかなって。

他のエリアに比べて、自分たちがこの地域は面白くないよなって感じていたけれど、面白がり方や視点を変えることで、今見えていない新たな面白いを見つけることができるのではないかと思いました。

 

鷹觜:勝手なイメージで東北を「面白くない」と思い込んでいただけで、本当は自分たちが「面白がっていないだけだ」ということに気づいたということですね。

武田: まさに、その通りです!

 

4つのアプローチで「東北を、もっと、おもしろがってみる」

鷹嘴:このプロジェクトのテーマを一言で表すと?

加勇田先ほども話が出たように「東北を、もっと、おもしろがってみる」です。

鷹嘴:具体的にどうプロジェクトを立て付けていこうと話し合ったんですか。

加勇田:まず、4つのアプローチで動き出すことにしました。それが、①みつける、②見立てる、③うみだす、④ひろげる、ということです。

最初に情報収集をして、「みつける」。東北にはもっと面白がれるネタがあるかもしれないので、見つける作業をする。そして、集めた情報をこういう風に見ると面白いよね、といろんな角度や仮説をもとに見立てます。次に、「うみだす」。僕らだけでも、プロトタイプを作ったり、何かサービスを開発したりということはできると思いますが、もしかしたら企業や地域の方々と一緒になって開発したほうがより面白いものになったりするんじゃないかと思って。東北の人たちと僕らの見立てをベースに新しい何かを作り生み出していく。そして最後に、同じようなことで困っているところ、東北以外にも横展開できるんじゃないか、ということで、型を作り「ひろげる」活動をしていきたいと考えています。

ロッケンの目的とアプローチ

鷹觜:見立てることで、東北に何を生み出していけるんでしょうか。

武田:最終的には僕ら4人が「みつける」「見立てる」「うみだす」「広げる」人間になるだけでなく、それぞれの地域でそういう人材が生まれることが目標だと思っています。僕らが、それぞれの地域で持っている商品やアイデアを見つけて見立てることで、内に秘めたマグマみたいなものを自分で吐き出せるようになっていってほしいです。今はまだ、ずっと変わらない手法で開発やプロモーションをしている感じがするので、最終的には、いろんな人たちが4つのアプローチをできるようになることで、東北自体の発信力や協業力をもっと上げていければと考えています。

 

東北の県民性を、お酒を通して、見立ててみよう

鷹觜:昨年11月に第1回お見立て会を開催したそうですね。どんなことをやったんですか?

加勇田:一言でいうと東北の県民性をお酒を通して、おもしろがって見立ててみました。

よく「東北の方だからお酒強いですよね?」って聞かれることがあるんですよ。まあ私は、実際その通り「強い」んですけど。それと「酒豪DNAというのがあってその出現率が東北の6県がほぼ上位にランクされている」という記事を偶然見かけて、だったら東北人の人格形成には少なからず「お酒が影響しているはずだ」と。半ば強引に。

鷹觜:具体的にはどんな感じで?

加勇田:お酒を飲むといろんな影響があると思うんです。酔っぱらう、気分がハイになる、悪酔いする、ひと肌が恋しくなる…といった感じで。それをみんなで出し合って、セグメントして、とやっていくうちに「お酒」によってもたらされる効用を6つに分けることができたんです。例えば、人や故郷と近づきたくなる「帰属」や、逆に自分の殻にこもっていく「内省」といった風に、「帰属」「内省」「社交」「開放」「休息」「元気」という6つに分けていけたんです。それで、この6つの効能に、各県の名物やお祭りや輩出された有名人などを掛け合わせてマトリックスで分けたところ、各県ごとに6つの効用のうち色濃く表れる部分が出てきました。

2019年11月にメディアを集めた「第1回 お見立て会を開催」

 

社交、開放、休息、帰属、内省、元気、の6つの効能に分けた

 

鷹觜:お酒の効能で見立てた県民性、楽しそうですね!

加勇田:最終的には人格のように表現して発表しました。たとえば岩手県なら「愛すべき自己中」。自己中って、もともとはあまりよくないイメージに使われると思うんですけど、実は岩手に住む方々における自己中ってそうではなく、一種求道者的なイメージでとらえられていると思っています。嫌われるわけではなく、世の中の人に尊敬されてたり、あこがれられたり、好かれているんですよね。例えば、宮沢賢治や石川啄木、大谷翔平とか…。岩手の人と物や歴史をクロスさせながら想像すると、何となく納得できませんか? そうやって、各県民を自分たちなりにお酒を通して見立ててみました。気を付けたのは言葉選びです。これまで県民性を表す時にあまり使われていない表現や多くの方が言われてみて「ハッ」と気づかされるような分かりやすい言葉づかいを意識しました。

お酒の効能で見立てた県民性

 

鷹觜:お見立て会に集まった人たちの反応はどうだったんですか?

武田:メディアの人が中心だったのですが、自分のアイデンティティをえぐられたり、こそばゆい感じを持ちつつ、興味を持って聞いてくれていた感触がありました。その後、学生と一緒に、それぞれの県民生に合わせた新しいお酒の楽しみ方というのも10アイデアくらい発表もしました。結果「これをやってみたい」、「これを実現してみたい」という相談案件をいただくことができました。知ってもらう、ということは成功だと感じていますが、今後は何か1つでも着地させたいですね。

 

経済成長のためだけではなく、みんなで地域課題を解決する

鷹觜:今後の目標があれば、教えてください。

武田:今年度はお見立て会を通じて、具体的にロッケンと組んでみたいという相談もあったので、来年度は「着地させる」ことに注力したいと思っています。

着地としては2つ考えています。1つ目は、まずは実績として何か残すということ。それは成果物を納品することだけではなく、社会的に何かを変えることかもしれません。東北を「面白くさせれたり、元気にさせれたね」って思えたらいいなと。2つ目は、数字として残すこと。地域や企業、団体、そして個々の生活者の経済的な発展に繋げていきたいということです。数字として残せることで、ロッケン自身の価値や存在が認められることにも繋がっていくと思っています。それらを実現するために、来年度はメンバーそれぞれの役割を決めて、専門性を持つことで、効率的に進めていこうということになっています。

 

加勇田:正直に言うと型がまだできていないので、やらなきゃいけないことがいっぱいあるんです。ただ個人的には経済的な成長も大事だとは思っていますが、地域課題をおもしろがって取り組めればなぁと思っています。それを東北らしい発展につなげていきたい。東北の成長って、緑が覆い茂るような「GROW」的なものではなく、根を張って横に広がっていくような「THRIVE」的なものだと考えているので。たとえばSDGsって世界的だったり、先進的な企業や地域が先駆けているイメージがあるけれど、本来であれば東北のほうが達成するのに近しいんじゃないかって思っています。社会的なテーマをみんなでやるには取り掛かりやすい風土や環境があるんじゃないかって思っています。もっと言えば、意識していなくても、実は東北の暮らしぶりそのものがすでにSDGsに適っていることがあるかもしれない。それを私たちなりにおもしろがって「見つけて」「見立てる」ことができれば、世の中の人がもっと東北を「おもしろがって」くれるんじゃないかなと思っています。

(取材:かさまつひろこ/ライター)

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【ふろカル #05】笑いと涙の湯けむり落語入門 https://local-biz.jp/news/4376 Mon, 02 Mar 2020 02:35:05 +0000 https://local-biz.jp/?p=4376  

落語講座、開講。

江戸時代から庶民の心をあたためてきた落語。そんな落語の講座を、地域をあたため続ける町の銭湯で行いたいと僕たち新ど研は考えました。タイトルは「笑いと湯けむり落語入門」。

講師は北海道を代表とする素人落語名人であり、札幌落語倶楽部副代表・伊達家粋鏡(だてや すいきょう)の高座名を持つ都筑守さん。高校の教諭でもある都筑さんは、この道50年の大ベテラン。個展、新作含めて持ちネタは30以上。

参加者は落語に興味がある方から初めて落語に触れる方、そして子どもから大人まで。やはり老若男女問わず親しまれてきた落語と銭湯は相性が良い。

 

今回のふろカルでは、初めに都筑さんから落語とはどういうものなのか、そしてどのように発展し、根付いてきたのかを教わった。

起源は戦国時代までさかのぼり、江戸時代に発展・定着し、現在まで伝承されてきたこと。また、同じ演目でも演者によって全く異なる物語に聴こえてくるということ。国語教諭でもある都筑さんのお話はとても分かりやすく、初心者から上級者まで興味深く耳を傾けていた。

そのあとは実際に参加者がいくつかのグループに分かれて落語を体験。

まずは各々高座名を考えることからスタート。自分の出身地や職業、趣味などから「○○亭」や「○○家」など、人に覚えてもらえる高座名を考え、皆それぞれユニークな高座名を披露してくれた。

 

落語は身近なコミュニケーション

次はグループごとに小咄(こばなし)に挑戦。各グループほとんど初対面の方ばかりだけど、銭湯という親しみやすい場所も相まって、小咄を通じて短時間ながらどんどん盛り上がっていく。これも落語が持っている魅力の一つだ。そして実際に高座に上がり、覚えたての小咄を披露する。都筑さんが話してくれた通り、一人一人語り口が異なり素直に面白い。

なんとなく落語は聞くものだと思っていたけれど、実は道具も要らず、場所も関係なく、誰でもすぐにできるコミュニケーションの手法なんだと気付く。だからこそ今日まで途絶えることなくつながってきたのだ。

 

最後は、あの名作落語で。

会場の空気感があたたまってきた中、最後は伊達家 粋鏡さんによる人情噺(ばなし)の名作「芝浜」の披露。人情味あふれる語り口と熱ある演技に、どんどん物語の世界に引き込まれていく。

「情景が目に浮かぶ」とは、まさにこういうことなんだと感じる。オチが決まると、心あたたまる人情噺に拍手喝采。

こうして「ふろカル落語講座」の幕が下りた。同時に銭湯・福の湯さんの暖簾が上がり、いつもと変わらず地域の人たちをあたためてくれた。

 

筆者:北海道博報堂 佐々木崇人

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【HOKKAIDO GOOD vol.5】「北海道の冬に音楽フェスを」OTO TO TABI https://local-biz.jp/news/4336 Mon, 23 Dec 2019 09:37:59 +0000 https://local-biz.jp/?p=4336  

山、海、まち…。今や全国津々浦々、いたるところで盛り上がりをみせている音楽フェス。

アーティストが奏でる生音だけでなく、さまざまな企画やグルメも楽しめる、日本の夏の風物詩です。

そんな音楽の祭典が、北海道の冬の銀世界のなかで楽しめることをご存知でしょうか。

 

今回は、来年で開催10周年を迎える冬の音楽フェス「OTO TO TABI」のプロジェクトメンバー3名に、好きな音楽は水回りで聞くのが趣味な北海道博報堂・永井と、シティポップからオカルトパンクまであらゆるジャンルをこよなく愛する髙橋が、さまざまな角度からお話をお伺いしました。

 

左からOTO TO TABIプロジェクトメンバーの川畑拓也さん、細野暁夢さん、南紹子さん

 

 

ないものはつくる精神が生み出した、冬の音楽フェス。

永井:まずはOTO TO TABIを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

 

川畑さん(以下:川畑):元いた二人の代表が、音楽フェス作りたい!って言ったのがきっかけですね。僕らはもともと音楽フェスが好きで、夏は有名なロックフェスとかに、友達みんなで遊びに行ったりしていて。じゃあ北海道で新しい音楽フェスやるなら、北海道だし、冬だろと。

で、東京を中心に活躍している3組のアーティストにオファーしました。1組くらい来てくれるかな、と思ってたら、3組ともOKしてくれて。これはもう、やらざるを得ないってなりまして。(笑)

 

永井:それは…後に引けないですね

 

川畑:そうなんです(笑)で、最初は展覧会で利用されるイベントスペースで。音響設備もないし、そもそも会場でドリンクも飲めない。全員地べたに座って、アコースティック(弾き語り)メインで、200人くらいの規模でした。でもやっぱり音楽フェスがやりたくて。でかくて、複数ステージっていう…。で、OTO TO TABIの4回目となる2014年からは、札幌にあるライブハウスを2会場同時でやりました。

 

永井:そして2016年からは、現在の札幌芸術の森で開催してるんですよね?

 

川畑:はい。憧れのライブハウスでできてうれしかったんですけど、この頃にはもうOTO TO TABIっぽさ、みたいなのは周りから言われていて。ライブハウスでやるのは、ぽくないよねってなりました。最初、僕たち自らDIYで始めたフェスだから、何もないところからステージを作り上げたりとか、そういうスタンスで面白いことやりたいってのを、ずっと思ってました。それで、たどり着いたのが今の札幌芸術の森でのOTO TO TABIです。

 

 

【これまでのOTO TO TABIの様子】 

 

 

いろんな人と一緒に面白くする、というスタイル。

永井:同じくイベントを企画する身として、継続していくことって大変だと思うんですが、マネタイズはうまくできてる感じなんですか?

 

川畑:実は今までずっと赤字で、前回(2019年)初めてチケットが売り切れました。それまでは、身銭をずっと切っていて。(笑) でも、スタッフのモチベーションはみんな高くて。「なんとしてもOTO TO TABIを続けたい」という思いで、賛同してついて来てくれる人がたくさんいました。

 

永井:素晴らしいですね。ちなみに、今回チケットが売り切れた理由はなんとなく見当がついてたり?

 

川畑:それが、まったくわからない。(笑)

 

永井:(笑)

 

川畑:でも、呼ぶアーティストは、他の(規模感が同じくらいの)ローカルフェスだと代表一人で決めてオファーしてるっていうのがほとんどみたいですが、うちはみんなで投票して決めています。前回から運営メンバーを公募し、人数を増やしたんです。今まで年齢が近い4人で決めていたのを、学生から30代半ばまで10人くらいのスタッフで決めるとなって、いろんなジャンルのアーティストを呼ぶようになり、バランスが良くなったってのはあると思います。

 

永井:なるほど。確かに、他のフェスに比べても、出演アーティストのジャンルは本当に幅広いですよね。そこもOTO TO TABIの面白いところだと思ってます。 他にメンバーが増えて変わったこととかありますか?

 

川畑:感覚的には毎年いっしょなんだけど、結局何か新しいことをしようとしても中途半端とか、思ってたところまで形にできないっていうのが毎年あるんですが、翌年には前年の反省をふまえて割といい形になってるっていう、積み重ねで面白くなってく部分はありますね。自分のできる範囲は増えてかないけど、毎年人が増えてどんどんパワーアップしてくみたいな。

そもそも僕らだけじゃできることが少なかった、ってのもあります。だからいろんな人を巻き込んで一緒にやっていく、面白いものをつくる、っていうスタイルがいいなって。

 

 

 

OTO TO TABIっぽさ、について。

 

川畑:OTO TO TABIって、おしゃれな人しか行けないんでしょ?って、ツイッターで言われたこともあって。(笑)

 

永井:(笑)

 

川畑:そんなことないですよ!(笑)ただ、雰囲気が良いものにしたいっていう気持ちはあります。札幌にあまりないジャンルがメインの、雰囲気のあるフェスを作りたかったので。

 

赤字が続いた時期に、みんなが知ってたり、話題になってるアーティストを呼ぶべきか悩みました。でも、人はあまり呼べなくても、僕らが呼びたいアーティストを呼ぼうと決めたんです。あの時の選択は間違ってなかったと思います。(笑)

 

髙橋:そういうスタンスも、OTO TO TABIっぽさ、みたいなものの大きな要素ですよね。新しいものを取り入れる、みたいな。

 

南さん(以下:南):私たちは地元とすごいつながりがあるとか、そういうタイプのフェスじゃなくって、札幌っていう都会で、今までやってなかった企画をいろんな人とかかわり合いながらやってみて、楽しんでるという面が強いので、

呼ぶアーティストを毎回変えてるのもその試みのうちの一つなのかなと。そうすると、その年の色も出てきますし。

 

細野さん(以下:細野):あと、入ったばかりの私たちにも、何かあるとすぐ「よし、やってみよう!」ってなんでもやらせてくれるのですごく面白いです。アーティストのブッキングとかも、私みたいな学生とか、ふだん主婦やってる方とか、いろんな人で手分けしてメールしてます(笑)

 

永井:できることはなんでもみんなでやってみる、OTO TO TABIの強みですね。

 

 

 

これからも「誰かのためにしてあげたいこと」をやる

 

永井:今後の展望はどのようにお考えですか?

 

川畑:とにかくこのまま続けたいですね。イベント自体はずっと続けたい。コアメンバーがドンドン変わっても、音楽好きな人が集まって運営していけるならそれが一番いい。と、思っておりますが、どうでしょう?(他の二人に目配せ)

 

基本的には、OTO TO TABIは友達のためにやってる感覚が大きくて。でも10年くらい続けていると、自分の環境も、友達の環境もどんどん変わって、子供ができたりして、それで来れなくなったりっていうことも。

どうしてもなんとかしたくて、ベビールームを作ったりイヤーマフの無料貸し出しをはじめました。そのへんは、今の歳になったからこそやりたいと思えるようになってきたことですね。フレッシュな企画はフレッシュな若い人たちがやればいいんです(笑)

 

みんな、誰かのためにしてあげたいこと、って絶対あるから。それをみんながそれぞれできればいいかなと思ってます。

 

永井:では、フレッシュな若者担当として、細野さんは展望ありますか。

 

細野:はい(笑)私は学生をたくさん呼びたいなと。現在も学割とか、10代キャッシュバックとかあるんですけど、同級生はイベントの存在自体知らなかったりするので。私はもともと冬って、夏を待つ期間だと思ってたので…(一同納得の表情)

もし冬が楽しくなるならそれは希望だなって。だから「巻き込まれてくれる人」をどんどん巻き込みたいなって思います。

それで、札幌の冬をもっと楽しんで、いろんな人に札幌をもっと好きになってもらいたいです。

 

髙橋:進学や就職で北海道から出たがる人も多いし、こうして札幌を好きになれるイベントがもっと増えたらいいですよね。

 

細野:はい。北海道にはOTO TO TABIがあるから面白い。ってなればいいな。

 

 

「東京でやっても変わらないけど、札幌なら、ちょっとだけ変えられる」

 

永井:では最後に。あなたにとって、北海道とは?

 

川畑:うーん、(笑)自分が生まれ育った場所ですかね。

自分に子供ができたら、子供にもここを気に入ってもらいたいって気持ちがあるから、じゃあ、好きになれるような札幌に自分たちでしていこう。って思ってます。自分たちが、まず新しい、楽しいって思うものを作っていく。

東京には面白いものはもちろんたくさんある。自分たちが住んでるところにないなら、自分で作ればいいやって。

 

永井:一貫して、DIY精神があるわけですね。

 

川畑:うん。それに、東京でなんかやっても変わらないことが、札幌でならちょっとだけ変化をきたせるような気もしてます。くらしが、ちょっとだけ楽しくなるような。

あと、結局、ずっと札幌で活動しているかっこいい先輩たちがいるから、僕らも札幌で頑張んなきゃいけないな。ってのも思います(笑)

 

永井:OTO TO TABIでくらしが楽しくなっていく・・・。ますます今後の活躍に期待しちゃいます!貴重なお話、ありがとうございました。

 

 

あとがき

ないものは作っていく。シンプルだけど、とても勇気のいることです。

一人ひとりの勇気が、他のフェスにはないOTO TO TABIらしさを支えているのだと感じました。

思いに賛同して集まる人たちがいて、そこに音楽がある。

これからどんどん熱く、楽しいものになってゆく札幌の冬に、

私も一歩踏み出してみようと思います。

楽しむ準備はできている、でもちょっとシャイ。な札幌人が、

一人でも多く、冬を彩るこの旅に巻き込まれてくれる未来を願いながら。

(執筆者:髙橋清伽)

 

 

(PR)

■OTO TO TABI 2020

日時:2020年2月29日(土) 開場10時30分 終演20時(予定)

会場:札幌芸術の森 アートホール 他

北海道札幌市南区芸術の森2丁目75番地

公式サイト:http://otototabi.com

 

■第1弾発表出演者

・The Cynical Store

・七尾旅人

・NOT WONK

・フルカワミキ÷ユザーン÷ナカコー÷沼澤尚÷勝井祐二÷上村勝彦

・BENBE

・マイアミパーティ

・MONO NO AWARE

andmore..

(50音順)

 

■チケット:

○早割チケット ¥6,000

※第1弾発表と同じ2019年12月14日(土)より、枚数限定で店頭や公式WEBで販売開始

 

○前売券 ¥7,000 当日券 ¥8,000

※2020年1月10日(金)から各プレイガイドなどで販売開始。

一般発売に合わせてクラウドファンディングにてチケット付きリターンも用意

 

○10代&学生割引

前売券ご購入の10代と学生の方、当日会場にて身分証提示で¥1,000キャッシュバック

 

 

「OTO TO TABI」とは

“北海道の冬に音楽フェスを”との想いから、

2011年にスタートした、ただの音楽好きが集まってつくっている、

インディペンデントの冬の音楽イベントで、今回で10回目を迎えます。

 

2020のメインビジュアルは、泉まくらのアートワーク制作をはじめ、

玉城ティナのグッズデザイン、最果タヒの詩や紗倉まなによる短編小説の挿絵も手掛け、

2018年にはCanCam.jpにて連載した漫画『セッちゃん』を小学館より発売した、

イラストレーター、映像作家、漫画家の「大島智子」。

 

北海道にも日本有数の夏フェスや特色あるローカルフェスがある中、私たちが厳しい冬に開催するのは、

「北国の冬にしか感じることのできない景色・体感・生活」があるからです。

それらと音楽を中心とした冬のカルチャーをかけあわせて進化させ、

まだこの世界にない音楽体験を北海道に生み出したいと考えています。

 

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【TOKYO x SDGs】都市における美しい資源循環を考える イベントレポート https://local-biz.jp/news/4323 Tue, 24 Dec 2019 09:31:13 +0000 https://local-biz.jp/?p=4323 都市における資源循環の美しいモデルとは、どんなものでしょう?

食品ロス問題(食べられるのに捨てられてしまう食品)が注目されていますが、食料の供給システムを最適化し、そもそも出てしまう食料廃棄を減らさなければ、根本解決には至りません。

 

世界の飢餓人口は、約8億人。

 

しかし人類は、すでに全人口をまかなうだけの食料を作ることができているということをご存知でしょうか?(出典:FAO

 

分配方法がうまくいっていないばかりに、飢餓や栄養不足の人を生んでしまっています。私たちは、いかにして食料を調達・分配し、資源を循環させればいいのでしょうか?

 

すべての人の人権を守りながら世界と調和する世界とは

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持続可能な世界の実現を誓ったグローバル目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」では、全人類の人権を守り、地球と世界が調和する世界を目指すことが掲げられています。

 

しかし日本の現状は、まだまだ大量生産・大量消費・大量廃棄社会。日本人の消費をまかなうのに必要な土地面積は、なんと「日本 7.7個分(2018)」。東京都においては、「東京都125個分(2000)」も必要とのデータもあります(出典:WWF)。

 

 

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(出典:Global Footprint Network

 

今後アフリカをはじめとする途上国が発展することを考慮すると、日本はまず、現状の資源の扱い方を改めて考える必要があるのではないでしょうか。

さらに、今後悪化することが予測されている気候変動の影響で、農作物の収量が減ることや、土地が劣化してしまうことを考慮すると、なおさら資源を無駄にはできません。

 

 

「経済」   「社会」   「環境」  にまつわる食の問題

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SDGs が記載されている「2030 アジェンダ」の冒頭にあるのは、「Transforming our world(私たちの世界を変革する)」。ここで必要とされているのは、政策や教育制度、産業構造などの抜本的な改革です。

 

今の社会の延長線上に持続可能な未来はない根本原因を見つめた上で、根本解決となるエコシステムを構築することが、今もっとも必要なことと言えます。

 

そこで今回、そもそものサプライチェーンのあり方を見直す、食料廃棄全体をなくすといった視点からイベントを企画しました。根本的な解決とエコシステム構築を目指すために、まずは「経済」「社会」「環境」それぞれにまつわる食の問題を考えました。

 

 

資源がうまく分配される循環システムとはどんなもの?

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「経済 x 食」の問題では、

過体重人口19億人(出典:WHO)に対し、飢餓人口は8億人も存在(出典:国連)、アンバランスが起きています。さらに人類は、すべての人を養うだけの食料を作ることができるにもかかわらず、生産量の3分の1にあたる約13億トンの食料を廃棄してしまっています。

 

ここ日本でも、年間8,088万トンの食料を生産しているうちの約3割にあたる2,759万トンの食品廃棄物(2016)を出しており、世界の食料援助量の2倍にあたる643万トンの食品ロス(出典:農水省)を出しています。

飢餓に苦しむ人は東京都人口の半分にあたる612万人もいるといったデータ(出典:Newsweek)もあり、日本でも同じようなアンバランスが起きています。

 

世界全体の食料廃棄量を減らす第一歩として、どんな資源循環モデルがあればいいでしょうか?

 

 

人権が守られる労働環境とはどんなもの?

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出典:農水省

 

食業界では、働き方改革においても課題が多いことが挙げられます。営業時間が長いことからシフト制を採用し、パート・非正規雇用に頼る食業界、人も辞めやすいことから改革が進みにくいのが現状です。

 

また、食業界は特に外国人労働者の受け入れが進んでいますが、人口減少が進むに連れて人材確保も難しくなっています。

 

関わる人の幸せを実現する働き方長く働ける雇用環境とは、どんなものなのでしょうか?

 

 

誰も取り残さない食、誰も取り残さないコミュニティはどんなもの?

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「社会 x 食」の問題には、遺伝子組み換え種子や化学農薬・化学肥料など、食してきた歴史の浅いもの、今後どのような影響があるかわからないものが多く流通しているといった食料安全の問題があります。

 

特に殺虫剤をはじめとした化学物質は、子どもへの健康被害や認知症との関連を疑う論文や土壌水質汚染、生態系破壊の問題もあるので、改めて向き合い方を考える必要がありそうです。

 

それに加え、宗教アレルギーにまつわる表示やメニューバリエーションへの対応の遅れ、8つのこ食(孤、子、固、個、粉、濃、戸)の問題などもあります。

 

SDGs が掲げる「誰ひとり取り残さない食」、そして「誰ひとり取り残さないコミュニティ」は、どうあればいいのでしょうか?

 

 

生物多様性を実現する農業、最適なビジネスサイズは?

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出典:農水省

 

「環境 x 食」の問題では、日本の自給率の低さの問題から、様々な問題へと繋がっていることが挙げられます。

 

過去最低37%(カロリーベース)の自給率は、「フードマイレージ(輸送距離)」を引き上げ、輸送する際の二酸化炭素排出量やエネルギーの消費量を増やしています。

 

また、気候変動や汚染による水不足が懸念され、将来水戦争が起こるとの予測がなされているなか、「バーチャルウォーター(生産の際に使用される水量)」の輸入量を高めていることも問題です。

 

途上国から調達をしているものの中には、森林伐採による生態系破壊児童労働に関わっているものもあります。

 

インスタント食品に多く使われているパーム油は、日本も多くを輸入に頼っています。これを利用することは、開発を推し進め環境を破壊をすることに間接的に加担していることに他なりません(出典:認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン)。

 

 

ゴミを出さない最適なデリバリーは?

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さらに、これまで大量生産・大量消費が進められてきたことで、使い捨ての包装パッケージのゴミも増えています。

 

ほとんどのパッケージの素材となっているプラスチックは、現状100% 回収する仕組みができておらず(出典:環境省)、一部は海に流れ出し、海洋生物を傷つけ汚染にも繋がっていることから、世界的に大きな問題に発展しています。

 

2050年には、魚の総量よりもプラスチックゴミの総量の方が多くなる予測(出典:WWF)もあり、脱石油から気候変動対策に繋がることから、多くの国が規制を進めています。

 

プラスチックゴミは海に漂う汚染物質(農薬や潤滑油など)を吸着することがわかっていますが、それを魚が食べ、それを食べた人間の身体に蓄積される可能性もゼロとは言えず、研究者から健康被害の警告が出ています(出典:日経ビジネス/東京農工大高田教授)。

 

その対策のなかには、微生物によって生分解できる植物性バイオプラスチックが出てきていますが、現状のバイオプラスチックは石油が混入され海で分解できないものもあり、冒頭の資源不足の問題、気候変動問題、さらなる廃棄が増えることも懸念されており、問題視する声も多く存在します。

 

 

持続可能な食、未来に残したい食ってどんなものだろう?

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ここで一度、参加者のみなさんと「どんな食を実現したいか?」「どんな食が持続可能か?」キーワードを出すワークを行いました。

どんなところで、どんな人が、どんな風に作っていて、それがどんな風に流通するのか、SDGs 17ゴールも意識しながら、細かく言葉に落とし込んでいきます。

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「美味しい」「オーガニック」「地産地消」「顔が見える」「アーバンファーミング」「コミュニティ食」「栄養価が高い」…たくさんのキーワードが出てきました!

これを読んでいるみなさんは、どんな食がいいでしょう・・・?

 

 

根本解決のためのさまざまなソリューション

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貧困層にも安全な食を届けるプロジェクトを紹介した映画「エディブルシティ」(出典:EDIBLE MEDIA

 

食の問題を説明した後は、これらの問題を解決するさまざまな事例を、3人のゲストにご紹介いただきました。

環境作家であり大学講師でもある谷崎テトラさんは、富が偏りがちな中央集権型のビジネスモデルから、協同組合型のビジネスモデルへのシフトを提案。そもそもの経済のあり方を問い直し、新しい経済圏を創出する「Next Commons Lab」のお米を通貨にした経済実験についてご紹介いただきました。

続いて、IBM FOOD TRUST 担当である水上賢さんのお話では、ブロックチェーンで食物の経路を記録していき、蓄積されたデータを分析、資源量や流通方法を最適化できるソリューションをご紹介いただきました。

このテクノロジーを使うことで食物の安全性を向上、病気や異物混入など何か問題が見つかったとしても、その経路が特定できることから、膨大なロスを出さなくて済むといったことまで実現できるそう。

また、資源分配の方法も、最適な量、最適な場所、最適なタイミングで行いやすくなるので、無駄なく資源循環させることに貢献します。証明書の発効もできるので、それを元にお客さんとコミュニケーションをすることも可能になります。

 

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左から:農水省食品産業環境対策室 室長 野島昌浩さん、IBM 水上賢さん、ボングー代表 坂巻達也さん、環境放送作家 谷崎テトラさん

 

続いてご登壇いただいたのは、埼玉県川口市で完全予約制のパン屋さん「Ocalan」を営む、坂巻達也さん。

ほとんどのパン屋さんでは、販売見込みから小麦粉を発注するため、売れ残りが出てしまいます。そこでOcalanでは、まず商品ラインナップから発注を受付、必要量がわかってから材料発注をかけるため、最低限の量でまかなうことができます。まさしくファッションブランドの受注発注制にも近い仕組み。

さらに、購入者が食品ロスにしないパンの開発(冷凍しても美味しいパン)や、豆腐屋さんで出るおからを活用した焼き菓子の発明なども行っているそうです。

 

最後はACT SDGs 松尾から、調達・物流・加工/販売・廃棄、それぞれの国内外のソリューションをご紹介しました。その一部をご紹介します。

 

 

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フランス/市民による市民のための会員制スーパーマーケット(出典:greenz

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アメリカ/日本の出前をアップデートした「LOOP」。専用バックでパッケージを回収できるソリューション。(出典:ITmedia

 

いよいよ本番!みんなで資源循環モデルをデザイン

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さまざまなソリューションを紹介したあと、いよいよグループごとに食の循環モデルをデザインしていきます。

 

調達/物流/加工・販売/廃棄の4つを意識しながら、個人ワークで循環図を描きます。そこからグループ内で意見をすり合わせ、最適なものを ひとつ選んでいきます。

 

これはSDGsの進め方でも採用されている「バックキャスティング」のアプローチ。ありたい姿を描いたあと、自分たちの行動計画へと落とし込んでいく方法です。

 

つい目の前の利益に集中しがちのところ、高い視座を持って問題を捉えることができるので、本質的な方法を見出しやすく、このプロセスを踏むことでみなさんとビジョンを共有することができるので、よりSDGsの実現性を高めることもできます。

 

 

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およそ 1 時間かけて個人ワークからみなさんの意見を統合、グラフィックレコーダーさんにひとつの絵にまとめていただきました。

 

 

民産官協働で持続可能な食の実現を目指す

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東京都は先日、持続可能な食糧政策宣言「C40 Good Food Cities Declarationにも署名をし、食品ロスをはじめとした食料問題にコミットすることを宣言しました。

 

ここでは次のことが掲げられています。

・健康的な植物性食品の消費へのシフト
・食品ロスや食品廃棄物を 2015年比50%削減
・食品調達ポリシーを「Planetary Health Diet」に準拠
・市民、企業、政府機関等が共同で上記目標達成のための戦略を策定

 

ここにある「Planetary Health Diet」では、①大人の毎日の摂取カロリー2,500カロリー以下に、②肉消費を1週間で300g未満 & 乳製品を1日で250g未満に、③ファーストフードやソフトドリンクなど極力抑えるといった内容が盛り込まれていますが、

 

これを実現することで、人口100億人時代にもバランスの取れた栄養素が提供でき、年間1,100万人の命を救うと書かれています。

紛争の原因にもなりうる資源問題に向き合うことは、SDGsの実現、平和の実現にも欠かせません。

 

また、SDGsでも言われているのが「マルチステークホルダー」による共創。SDGs策定でも多様なオンライン意見を反映していますが、さまざまな人が参加することで、より多角的な視点から出たアイディアや強靭な仕組みづくりへと繋がり、多くの人が自分ごとにすることができるのではないかと考えています。

 

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最後に参加者全員でそれぞれ個人でできること、組織でできることをシェアして、無事イベントは終了しました。

 

主催:一般社団法人ミス日本協会ACT SDGs

共催:東京都環境局

 photo by kenta jufuku

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三ヶ日みかんのライバルは“みかん”じゃない?(PR) https://local-biz.jp/news/4217 Fri, 20 Dec 2019 04:00:15 +0000 https://local-biz.jp/?p=4217 昭和の頃からずっと人気

 

何度でも言うけれど、「さんがにち」ではなく「みっかび」。浜名湖の北部に位置する、質の高いみかんの名産地です。高度成長期以来ずっと維持してきた「三ヶ日みかん」のブランド力を、いったいどうやって守っているのか知りたくて、JAみっかび(三ヶ日町農業協同組合)を訪ねてみました。

収穫の冬を前に、三ヶ日町周辺では無数のみかんの木が日差しをたっぷり受けてたくさんの実をつけていました。

 

酸いも甘いも土地柄がつくる

三ヶ日みかんは単に甘いだけでなく、みかんらしい酸味も感じられる、深みのある味が特徴。その持ち味を作っているのは三ヶ日ならではの風土です。日照に恵まれた温暖な気候はもちろんですが、もう一つの理由は土。この辺りはごろごろした小石が目立つ水はけの良い痩せた土地で、そのために太い根が伸びにくく、木は枝や葉を伸ばすよりも実に栄養を蓄えるようになります。三ヶ日町農業協同組合の後藤善一組合長のことばを借りれば、「果実は『成長』させるより『結果』が大事」。文字通り結果を出し、コクのあるおいしいみかんと人気を博してきました。中でも最高ランクの品質と認められた「ミカエース」は全体の2〜3%しか出荷できないとあって、贈答品として引っ張りだこです。

 

三ヶ日みかんは秋から出回る早生品種と、その後遅れて出回る温州みかんの一種「青島」の2品種が主流。三ヶ日は温州みかんの魅力が出しやすい土地だといいます。

 

「みかんはナチュラルサプリ」すべての食品の中でどんな価値を持てるか

 

みかんの名産地は他にもたくさんある中、三ヶ日みかんが着実にブランド力を築いてきた理由は何なのでしょうか。後藤組合長はこう言います。「みかんの産地同士の競争ではなく、食品全体の中で三ヶ日みかんがどんな価値を持つかを考えてきました」

 

その価値の一つが、健康です。2015年、三ヶ日みかんは「機能性表示食品」として出荷を始めました。骨の健康に役立つβ-クリプトキサンチンが豊富に含まれていることを、科学的根拠をもって表示したのです。加工食品なら珍しいことではありませんが、生鮮品では三ヶ日みかんが第一号です。「一番に表示したということに意味があると思っています。おいしい食品があふれている世の中、みかんも単においしいだけでは通用しません。今後の人生100年時代を考えれば、健康は何より大切なものですから」と後藤組合長。「みかんはナチュラルサプリ。自然そのままの栄養価の魅力を伝えていきたい」と、現在は新たに別の栄養素の機能性を表示する準備も進めています。

三ヶ日町農業協同組合の代表理事組合長、後藤善一さん。みかん農家の経営は36歳の息子さんに任せて組合をまとめ、三ヶ日みかんのプロモーションや農家の皆さんの働き方改革に取り組んでいます。

 

若手がいきいきと育つ農業を

 

「健康に役立つ食べ物を作っていることは、生産者のやりがいにもつながります。みかんのおかげで元気になれると言われたら達成感を持てますから」。そう話す後藤組合長が目指しているのは、生産者が楽しんで仕事ができる農業、人生をエンジョイできる農業だといいます。「今でいう、働き方改革ですよ。私自身、毎日どうやったら仕事を機械化できるかと考えてきました。畑の中の作業も積極的に機械を導入してきましたし、組合員のみかんを集めて等級を付ける選果場では光センサーやカメラなど最先端の技術を導入しています。今は2年がかりでAIに選果データを学習させているところです。機械でできることは機械に任せれば、人はもっとクリエイティブなことに注力できます」

 

きつい、つらい、大変・・・では、新しいことにチャレンジする余裕が持てなくなってしまい、本末転倒。農業も他の仕事も同じで“人の仕事はクリエイティブであるべき”と、後藤組合長は語る。

 

価値のあるものが作れて、機械化で効率的な経営ができると、農業はどうなるか。夢を持った若い後継者が育ちます。今三ヶ日では、若い後継者たちが仲間と切磋琢磨して皆で三ヶ日みかんをより良くしていこうとしています。「皆いきいきと仕事していますよ。時代に取り残されないようにと※青年部で情報交換したりSNSでPRしたり、オランダやドイツへ視察に行ったり。我々世代のように長男が自動的に農家を継ぐのと違って、うちの息子などは自分からみかん農家という職業を選んでやっている。彼らのような若手がいなければ、経営を長いスパンで考えることはできません」

三ヶ日みかんが魅力的なブランドであり続ける理由は、人がみかんを育てみかんが人を育てる、その良い循環がずっと回り続けているから、なのでしょう。

 

※JAみっかびでは次世代を担う後継者や若手たちを総称して“青年部”と呼びます。

 

最盛期は一日に最大600トンのみかんを出荷する三ヶ日町農協柑橘選果場。光センサーやカメラ、人の目視を駆使して、実の大きさや色、糖度やクエン酸などの品質を見極め、農家から搬入される一荷口ごとに点数を付けています。近い将来に向け、新たな選果場を計画中。

 

三ヶ日の風土が育てた自慢の味、

ふるさと納税で味わえます!

→浜松市「ふるさと納税」公式情報サイト

http:// hamamatsu-furusato.net/mikan/

 

 

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JAPAN CRAFT CHEESE EXPO「 CHEESE+ 」レポート:国産チーズ生産者たちをめぐる「距離」 https://local-biz.jp/news/4232 Tue, 17 Dec 2019 23:50:04 +0000 https://local-biz.jp/?p=4232 はじめまして。デザイナー1年目の篠本です。今回縁あって、神戸で催された国産チーズのイベントCHEESE+のロゴとメインビジュアルを製作させていただきました。現地に行って実際に自分のポスターなどの掲出と反応を見て、記録して、取材して来るため(ついでにチーズも食べたい!)、神戸まで初出張に行ってきました。

そこで触れたのは、全国から集まったチーズ生産者たちのチーズや地域への熱い想いと「距離」というキーワードでした。

 

JAPAN CRAFT CHEESE EXPO「 CHESSE+ 」とは?

CHEESE+は日本全国、北海道から沖縄まで25のチーズ生産者が集結した関西初の大規模な国産チーズイベントです。

実は、チーズ工房は日本に300以上存在しています。それにも関わらず認知されていない現状を変えるべく、今回ご自身も国産ナチュラルチーズ専門店「チーズのこえ」を経営されている今野さんのお声がけで、博報堂の制作チームで、イベントのコンセプトとクリエイティブディレクションのお手伝いをさせて頂きました。

「 CHESSE+ 」に込めたのは、まだあまり知られていない日本中の心あるチーズ生産者たちの「チーズの新しい楽しみ方」を知ってほしいという想いから、神戸グルメとのコラボやワイン、クラフトビール、日本酒との組み合わせを通して、より身近に、日常生活に取り入れてもらえるような提案を中心にしています。

そんな想いから、ロゴとビジュアルのデザインは、商店街という場で目立ちやすく「手づくりの親しみやすいチーズ」をイメージして制作しました。ロゴのフォントは親しみやすいサンセリフ体を選び、「+」マークをスライスされたチーズのイメージで表現。+形のロゴをパターン化して伝統的な市松模様をチーズでつくることで、「国産チーズ」という意味を込めてみました。

JAPAN CRAFT CHEESE EXPO「 CHESSE+ 」
http://jpn-cheese.com/

「国産チーズの強みは距離の近さ!ぜひたくさん生産者とお話ししてほしい」と語る主催の今野さん(株式会社 FOOD VOICE代表)

実際に自分のデザインが使われているのを見ると、グッとくるものがあります。

どのブースも大盛況、気軽に日本全国のチーズを試食できるのもこのイベントの魅力のひとつ。

 

国産ナチュラルチーズの入門 by 村瀬美幸さん

世界で一番のフロマジェ(チーズに関する資格)と認められている村瀬さん。チーズに関することならなんでもこいの専門家です。

世界のチーズ事情と比較すると、日本のチーズ市場は今まさに成長している段階とのこと。国内の一人当たりのチーズ消費量は年間2.8kgと右肩上がりです。しかし、チーズ大国フランスの一人当たりの年間消費量は約9倍の24kg!日本のチーズ消費量もまだまだ増えていくかもしれません。そして、ヨーロッパでは地域ごとに1種類のチーズを作るのがスタンダードですが、日本の生産者たちは世界各地で修行をした後に一つの工房で数種類作り改良を重ねます。そのため、どの地域でもたくさんの種類のチーズが食べられるのが国産チーズの強みなんだそう。

村瀬さん曰く、最近ではフレッシュチーズと日本酒の組み合わせがおすすめとのこと。水に浮いている袋ごとモッツァレラチーズを人肌に温めるとミルキーになるので、熱燗と最高にマッチするんだとか。生姜醤油や大葉で巻いたりしても美味しく食べられるそうですよ!

 

チーズ愛あふれる生産者たち。

CHEESE+では生産者から直接チーズを買えるので、疑問に思ったことはなんでも質問できます。生産者によってバックグラウンドや製法、こだわりは様々。驚きだったのは、70代の生産者が30代の生産者からカマンベールチーズの製造方法を学んでいたり、皆でフィードバックを出しあっていたり、ベテラン生産者が若手生産者と真っ向から向き合っていたり、と生産者同士で支え合い、切磋琢磨している様子でした。生産者同士の「距離感」も国産ならではです。

 

まずおはなしを伺ったのは、八丈島乳業の魚谷さん。

 

もともと横浜の出身で、一念発起して八丈島へ移住。一から酪農をスタートし、ジャージー牛を放牧で育てているそうです。何故八丈島なのか尋ねると「ここならいいチーズが作れる!」とその環境に惹かれたとのこと。また、マグサ(学名:八丈ススキ)をはじめ、アシタバ、カンモの蔓(サツマイモの蔓)、カリヤス(黄八丈の染料になる草)といった他の地域にない草を給与できるのも八丈島の魅力なんだそう。

 

イチオシは新作のナチュラルチーズ、ストラッチャテッラ。ブラータという巾着型のチーズの中身と同じだそうで、そのままトーストに塗ったりジャムと混ぜても美味しいそうです。

 

続いてお話ししたのは、糸島ナチュラルチーズTAKの片山さん。

 

24歳の時勤めていた会社を辞め、北海道の農場で住み込みで働くことにした片山さん。その後チーズ造りに魅力を感じ、乳製品製造者の国家資格があるデンマークへ。現地の工房で働きながらチーズについて学校で学び帰国。北海道にて新規工房の立ち上げに携わり8年勤め、5年前に独立し福岡へ。

 

夫婦2人でチーズの製造をしているため、普段はなかなか催事に出ることはないそう。「遠くで新しい人に知ってもらうのも嬉しいけど、せっかく店に足を運んでくれた地元のお客さんをがっかりさせたくない」と人と人の繋がりを大切にしている様子が伺えました。また、地元糸島で生産される醤油の絞り粕につけたチーズなど、地域に根ざしたローカルコラボにも取り組んでいます。

 

ボスケソの是本(これもと)さんは、3年前にチーズ生産者に転身。元レーシングカーのエンジニアという経歴があります。「チーズづくりにエンジニアのノウハウが活かせている」と是本さん。前職ではお客さんとの距離が遠いことが引っかかっていたそうで、チーズ製造のお互いに顔を見て話せる距離感に惹かれ転職を決意したそう。日本酒蔵の乳酸菌や地元の温泉水を使い、長野らしいチーズ作りをしています。

 

チーズの良さを伝える、さまざまなアプローチ。

どうすれば人に届くのか、さまざまな方法で企画・実践する生産者たち。全てはお客さんに自分たちのチーズの良さを伝えるためです。

しあわせチーズ工房本間さんは北海道・足寄町で昔ながらの製法でチーズを作っています。「高級レストランや機内食で提供されることも嬉しいけれど、まず地元の人に愛されるチーズになるために」と様々なイベントを同郷の生産者や料理人たちと企画しています。以前は地元の大人たちに対してのイベントをメインにしていましたが、地元を巣立つ中学3年生に焦点を変え、地元の食材を使ったフレンチのフルコースを給食として提供する企画を3年前から開始。地元の食材に誇りを持って欲しいとの思いから、生産者自らでサービスも行い、食材や地域の話を伝えています。

 

北海道・江丹別で家業を継いだ伊勢ファームの伊勢さんは、デジタルで攻めるチーズ界の異端児。ブルーチーズのみを生産しています。その理由は江丹別の気候がブルーチーズの有名な生産地フランス・オーヴェルニュと近いから。実際に1年現地へ留学し、本場のノウハウを学んだそう。非常に興味深かったのはその販促方法。「ブルーチーズ」と検索するとすべて伊勢さんのブログに飛ぶように計算されています。最近ではYoutuberデビューも果たし、世界でいちばんの村を作るという面白い取り組みも。すべての活動のきっかけとなったのは、興味を持たない人に国産チーズの良さを伝えるためなんだそう。

 

CHEESE+〇〇?

フロマジェの村瀬さんもお話ししていた、「CHEESE+日本酒」を実際に体験してきました。

 

私がいただいたのは岩手県の酉与右衛門という純米酒と老祥記のコラボ肉まんです。飲みやすく絶妙なバランスの日本酒に、チーズ+どっしりした豚肉の相性が抜群でした。他にもCHEESE+コラボグルメとして、カチョカバロという焼きチーズが入った旭屋精肉店のコロッケや、コラボ先4工房のチーズをそれぞれ存分に活かした神戸近藤亭きっしゅやのキッシュも。

ワイン、日本酒、クラフトビールのお店も5店出店し、元町商店街はお昼からチーズのいい匂いとほろ酔いのお客さんで賑わっていました。自分の手に持つチーズを見せて「これに合うのはどれ?」なんてやりとりも。まさにイベントの醍醐味です。

 

チーズ職人が教えてくれるワークショップも。

モッツァレラチーズづくりのワークショップでは大人も子供も楽しくチーズ作りを体験していました。講師はミルクファームすぎやまの杉山さん。1人で受注販売をしている杉山さんは、毎朝しぼりたての牛乳でチーズを作り、出来上がったチーズはその日のうちに発送しているそう。この新鮮さこそが国産チーズの強みの1つでもあります。そのフレッシュさを気軽に体験できる今回のワークショップはすぐに枠が埋まってしまうほど大人気でした。

レンネット(凝乳酵素)を入れて固まったチーズを見てびっくり。

成型は楽しいけど難しい!講師の杉山さんは簡単そうにモッツァレラチーズを成型していきます。

自分で作ったチーズは格別。今回チーズには一切塩を加えていないので普段のチーズとは少し違った味わいに。オリーブオイルや醤油につけていただきます。

 

国産チーズ生産者をめぐる「距離」

イベントを通してたくさんの方々と話して浮かび上がってきたキーワードは「距離」でした。


お互いに支え合い、切磋琢磨しあうチーズ生産者同士の距離。
生産者と地元、生産者とお客さん、東京と各地域の距離。
国産で、距離が近いからこそ味わえる新鮮なおいしさ。
海外からはるばるチーズを輸入すれば、フードマイレージだってバカになりません。

現状では日本の消費者とチーズ生産者の距離はまだ近いものとは言えませんが、今回のようなイベントを通して少しづつ、国産チーズの魅力が知られ、消費者の距離が縮んでいけばと思います。

国産チーズは各生産者がそれぞれの想いから、ほんとうに個性豊かに製造されているので、皆さんもきっとお気に入りの一点が見つかるはず。

この機会に国産チーズを試してみてはいかがでしょうか?

 

一つ一つ手作業で作っているので初日でほとんど売れてしまった工房も。お目当てだった宮古島チーズ工房の黄金まるは初日に完売でした。。。

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【SDGs x Local】東京ローカルを繋ぐ、多摩産材で作るSDGsバッジプロジェクト https://local-biz.jp/news/4287 Wed, 11 Dec 2019 01:27:09 +0000 https://local-biz.jp/?p=4287 2015年に国連サミットで採択された、全人類で達成を目指すグローバル目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」。これは、持続 ”不可能” な今の世界を、2030年までに ”持続可能” にしていくために出されたものです。

SDGsには、「環境」「社会」「経済」を調和させるために SDGsの指標を使い、すべての人が協力し合いながら、統合的に解決していくことが掲げられています。

この SDGsの存在を知らせるひとつのアイテムとして注目されているのが、SDGs ホイールをあしらった「SDGs バッジ」。今ではたくさんの人がつけているのを見かけるようになりました。

「これをもっと SDGs に沿った考え方で製作できないだろうか?!」 ということで、東京の豊かな自然資源と地域のパートナーシップによって製作する、多摩材SDGsバッジプロジェクトが立ち上がりました!

 

※SDGs …Sustainable Development Goalsの略。国連の出した持続可能な世界を実現するためのグローバル目標。今の世界がこのままの経済活動を続けると「持続不可能」だとわかり、さまざまなセクターに属する1,000万人を対象としたオンライン調査で意見を集め、2015年に国連全会一致で策定されたました。人口増加と資源の限界により均衡が崩れると予測されている2030年に向けて、17のゴールと169のターゲットが設定されています。

 

東京の生物多様性を守る、多摩の間伐材を使ったSDGsバッジ

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田中林業さんが管理する「遊学の森」

 

「東京は森のくに」。そう聞いて驚く人も多いのではないでしょうか?東京都には約8万ha(ヘクタール)もの森が存在しており、東京都の面積の4割は森で占められています。

 

さらに東京都の西、あきる野市や檜原村、奥多摩などの地域には、約5万3千haの森が広がっています。木材供給がしやすいとの理由から、戦後たくさん植えられたスギやヒノキ、サワラなどの針葉樹がほとんど。あまり流通しているものを見る機会が少ないかもしれませんが、都内の駅舎やホテルなど、さまざまなところで活用されています。

 

 

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木の価値を高めるために木の節が表に出ないよう「枝打ち」という作業も行われます。これは陽の光を入れるためにも行われます。枝打ちする季節は、主に早春の木の芽時頃から、紅葉の始まる晩秋頃までと言われています。

 

そもそも、なぜ間伐をするか?みなさんご存知でしょうか。

 

実は山に木が密集しすぎると陽の光が土の表面にうまく当たらず、小動物の餌となる植物たちが育ちにくくなってしまいます。

 

木を伐ることは環境に良くないと思われがちですが、森の健康を保つ上では木を伐った方がいい場合もあるのです。森の生物多様性を守るためにも、密集している木を間伐し、適度な隙間を作って陽の光を入れる作業を行います。

 

また、森の植物たちの多様性が失われると、私たちが自然と共存するために発展させてきた文化や伝統(言葉や仕事など)も失われてしまうと言われています。実際に、大正時代に35,000種あった職種が、今では18,000ほどに減ってしまったとの報告もあります。生物多様性を守ることは、私たちの暮らしを守ることに繋がっているのです。

 

 

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木材の価値を左右する年輪の幅がきれいに出るようにするには、1haあたり3,000本ほどを植えた後、陽のあたり具合を計算しながら、10〜15年の間隔で数回間伐をしています。最近では、無駄なく木を使う試みとして、枝付きや年輪の乱れも木の個性と捉え、それを生かしたものづくりも進められてきています。

森で伐られた木は、東京唯一の原木市場「多摩木材センター」に運ばれ、”競り(せり)” にかけられます。多摩産材はその証に「多」の印が刻まれ、製材所から集まったバイヤーさんたちによって色や節、年輪の幅などを参考に、それぞれ値段がつけられていきます。

 

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値段がついた木材は、山にして運ばれる場所ごとにまとめられます。今回は端境期だったので、これで少ない方だそう。多いときは、この3倍にもなるそうです。

ここでは何年もかけて大切に育てられてきた木が、1本3,000円ほどで販売されていました。果たして安いのか?高いのか?みなさんはどう思われますか?

 

環境に負荷をかけないものづくりを、ここ東京でも。資源すべてを有効活用

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値段がつけられた木材たちは、あきる野にある製材所へと移動します。ここで乾燥機にかけて乾燥させ、加工しやすいよう皮を剥いだり、形が整えられたりします。

 

円形をしている木材は、柱や家具など加工がしやすくするために四角い形に切断されます。その際に木材の端が余ってしまうので、ここで出た端材を乾燥機を動かすための燃料にしたり、ゴミ処理場のボイラー燃料にしたり、木質チップ燃料として販売したりなど工夫されています。

 

 

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乾燥機。技術の発展で自然乾燥をしていた昔と比べ、今では1週間ほどで乾燥できるようになりました。

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こちらは郵送用の緩衝材に使われます。

 

また、伐った際に出る木の粉は農場や牧場の床に敷き詰められ、馬や牛が足を痛めないようにするために使われたり、小さいな廃材は学校用教材として、都内の250校に配布したりなど、どこも余すことなく活用されています。

今回バッジに使用している木材も、製材所で出たこれらの端材を使って製作されています。

 

ひとつひとつ、人の手でつくるこだわり。障がい者の人たちの雇用創出も 

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加工された木材は、日の出町にある障がい者就労支援施設「日の出舎」に運ばれます。日の出舎は、30年以上も前から地域木材を活用した木工作業を行っており、イベントグッズ、企業や官公庁の記念品など、さまざまなものを製作してきました。

 

日の出舎は、2017年には持続可能な森林経営やトレーサビリティの整った加工・流通を証明する「SGEC認証」を取得しています。さらにここでも、出たおがくずを緩衝材やバイオ燃料に活用したり、一部はペレットとして販売しています。

 

 

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みなさんとても器用な手つきで、みるみるうちに商品が生みだされていくさまにすっかり見とれてしまいました。

 

工場の機械でもなく、大量生産でもない。日の出舎で働くみなさんの手によってひとつひとつ丁寧に作られたバッジは、木材のあたたかさも相まって、さらに愛着が増すデザインとなりました。長く大切に使いたくなるストーリーも、SDGsの「つくる責任つかう責任」に繋がりますね。

 

 

バッジを通して地域連携を実現!東京のパートナーシップでバッジづくり

このプロジェクトの発起人である高濱さんは、多摩産材を中心に地域の連携をつくりたかったと話します。

 

「山にとっては都心が、都心にとっては山が ”遠い存在” であったものが、このプロジェクトを通して ”近い存在” であることに、改めて気づくことができるのかなと思っています。

 

このバッジによってできたコミュニティが豊かになることによって、山と街と人がさらに繋がり、本来あるべき日本の、東京の、そして秋川渓谷のコミュニケーションが活性され、自然に囲まれる人々に笑顔が溢れることを願っています」

 

 

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SDGsのメッセージを伝えるだけでなく、地域を繋げ、自然と人、そして山と都心を繋げることも実現した、多摩産SDGsバッジ。

みなさんもぜひ、みなさんがいる地元のオリジナルSDGsバッジを作って、SDGsに一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

 

 

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プロジェクトリーダー:髙濱 謙一さん オフィス髙濱代表/秋川木材協同組合 事務局長
兵庫県芦屋市出身。二児の父。紙商社で企画やマーケティングを軸に新規開拓営業を長年経験。2000年に世界的にも稀有であったFSC®森林認証紙を日本に初めて紹介し、その普及に尽力。17年に早期選択定年退職制度を利用し、紙の原料である木の世界へ。林業会社役員を経て当組合事務局長就任。商社営業ワークを活用し、多摩産材の普及に邁進する。個人事業を通しても、エコツアーガイドとして多摩産材の森ツアーを多く手掛ける。

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「地元愛」を元に、ふるさと納税を「モノからコトへ」シフトする新しい潮流、「ふるセタ」始まる(PR) https://local-biz.jp/news/4170 Thu, 14 Nov 2019 07:20:25 +0000 https://local-biz.jp/?p=4170 返礼品競争が加熱するふるさと納税。日本各地で赤字団体が続出し、都市部の自治体も深刻な税収減に苦しむなど、制度自体のねじれが問題となっていますが、僕の地元、世田谷区でも、ふるさと納税者増加に伴い今年だけで約54億円の税収減(実質的減収影響額は全国2位)と大変なことに・・・。そんな現状に対し、世田谷区民と行政協働による地元を応援するプロジェクト「ふるセタ」がスタートしました。

 

「ふるセタ」特設WEBサイト
https://furuseta.com/

 

「地元愛」を元に石塚英彦さん、松尾貴史さんをはじめ、区民と行政が “チームふるセタ”として結集!

「ふるセタ」のベースにあるのは地元愛。「ふるさと納税は、我らが世田谷へ。FURUSATO IS SETEGAYA」を合言葉に、タレントの松尾貴史さん、石塚英彦さん、子育てNPO理事、会社経営者、街の銭湯、蕎麦屋、モデル、シングルマザーハウス、カフェオーナー等、世田谷5エリアに住む区民たちが「チームふるセタ」として結集。制作チームも僕を含め、アートディレクター、カメラマン、コピーライター、音楽制作もすべて有志で集まった世田谷区在住のメンバーで制作。ポスターやチラシが区内400箇所の掲示板や主要駅に掲出されている他、ウェブサイト、SNSでの情報発信などを展開しています。

ポスターやチラシが区内400箇所の掲示板や主要駅に掲出。

「ふるセタ」総集編動画

「ふるセタ」インタビュー動画・松尾貴史さん(タレント)

 

返礼品目的でよそに払うと、結局その時だけモノもらって得したような気がするかもしれないけど、回り回って世田谷に住んでいることで受ける恩恵みたいなものが、長い間かけて目減りしていってるんじゃないかな。すぐ目に見えた得ばっかり追い求めて、長い目で見ると損してしまうんじゃないかな。

柔らかい語り口で、現状のふるさと納税の問題と下町的な世田谷の魅力、支援したい文化振興について語ってくれています。

「ふるセタ」インタビュー動画・石塚英彦さん(タレント)

 

ここの空気は、まいうーですね。空気で白飯いけるくらいの(笑)

地元・世田谷で好きなところ、ふるさと納税で寄付したい子ども基金や文化振興基金、高齢化社会における介護福祉について。ふだんテレビでは見せない真面目な一面を見せながら、じっくりと語ってくれてます。

他にも、たくさんの区民の生声インタビュー動画がありますので、是非見て、考え方の合う人、見つけてみてください。

 

ふるさと納税を「モノから、コトへ」シフトする

世田谷区では「ふるさとを応援する」という制度本来の趣旨に立ち戻り、返礼品という“モノ”ではなく寄附の使い道という“コト”を大切に、自分たちの「心のふるさと」を応援する新しいふるさと納税の在り方を実践しています。
 

区役所職員もふるセタTシャツを来てラーメンショーにブースを出店。

  • 寄付金の使い道が選べる!

「ふるセタ」では、子育てや教育・介護福祉・文化芸術やスポーツなど、多岐にわたる寄付金の用途を選ぶことが可能。

  • 「ふるセタ」オリジナルTシャツ・ステッカー

寄付に参加頂いた皆様へ「ふるセタ」オリジナルグッズをお送りします。グッズを活用してご自身で「ふるセタ」の活動を広めていただくことができます。(寄付金額に応じてお送りするグッズの内容は異なります。)

  • 確定申告で税金還付・控除を受けられる!

寄付した金額は、その年の所得税より還付され、翌年度の個人住民税より控除されます。

 

「ガバメントクラウドファンディング」という、ふるさと納税の新しい潮流。

「2019年度グッドデザイン賞」を受賞した「ガバメントクラウドファンディング(R)」

「ふるセタ」では、「ガバメントクラウドファンディング」という新しいふるさと納税の仕組みを取り入れています。「ふるさとチョイス」(2019年度グッドデザイン賞受賞)のガバメントクラウドファンディングでも、返礼品としての「モノ」ではなく、全国の自治体による地元の「コト」に対する募集が多くの寄付金を集めており、ふるさと納税の新しい潮流として注目を集めています。そんな中、「ふるセタ」はふるさと納税の在り方を捉え直し、ふるさと納税本来の「自分が本当に応援したい”心のふるさと”を応援しよう!」というメッセージを社会に発信することを目指しています。

下北沢駅前に掲出された「ふるセタ」ポスター

年末にかけて全国的にふるさと納税をめぐるPRが盛んとなっていくなかで、「ほんとうに自分の応援したい町を応援できるか」、シビックプライド(市民の誇り)が問われているのではないでしょうか?

 

「ふるセタ」特設WEBサイト
https://furuseta.com/

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【日本タイダン。】第2回ゲスト 北村森さん 無類のトレンドウォッチャーがサステナブルな地方活性化に挑む https://local-biz.jp/news/4134 Tue, 12 Nov 2019 05:38:05 +0000 https://local-biz.jp/?p=4134 日本の地域を訪れ、体験や発見をつづる連載コラム「日本トコトコッ」の執筆や地域のまちづくりに関わる、スマート×都市デザイン研究所長・深谷信介が、日本の地域活性について、様々な分野のオピニオンリーダーと対談する連載コラムです。第二回は、『日経トレンディ』編集長を経て、2008年に独立され、モノづくりを通じた地域おこしのアドバイザーとして活躍されている株式会社 ものめぐり代表の北村森さんをゲストに対談します。

 

深谷 森さんと地方のお仕事を何度かご一緒させていただいて、ずっと感じていたことがあります。仕事のスタイルに「あっさり派」と「こってり派」があるとすれば、森さんはもう完全に後者ですよね(笑) 必ずその地域に深く入り込んで、熱く、濃厚にお仕事されている。さらっと、あっさり関わる人が多い中で。

 

北村 そうですね。僕はあっさりしてないです。ドロッとしてます(笑) どんな仕事でもそうですよ。商品のコラムを書くなら、ほぼ必ず責任持って自分で買って使ってみるし、地方の仕事では必ず現地にできるだけ深く入り込み、当事者になってとことんやる。それが自分の性に合っているんでしょうね。

 

深谷 今日はその辺りのお話をぜひ聞きたいと思っています。というのも、地方活性化の仕事に外部の立場から取り組むとき、現地との関わり方の「深さ」とか「濃厚さ」、「熱量」みたいなものが結構重要になってくると感じていたので。
森さんは独立されて「ものめぐり」というブランドを立ち上げ、地方活性化の分野で活躍されていますが、その前は雑誌『日経トレンディ』の名編集長として知られた存在でした。

 

北村 編集長になったのが2005年、38歳のときでした。すでに深刻化していた雑誌不況の荒波に、ひたすら抗い続けるのが僕に与えられた任務で。名編集長かどうかはわかりませんが、数ある雑誌の中で、当時『トレンディ』はV字回復で部数を伸ばすことができた数少ない存在と思う。その自負はあります。
奇をてらったことをしたわけじゃありません。日本の雑誌が売れなくなったのは、様々な環境変化ももちろんありますが、クライアント企業にばかり阿(おもね)るようになり、読者を見なくなったからだと思っています。少なくとも僕が子どもの頃に出会った雑誌には、ただ読者のことだけを考え、正しいものは正しい、駄目なものは駄目だと伝える揺るぎない編集倫理があった。そんな編集者になりたいと、子ども心に思ったものです。自分が編集長時代にやったのも、そういう編集倫理に忠実な雑誌をつくること。臆することなく、ただ本当のことを書けと部下によく言っていました。

日経トレンディ元編集長/商品ジャーナリスト/株式会社ものめぐり代表


 

深谷 今のお仕事のスタイルや理念が、当時から出来上がっていたのですね。それほど熱意を持っていた編集業をお辞めになったのは?

 

北村 まぁ、無理がたたって身体を壊したのですね。当時、長時間労働の是正と売上増が同時に求められて部下たちに負担がかかり、チーム全体が疲弊していました。悩んだ末に、僕が編み出した最良のソリューションが「24時間、常に編集長である自分が会社にいること」だった。いつでもデスクに座っていれば、進行管理もしやすいし、部下の健康状態にも目が届くし、いざとなったら自分が徹夜で手を動かせばいい。そうしてずっと働きづめにして明け方に30分だけ寝て、という生活を続けたら身体と心がパンクしてしまった。

 

深谷 そんなことがあったんですね。

 

北村 あれほど憧れていた編集者人生を、そこで辞めることになりました。
ただ不思議なもので、これが地方の仕事をするきっかけにつながっていくんですね。退職してすぐ、妻に「しばらく無職でいる。だから100万円くれ」と無理を言いました。1年間、まだ幼かった息子と二人で旅することにしたんです。寝てる間に帰って、起きる前に出ていく生活で、僕は息子が動いているところを見たことがなかった(笑) 北海道から沖縄まで、息子の記憶に残るような土地を巡りました。編集長時代、ホテル・旅館のランキング企画などをよくやっていたので、旅の勘所もわかっていました。思えば、あれがフリーになって最初の地方行脚でした。
借りた100万円を返すつもりで書いた本が無事出版され、のちにNHKでテレビドラマ化。これが編集者の自分から、新たな自分に一歩踏み出す大きな契機になりました。

 

深谷 地方と関わる道筋が見えてきたわけですね。

 

北村 そうですね。仕事柄、全国の地域産品をよく見ていました。それぞれに魅力があるけど、商品化の仕方や伝え方で損しているケースが少なくない。例えば伝統工芸の技術で単に今どきのモノをつくるようなアイディアは、僕は違うと思う。伝統工芸である必然性がないからです。逆に、歴史ある伝統工芸品でありながら、今の生活にごく普通に溶け込んでいける商品もある。その違いがどこから来るのか、面白いなと。

 

深谷 マーケットインか、プロダクトアウトか、ですね。

 

北村 その通りです。僕が直感したのは、もはや生活者にほしいものを聞くマーケットインの時代ではない。この商品はどういうものであるべきか、作り手が自ら旗を揚げることが重要だと気づきました。
誰が何と言おうがトマトジュースとはこうあるべきだとか。地方発信の金属製品とはこういう使い方ができないと駄目だとか。既存流通からさんざんダメ出しされ、仕方なく自力でネット販売してみたら、月1万個を超えるオーダーで注文が来たという例もあります。ラジオ、テレビ、新聞、雑誌など自分の媒体でそれらを伝えていたら、地方から仕事の声がかかるようになりました。

 

 

【地方活性化とは、その地域にしかない“美しい絵の具”を再発見すること】

 

深谷 今では、単なる商品紹介の枠組みを超えて、モノづくりを通じた地方活性化などに取り組んでいますよね。そんな森さんに聞きたいのが、冒頭でも話した、地域との関わり方の「深さ」や「熱量」のバランス感覚です。
地方の仕事で、浅い関わり方で短期的な成果を上げるのは、わりと簡単なんです。相当のお金と知恵をつぎ込んで地元の商品を大々的にPRして一時的に売上を倍増させるとか。でも、もともと100個しか作れないような商品で、1000個ものバックオーダーを抱えても仕方がない。それがかえって地域を疲弊させてしまう。東京の企業がグローバルビジネスで目指しているようなゴール設定や戦略設計を、地方でやっちゃいけないんです。このあたりは、外部からお客様感覚で地方創生に取り組んでいては絶対にわからないと思います。

スマート×都市デザイン研究所長 / 博報堂ブランドデザイン副代表 / 博報堂ソーシャルデザイン副代表


 

北村 同感です。僕が尊敬している地域コンサルタントであるワールドリー・デザイン代表の明石あおいさんが、同じ主旨のことをおっしゃっていました。東京から豪華な100色セットの絵の具を持っていって、地元のことを考えずに色鮮やかに塗るような地方活性化策をやっては駄目だと。そうではなくて、現地には地元の人も気づいていない美しい絵の具が必ず3つは隠れている。3色もあればいろいろな絵がかけるはず。その3色の絵の具を地元の人たちと一緒に探して、絵を描くお手伝いをする。それが優れた地方活性化コンサルタントだと思いますよと。

 

深谷 いい表現ですね。そのとき、「今は100個しか作れないけど、次は105個売れるように頑張りましょう」と、“半歩先”を目指すように促すことも地方活性化には重要だと思っています。それは地元の人だけでは難しい。外部の人が見定める必要がありますね。

 

北村 そのさじ加減が難しいし、それを見定めるのが深谷さんの取り組んでいるお仕事ですよね。そのためには、やはり地域に根ざしている必要がある。外部の目を持ちながら、当事者のような立場にいないと。

 

 

【地域のステークホルダーとどう向き合うか〜地方創生と熱量の関係】

 

北村 地方の仕事の難しさの一つは、ステークホルダーが多くて利害が複雑なこと。地元愛の熱量もベクトルもみんな違って、同じゴールになかなか向かっていけないことがありますね。

 

深谷 そうですね。地元愛のある人々が集結したとき、東京にいる私たちが予想もできないような凄いものが生まれます。ただし、それにはみんなが同じ熱量を持つことが不可欠で、それが本当に難しい。
その意味で、森さんにご協力いただいた富山市の「COMPACT DELI TOYAMA(コンパクト デリ トヤマ)」は本当に印象深いプロジェクトでした。森さんがいなければ、あれほどのものはつくれなかった。

 

北村 僕としても、非常に勉強になった案件でした。

【COMPACT DELI TOYAMA(コンパクト デリ トヤマ)】
総務省「公共施設オープン・リノベーション推進事業」の第一弾として、2016年春に開業。富山国際会議場の店舗スペースをリノベーションし、市内の名店の味を再現したデリ総菜や朝獲れ鮮魚の刺身、地酒やワインなどをデリカテッセンスタイルで提供するものだった。富山市政策参与である深谷信介と北陸博報堂がプロデュースし、店舗の企画総指揮・マーチャンダイジングを北村森氏が務めた。

 

深谷 私が富山市の政策参与に就任して2年目のことでした。富山市の中心にある国際会議場を、外部の人たちが会議や学会だけで利用するのではもったいない。ぜひ地元の人も旅行者もみんなが気軽に集まって交流できる場にしようと。そのために施設の中核に置きたかったのが、富山の食材がワンストップで体験できるデリでした。森さんには店舗のマーチャンダイジングをお願いしました。

 

北村 はい。その話を聞いて、「富山の食材を活かした料理が楽しめる」なんていう在り来たりのコンセプトを掲げたら、集客できないのは目に見えていました。そんなの、地元の人たちは絶対に来ないですから。
その場で僕が提案したのは2つ。1つは、地元民でも滅多に予約のとれない富山市の名店に協力してもらって、それらの料理人が考案したメニューが味わえる惣菜を提供すること。もう1つは、「富山と言えば魚」ですから、一線級の鮮魚店にお願いして、朝獲れ鮮魚の刺身を毎日出すことです。しかも繰り返し来てもらえるように、季節ごとにメニューを変えてもらう。

 

深谷 どれも、簡単にできることではないですね。

 

北村 秘策があったわけじゃなくて、和食、料亭、寿司、フレンチ、イタリアンと、とにかく1軒1軒のお店に何度も足を運んでオーナーに頼み込みました。「北村の頼みだから」と二つ返事で協力してくれた人もいれば、僕たちの熱意にようやく折れてくれた人もいました。みなさんの地元愛とご協力のおかげで、どうにか開店にこぎ着けたんです。当然、僕も責任があるから、運営に関わることも何でもやりました。料理人とのやり取りはもちろん、酒やグラスの注文やら、SNSでの日々の情報発信やら、店へのクレーム処理まで。誰かがやらないとプロジェクト全部が瓦解してしまう。僕がやるしかなかった。

 

深谷 地元の日本酒も数多く並びましたね。その並々でない奮闘のおかげで、見たこともないような素晴らしいデリが出来上がりました。あれは本当に感動しました。

 

北村 ありがとうございます。ただ、その後に予算などの問題が出てきて、結果的には大きな方向転換を余儀なくされました。行政を含め、じつは関係者の熱量にかなりの温度差が生まれていたのですね。僕も本意ではなかったですが、担当を外れることになりました。
自分の最大限の熱量で取り組んだからこそ、「コンパクトデリトヤマ」は大変な反響をいただきました。それは間違っていなかったと思っています。しかし、サステナブルなプロジェクトにできなかったという反省もあります。成功のために自分が無理することは必要だが、それが他人に無理を強いることになってはならない。あの失敗は本当に勉強になりました。

 

深谷 私もあの件に関しては、サステナブルなプロジェクトにするために行政サイドへのアプローチがもっと必要でした。官民連携の地方創生プロジェクトこそ、行政が最もよいかたちで下支えしていくべきでしょう。これは広告会社の一員としてというより、政策参与としての自分の反省でもあります。

 

北村 ステークホルダーの多い地方の官民連携プロジェクトでは、誰が上とか下とかではなく、どれだけ目線を揃えて粘り強く説得していけるかが特に求められますね。地方創生では「発想力」より「説得力」が大事だというのが僕の考えです。

 

 

【「トレンド」と「サステナブル」が同居する地方のモノづくりの魅力】

 

深谷 ところで『日経トレンディ』と言えば、まさに「トレンド」を追いかけているイメージがあります。そんな森さんが今は「サステナブル」な地方創生をやろうとしている。トレンドとサステナブル。一見矛盾するような言葉ですが、この2つをどう捉えていますか?

 

北村 地方でも、安易な意味でのトレンドはいろいろありますよね。「B級グルメ」や「ゆるキャラ」はその最たる例でしょう。「B級グルメ」の宣伝に予算を投じたって、本当の意味での地域のブランド力や集客力が高まるわけじゃない。惑わされてはいけない。
その一方で、日本に新たなトレンドを生み出すような斬新な商品は、着実に地方から生まれています。僕がコラムを書くとき、かつては大手企業の商品を取り上げることが圧倒的に多かったのですけど、最近は地方事業者の商品を取り上げることが増えている。
ちなみに最近一番感銘を受けたのは、山口県・油谷湾(ゆやわん)の「百姓の塩」。天然塩は本来、季節ごとに味が違うというんです。在庫リスクがあるから誰もやらないが、それを日本で初めて商品化したのがこの「百姓の塩」なのだと。一般の消費者も作り手も諦めていた分野に、圧倒的な熱量で挑戦する事業者が地方にたくさんあります。
彼らは新しいトレンドを生んでいる意識はないんですよね。事業規模が小さいから、むしろ商品のライフルサイクルをできるだけ長く、サステナブルなものにしたいと考えている。大企業がスケールメリットを使って短期的なトレンドを目指すのとはまったく違う発想です。

 

深谷 なるほど。「サステナブル」と「トレンド」が同居しているところに、地方発信のモノづくりの魅力があるわけですね。
2019年、2020年と世界規模のスポーツイベントが続き、これは地方にとっても追い風ではあります。地方活性化の今後をどう見ていますか?

 

北村 トレンド予測風にいえば、2019年は今の追い風をどう活かせるかが地方に問われる1年になると思います。アジアからの訪日客が増えるから外国語表示を多言語に増やした方がいいかとよく聞かれますが、そこは本質じゃない。初めてフランスに行ってお寿司屋を探す日本人は、まずいないでしょう。フランス料理が食べたいんです。それと同じで、日本の価値をどれだけ正しく伝えられるかということ。変に洗練されたものではなく、その地にしっかり根ざしたもの。それを理解したモノづくりやサービス構築が地域に問われていく。2020年にはすべて終わっているので、たぶん今年で勝敗が分かれるはずです。

 

深谷 森さんもおっしゃった通り、あえて差異化をつくろうとしなくても、その地域ごとに差はすでにあるんですよね。そして、その差が魅力的だから、わざわざ日本に海外から3000万人もの人々が来ている。
おそらく、これからの日本は「観光」というものを、サービス業の一角として捉えるのではなく、日本の価値を適切に発信する活動として再定義すべきだと僕は思うんです。観光業を他の産業と並列させるのではなく、一次産業・二次産業・三次産業を包括的につなぐ産業だと考えると、見え方が違ってくるでしょう。

 

北村 なるほど。その役割を果たせる企業は限られてきますね。

 

深谷 そうなんです。おそらく森さんのような地域のプロフェッショナルか、コンサルティング会社か、手前味噌ですが博報堂のような広告会社なのではないかと。「広告と地方創生」というと狭い意味に見えますが、もっと大きな可能性があると考えています。観光目線というと、例えば、商品パッケージとかPRとか多言語対応とか、いわゆる周辺環境整備にヒト・モノ・カネ・トキが使われているのをよく目にします。もちろん、それも大切なのですが、かゆいところに手が届かないというか・・・ やっぱりモノやサービスがどれだけ素晴らしいか?ここにさらなる磨きをかけていくことに注力することが、地域内外での相乗効果を生む原動力になる、そんな気がしてならないんです。

 

北村 その通りですよね。我々は外部目線を大切にしながら、今後も地域のひとびとをこってりとした熱量でつなげていきたいと思います。大いに期待しています。

 

深谷 わたしは若干薄味ですが、森さんの熱量をいただけて嬉しい限りです。本日はありがとうございました。

 

 

対談を終えて | 博報堂 深谷信介

振り返ってみたかった。
汗をかき、1つのブロジェクトに花が咲き、予期せぬカタチで終焉する。
実は地域に本当によくある話。
これを、共に公に振り返る。
これこそが、横展開すべき価値ある営み。
過ぎた時間軸の下、地域に通う回遊魚的生き様を伺ってみたかった。

強面で、髪型がユニークで、発言がストレート。
繊細で、にくい心遣いをされ、相手のことばかり考えている。
そんな森さんは、あっという間に場をつくってしまう。
ぶつかり稽古のように正面から向き合う、ガチな熱量高き対談の場を。

マーケティングは一回転してプロダクトアウトに。
特に地域は、モノ・コト・トキ磨きに熱量持って、ただひたすら邁進すべし。
いつからか、こんな実感値を身につけはじめている私に、
大いに勇気づけてくださった森さんの、徹底した現場感・実地感。

芯ある元敏腕編集長の、地域を紡ぐ多角的行動力に脱帽しつつ、
また一緒に何か必ずできるという確信を、
寒さ厳しい東京のオフィスビルの中で熱量高く感じていました。

北村森さん、ほんとうにありがとうございました。また、やりましょう!

 

 
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【ふろカル #04】15秒をめぐる冒険。 https://local-biz.jp/news/4145 Mon, 21 Oct 2019 09:11:34 +0000 https://local-biz.jp/?p=4145  

何だかよく知らない世界で、暮らしてます。

 ふだん僕たちは、知らない世界に囲まれて生きている。たとえば僕は、電話がどういう仕組みでつながるのかを知らないし、毎日のニュースで伝えられる株価の上下が自分の生活とどんなつながりを持つのか、よく知らない。きのう食べたおでんの昆布がどこからやって来たかも知らないし、来週乗る予定のヒコーキが、どんな原理で浮き上がるのかも知らない。とにかく、気づくかどうかはさておき、僕らは知らない世界の住人であるのだ。

 

15秒CMの世界をのぞいてみる。

 で、今回のふろカル。知らない世界をちょっとだけのぞいてみた。CM制作の現場だ。

お集まり頂いたのは、北海道で活躍する4人のCMディレクター。株式会社モーニングの

桜田威寿監督、株式会社ブロンソンの長尾多佳紀監督、株式会社まちのおとの橋本晋也監督、そして大学講師もつとめる早川渉監督。

4人はふだん、道内企業のCMを中心に、イベントのプロモーションムービーや番組のオープニングムービーなど、様々な映像作品を手掛けている。

 実は当日に向けて、進めていたことがあった。会場である福の湯さんのCMをつくること。せっかく監督が4名も集まるので、話すだけではもったいない!ということで、実際にCMをつくることにしたのだ。ただ、条件をひとつだけ設けた。撮影はスマートフォンのカメラのみ。実際のCM現場で使用するプロ向けの機材は一切使わず、ふだん誰もが使っているスマホだけでCMをつくろう、という条件。映像の内容や演出方法は完全に自由。4人の監督にお任せした。

 

撮影快調。入浴シーンも。

 撮影当日。現場である福の湯に現れたのは、3名の監督。長尾監督は、撮影をせずに、モーショングラフィックスのみで映像をつくるということだった。早くもテーマに対するアプローチの違いがはっきりと浮かび上がった。

 

橋本監督は、ご家族をキャストに活用して、なごやかに撮影を進行。撮影日にはすでにオリジナルのCMソングが出来上がっていた。

 

桜田監督は、男性キャストを起用。札幌フィルムコミッションにエキストラ登録している方に、ご協力を頂いた。脱衣所や浴槽、そして近所など、様々な場所でテンポよく撮影を進めていた。

早川監督は、何の迷いもなく服を脱ぎ、スマホを片手に浴槽にもぐっていった。

 

完成!福の湯CM。

 さて、ふろカル当日。4者4様のCM作品が披露された。実際に見て頂けると、話は早い。

実際に北海道のCMの現場で活躍する4人の監督が、手持ちの少ないリソースを活用しながら、それぞれの個性を発揮したCMが出来上がりました。

 

 

■桜田威寿監督の作品「福」篇。

キャストは、札幌フィルムコミッションにご協力頂き、エキストラの方が参加!

 

■長尾多佳紀監督の作品「N43の幸福」篇

撮影は一切なし。昔ながらの銭湯が、新しい顔つきに。

 

■橋本晋也監督の作品「Do 湯 know 福の湯?」

音楽が素敵。親類一同の堂々とした演技にも注目!

レギュラー編

イベント編

 

■早川渉監督の作品「福の湯でふろカル」篇

何の迷いもなく、ご自身が入浴されてました。笑

 

知らない世界を、近所で学ぶ。

話は冒頭に戻る。僕らが「知ってる世界」というのは、本当にごくごく小さいものでしかない。

知識だって経験だって、個人の範囲で考えるならば、限りがある。だからこそ、それをもっと共有できたらな、と思う。よく知ってる近所で、ちょっと離れた世界のことを知る入口に、ふろカルがなれたらいいな、と思ったりしています。

次回は12月に開催予定。どんな世界の入口にしようか、鋭意企画中です。

 

筆者:北海道博報堂 滝田陽介

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餃子都市まで作ってしまった、ものづくりの街(PR) https://local-biz.jp/news/4114 Tue, 08 Oct 2019 10:26:44 +0000 https://local-biz.jp/?p=4114 浜松はいかにして日本一の餃子の街になったか

 

毎年話題になる全国餃子消費量ランキング、2018年は浜松がナンバーワンの座に輝きました。餃子専門店やスーパーなどのお持ち帰り餃子の1世帯当たりの購入額が3,501円と全国一(出典:総務省「平成30年家計調査」)。どこの家庭も近所にご贔屓餃子店を持っているのが普通という餃子都市が、どうやって生まれ、そしてどこへ行こうとしているのか、探ってみました。

人気餃子店「浜太郎」の餃子。円形の盛り付けの真ん中にゆでもやし、まさに王道です。

 

浜松餃子は何個でもいける

 

浜松餃子といえば、円形に並べられた餃子の中央にゆでもやしを乗せるスタイルが有名ですが、浜松じゅうのお店がそうしているわけではありません。何しろ「浜松餃子」とまとめて呼ばれるようになるずっと前から、地元に点在する餃子専門店がそれぞれに自慢の味を追求していましたから。

戦後、中国からの復員兵が餃子の技術を持ち帰ったのが、現在に続く浜松餃子文化の起こりといわれ、にんにくを入れたのは浜松が発祥という説もあります。材料も製法も特別な決まりごとはなく、お店ごとにこだわりの味を磨いていますが、地元で盛んに作られているキャベツをたっぷり入れるお店が多く、肉より野菜が多め。あっさりした味わいで、20個30個50個、一人でペロリといけてしまいます。

「浜太郎」を運営する株式会社ユーエスフーズの請井広美専務。夫・請井正社長と共に、浜松餃子のおいしさと餃子ビジネスの魅力を発信しています。結婚して浜松に来たばかりの頃、冷凍ではなく焼いた餃子が普通のスーパーに並んでいる餃子文化に驚いたといいます。

 

機械メーカーの研究魂が作った究極餃子

個性豊かな餃子専門店の中でも王道といえるお店が「浜太郎」。数々の餃子コンテストでグランプリを受賞している人気店です。どっさりのキャベツと玉ねぎに、朝挽きたての銘柄ポーク「浜名湖そだち」、香りのやわらかいにんにくまで、材料は全て国産素材。ガッツリと脂ぎった肉食派餃子と違って、するするお箸が進む安定のおいしさが、老若男女に愛されています。

名店揃いの浜松餃子界で、オープンからわずか10年のうちに人気店に成長したおいしさの秘密は、社長の餃子食べ歩き。社長自ら全国のありとあらゆる餃子を研究して作った、究極の味なのです。

実は、「浜太郎」の母体は東亜工業株式会社という餃子製造機メーカー。「創業時はオートバイのマフラーを作っている会社でした」と、「浜太郎」を切り盛りする請井広美専務は話します。「今から45年ほど前、創業者の先代社長が、ラーメン屋さんの大将から『餃子を握るのが大変で』という話を聞いたのが、餃子製造機づくりの発端と聞いています」。オートバイのマフラーは専用の金型を作ってプレスして作るものですが、それと同じ要領で餃子を包む機械ができるのではと先代社長は研究を重ね、他に類を見ないマシンを生み出しました。

同社の最上位モデル「全自動餃子製造機TX-16」は1時間に最大1万個の餃子を包むことができる、マザー・オブ・餃子。ぱくぱくと何個でも食べられてしまう浜松餃子の量産を力強く支えています。さらに、お店の片隅に置ける小型餃子製造機「餃子革命」も開発、1時間に最大1,500個の餃子を包める高性能で、浜松のみならず全国の餃子店に導入されています。

「浜太郎餃子センター」(浜松市北区細江町)の工場中央に鎮座する全自動餃子製造機。

生餃子が秒の速さで次々出てくるのが見ていても楽しい、小型餃子製造機「餃子革命」。

「浜太郎」定番の赤餃子・白餃子の他にも、数々の変わり餃子が話題に。また新たにJR浜松駅前に居酒屋スタイルのお店をオープンさせ、市外から来る人々に浜松餃子の街をアピールしています。

 

 

 

浜松、世界の餃子首都へ

 

餃子製造機の心臓部ともいえるのが金型。お店によって金型の形や大きさを変えることで、その店の味が自在にできます。そのため金型だけは完全オーダーメイドなのだとか。「2017年にオープンした3号店『浜太郎餃子センター』は、この餃子製造機をアピールするアンテナショップのような役割もあります」と請井専務。この餃子製造機や、成功している「浜太郎」の餃子ビジネスを見学に、国内はもちろんアメリカ・カナダ・ベルギーなど世界中から視察者が浜松に集まってきます。そうした人々にノウハウを惜しみなく公開することで、餃子文化を広く世界へ浸透させていくのが、請井専務たちの願いです。「中国の餃子は英語でdumplingsと呼ばれますが、日本の餃子はもうGyozaで通用しますよね。寿司、天ぷらに次ぐ和食として世界に浸透しています。その文化を広めていけたら」

昔からものづくりが盛んだった浜松。家族も共稼ぎで働くことが多く、手軽にお持ち帰りできる餃子は人々に重宝がられてきました。地元に根づいた餃子文化が、やがて餃子マシンや人気餃子店を生み、繁盛店のビジネスモデルが世界に輸出されていく。ものづくりの街はそうやって、世界のGyozaも作っているのでした。

 

画像はイメージです

 

「浜太郎」以外にも多彩な浜松餃子がふるさと納税で食べ比べできます!

浜松市「ふるさと納税」公式情報サイト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【ふろカル #03】わくわくふくらむしゃぼん玉 https://local-biz.jp/news/4091 Tue, 17 Sep 2019 07:19:18 +0000 https://local-biz.jp/?p=4091  

誰もが過去に一度は遊んだことがあるであろう、しゃぼん玉。

子どものころから慣れ親しんでいるはずの身近な存在だが、その実態に迫ってみると、意外にも奥深い。

 

未知なる魅力を存分に秘めたしゃぼん玉について語ってくれたのが、今回の講師であるかとうたつひこさんだ。

 

 

普段はクリエイターとして、OHP(over head projecter)や絵の具等を使い

ライブにおける映像演出を中心に活動しているかとうさん。

現在は、様々なイベントや公園でのデモンストレーションなど、

場所を選ばないスタイルで幅広く活躍している。

 

わくわく、ふくらむ。

 

第3回目のふろカルは、8月3日(土)。

前回に引き続き、札幌市新琴似福の湯さんで開催しました。

今回は、小学生以下の子どもを主な対象とした、夏休み特別企画。

「わくわくふくらむしゃぼん玉」と銘打ち、親子を中心に参加を募りました。

 

夏の真っ盛り、晴天に恵まれた当日。

講義はかとうさんの自己紹介からスタートしました。

 

 

かとうさんがしゃぼん玉に興味を持ったきっかけは、

仕事で「しゃぼん玉の映像素材がほしい」というオーダーを受けたことだった。

試行錯誤を重ね、巨大なしゃぼん玉をつくって映像を撮影した際に、

虹色に煌めく球体の美しさに強く惹かれたかとうさん。

文字通り変幻自在に色や形を変えるしゃぼん玉にだんだん夢中になり、映像作品の制作をはじめたという。

 

実際に撮影した映像も見せていただいた。幻想的で綺麗!

 

 

講義の中でのかとうさんのお話からは、意外な事実が次から次へと飛び出してくる。

例えば、しゃぼん玉の起源。なんと四千年も前、古代バビロニア時代にまで遡るという。

遥か昔から存在していたしゃぼん玉は、人間の目で視認できる最も薄い物体。

そのしゃぼん膜のわずかな厚みの違いが、光の屈折を起こすことによって、色彩が変化するのだそう。

 

子どもの遊びのひとつでしかなかったしゃぼん玉が、歴史や化学の話にまでふくらんでいく。

様々な視点から語られるしゃぼん玉に対し、会場からは驚きの声が何度もあがった。

 

 

ここで、大きなしゃぼん玉をつくるためのキットを配布。

実際に道具をその場で工作してみることに!

材料は、一本のひもと二本の棒、それらを留める金具の三種。

 

 

出来上がりはこんな感じ。とてもシンプルな構造です。

 

 

講義はここまで。

しめくくりはおなじみ、福の湯の小西さんから銭湯の正しい入り方講座。

 

 

では、ふろカル恒例、みんなでいちばん風呂……というのがこれまでの流れでしたが。

 

今回は、夏休み特別企画として体験学習も実施!

会場である福の湯さんの近所にある新琴似安春公園へと赴き、

実際に大きなしゃぼん玉を飛ばすという試みも行いました。

 

 

作ったばかりのキットを用いて、いざチャレンジ!

お手本として、まずはかとうさんが実践。

 

 

ひもをしゃぼん液に浸してゆっくり広げ、しゃぼん玉の膜をつくる。

すると、風を受けたそれが大きく膨んで、宙へと放たれていく仕組みになっている。

 

 

本当にできた!

自分の身体より大きなしゃぼん玉ができる様は、圧巻の一言。

 

 

繊細な美しさをもちながら迫力も伴ったしゃぼん玉の姿に、

子どもたちだけでなく大人までもが感嘆の声を上げた。

 

 

しゃぼん玉で、人の輪をふくらませたい。

 

 

かとうさんは講義の最後にこう語ってくれた。

「空にしゃぼん玉がたくさん漂っていて、それを綺麗だねって一緒に見上げる人たちがいる。

そんな景色を見た時に、すごく平和だなって思ったんです。

これからも、人と人との輪を大切にしながら、活動を通してしゃぼん玉の魅力を伝えていきたい」。

 

好奇心を膨らませてくれるだけでなく、人とのつながりもひろげてくれる。

奥深いしゃぼん玉の魅力から、まだまだ目が離せません。

 

 

公園から帰った後は、今度こそいちばん風呂に!

体験学習でかいた汗をしっかり流しました。

 

 

あとがき。

 

おかげさまで、無事3回目を終えることができたふろカル。

今回は、フィールドワークという新たな試みにも挑戦しました。

まだまだ発展途上のささやかな活動ではありますが、

小さなことからひとつずつ、丁寧に。

銭湯というあたたかな場所を起点として、

地域のコミュニティをふくらませていこうと思います。

次回は「映像」をテーマに10月上旬に開催を予定。

どうぞご期待ください。

 

 

ふろカルの詳細は特設サイト、最新情報は公式SNSをご覧ください。

http://www.fulocal.net

※公式SNSのリンクは特設サイト内

 

 

筆者:北海道博報堂 桂 明友美

 

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【HOKKAIDO GOOD vol.4】「人の交流拠点をつくりたい」ゲストハウスwaya https://local-biz.jp/news/4057 Thu, 05 Sep 2019 11:46:57 +0000 https://local-biz.jp/?p=4057 訪日外国人観光客の増加によって、日本の観光業の注目度は飛躍的に高まり、東京や京都、大阪、札幌など都市部や有名観光地でよく目にするようになったゲストハウス。

 

ここは札幌、豊平川近くに位置するゲストハウス「waya」。この他にも複数の事業を経営している木村高志さん(共同経営:柴田涼平さん・河嶋峻さん)に、“一人旅するなら1000円以下のゲストハウス“が基本方針の北海道博報堂の藤山が、地方発のローカルビジネスをテーマにお話を伺いました。

 

札幌、豊平川近くに位置するゲストハウス「waya」他、複数の事業を経営している木村高志さん


寮生活で芽生えたゲストハウスへの想い

木村さん(以下:木村):今は北海道を基点に事業を行っていますが、元々は埼玉県川口の出身なんです。とある東京の高校に入学し、寮生活を3年間経験しました。思えば、その頃の共同生活が“シェア(共有)”という概念が大切にされるゲストハウスにも活きている気がします。

 

藤山:当時の寮生活で、厳しかったなあ……と思うことはありますか?

 

木村:それが、不思議となくって。

寮生の8割が帰国子女という環境の中で、様々なバックグラウンドをもった人たちと話す耐性が自然と身についたんだと思います。

そして大学生となり、最初はきちんと就職しようと考えていて……どうしても、最後には既存のレールから外れてしまうんですよね。

「こっちのほうが面白そうだから」と思っちゃったり、自分が心からワクワクする方を選ぶようにはしています。多様な価値観を知ることができる環境にいたおかげで、チャレンジ精神も養われたのかもしれませんね。

 

 

事業は後、先に場所と人がある。

藤山:「札幌 ゲストハウス」で調べると、wayaや雪結(ゆゆ)の公式サイトが上位表示されますよね。

 

木村:今回もそうですが、大きなメディアさんに取り上げてもらうようになって、やっと(上位表示されるようになった)という感じですね。可能であれば、今回もwayaや雪結のリンクを掲載していただけるとありがたいんですが(笑)

 

藤山:それはお約束します(笑)。いま新たなゲストハウスのやり方を考えているんですよね?

 

木村:そうです。ここ最近は、ずっと小樽へ行っていて。

今年の2月にクラフトビアバー併設のゲストハウスをオープンしました。

 

▼小樽市のゲストハウス OTARU TAP ROOM

木村:

元々僕らのやり方は、ゲストハウスを運営する計画があり、土地を探し「ゲストハウス◯◯」と名前をつけて、事業をスタートすることが多かったんですよね。

ただ、小樽のゲストハウスに関しては、すでにハコ(スペース)がある状態で。

 

「小樽でやってみよう!」と思った時に、僕らだけで進めてしまうと、地方発のローカルビジネスとして何かが違うな、という感覚があったんです。そこで、知り合いに声をかけて、お店もやってもらうことにしました。

 

最初から「こういう枠組みで事業をする!」と決めているのではなく、場所やハコが先にあって、そこに合わせていくという。だから地元の人と一緒につくっていきたい、という気持ちが強いです。

その時に人や場所に合わせて、名前や宿のコンセプトも変えていきたい。と思いました。

 

 

「人の交流拠点をつくりたい」

木村:共に起業した河嶋・柴田は元々高校時代の親友同士で、そこに僕が加わり、3人の共同経営という形になりました。最初は、東京で起業しようと考えていたんですよね。ギリギリまで札幌に移ることは考えていなくて。Webサービスを立ち上げて起業している同期が多かったので、僕たちもそれに続こうと思っていました。結果、誰もプログラミングができる人間がいなかったので、上手くいかなかったんですけど。

 

それから試行錯誤を繰り返したんですが、最終的に上手くいったのが、2013年8月にスタートさせた「同級生を北海道に呼んで旅行してもらう」という事業だったんです。河嶋の地元である別海町を舞台に、”みんな、僕の地元「北海道 別海町」に来ませんか?”と銘打ったプロジェクトでした。

 

▼別海町:酪農が盛んな人口1.5万人の道東のマチ。人口よりも牛の数が多い。

木村:河嶋としても、年々、地元の別海町から若者が減っている現状に対して、どうにかしたいという想いがあったんです。やってみた結果、めちゃくちゃ面白くって。

 

藤山:プロジェクトの視点がいいよね。人の数より牛の数が多い別海町は、道外の人がイメージする壮大な景色・緑が広がる北海道にばっちり当てはまる。札幌ではなく別海町を選んで、掛け合わせた点が希少価値になったんだろうね

 

木村:こういう、人の交流拠点をつくるような取り組みをやっていきたいよね、という話になり……着地したのが、現在のゲストハウス運営です。

 

既存サービスの掛け合わせたほうが、新しいものをつくれる

藤山:ゲストハウス運営に行き着く前に、他にもどんな事業にも挑戦したのでしょうか?

 

木村:たくさん手を出しました。「様々な人が集まるプラットフォームをつくりたい」という想いを主軸に、地域特化のクラウドファンディングをつくったりとか。

あとは、掃除を面倒がる学生のために、主婦の方を派遣するサービスを考案したり。

 

ただ、途中で気がついたことがありました。

 

僕たちがやったこと、もしくはやろうとしてきたことって、既に誰かがやっていることなんですよね。

 

起業はイノベーションでなくてはならない、という固定概念があったんですが、既存サービスの掛け合わせという観点からみたほうが、新しいものをつくれると思いました。

 

藤山:やってみて、気づいたことが今のやり方の土台になっているわけですね。

 

3人で乗り越えてきた大小の壁

藤山:今までで一番大きな失敗談って、何かありますか?

 

木村:失敗談といいますか、3人でやっている範囲であれば上手くいっていたことも、だんだん事業範囲が拡大していって、従業員を雇用するようなフェーズに入ってきた時に、いろいろと大変なことはありましたね……。

具体的にいうと、給与面や有給手続きだったりとか。サービスの立ち上げはできても、経営に関してはまるでド素人な3人が集まってしまったので。

 

藤山:3人の中での役割分担はあるんでしょうか?

 

木村:僕が、新しい新規店舗の出店。河嶋が、中立的な立場で様々な調整を。そして、柴田が現場業務や経理など、ですね。

 

 

自信をもって、自分を「良し」とできるか

藤山:単刀直入にききます。今の自分は、総合的にみて「良し」ですか?

 

木村:はい、「良し」ですね。今はすべてを自分で選択できる状況にあるんです。住む場所も、働き方も、ともに働く人も、一日の時間の使い方も。

誰かに言われて何かをやる、ということ自体が、きっと僕には合わなくて。だからこそ、今のこの状況が一番合っているんだと思うんですよね。

極力、自分で選択して自分で遂行できる環境がいい。それを実践できている現状は、自分からみてもベストなんじゃないかな、と。

 

けど、今の自分の考えも、いつかは変わっちゃうものなんだと思うんです。やりたいことだって、時間の経過とともに変わる可能性がある。だから僕は、あまり先のことは決めすぎないようにしています。

 

その瞬間、やりたいことを全力でやる。

 

そんな自分で居続けることが、僕にとって一番生きやすいんだと思うから。

 

 

▼最後に記念撮影

 

【取材を終えて】

多様な価値観を受け入れ、周囲を巻き込み、推進すること。木村さんにとってのチャレンジは、ごく自然で楽しみに満ちているものだと感じました。その原動力になっているものが”人”。これからも新しい事業を始めると思いますが、その中心に人があることは変わらないでしょう。

 

 

 

STAYLINKの事業紹介)

札幌市豊平区のゲストハウス waya&annex

https://www.waya-gh.com

 

札幌市中央区のゲストハウス 「雪結(ゆゆ)」

http://yuyu-gh.com

 

小樽市のゲストハウス OTARU TAP ROOM

https://otaru-taproom.com

 

ゲストハウス「雪結(ゆゆ)」を活用した学童保育 アドベンチャークラブ

http://adventureclubsapporo.com/home/

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日本トコトコッ/ はじまります #1 金持(という名の・・・) https://local-biz.jp/news/3899 Mon, 19 Aug 2019 01:00:43 +0000 https://local-biz.jp/?p=3899

ここんところあちこち出張しているみたいだし、いろいろな体験や発見があるだろう〜 ちょっと書いてみてくれないか?

 

そんなビックリするような、でも何気ないお誘いから、数ヶ月。ほんわか愉しい企画会議を経て、コラム「日本トコトコッ(にっぽんとことこっ)」が本日よりはじまります。地域の話題を柔らかく、ゆるっとホッとできるようなコラムに仕立てていきます。

 

課題先進国にっぽんの「真の最先端」は、地域であり ひとつひとつの集落だと思うのです。そこにある難課題を解決に導き出せれば、必ずや次の日本を生み出す原動力となる、次の世界を導く礎となる。そんな随分と遠い果てを思いながら、日々 てくてく とことこ よちよち歩きで地域を巡る出張紀行。

 

七転び八起き、三歩進んで二歩後退、を繰り返しながら、そのまちにピッタリのあしたをみつめながら、ゆっくりじっくりしっかりと、足でからだでまちとシンクロしていきたい。

日本トコトコッ(にっぽんとことこっ)はじまりはじまり、どうぞよろしくお願いいたします。

 

#1 金持(という名の・・・)

地域は、ほんとうに宝の山。
ビックデータに格納されないアナログな資産が、静かに確かに眠っています。

 

人口3,300人、山あいの小さな小さなまち日野町は、いまから100年ほど前まで日本中を牽引していた、賑わい豊かなところでした。

 

たたら製鉄ってご存知ですか?
古来から独自の製鉄技術(和鉄)を磨いてきた日本は、伯耆(ほうき)・出雲(いずも)の国<中国地方>を中心に鉄づくりのまちとして繁栄を極めました。日々のくらしを支える農機具を作る鉄から日本刀製作にかかせない玉鋼(たまはがね)まで、あらゆる鉄の原材料を生産加工し、日本中そして世界を支えてきた、そんな地域です。この鉄があったからこそ、野良仕事は格段にラクに効率的になり米や野菜などの収穫高があがり、荒れた大地を丘陵の斜面を、田畑に広げていくことができたのです。

 

村下(むらげ)と呼ばれる鉄づくり技術者の長の下、山から砂鉄を掘り、木を切り木炭をつくり、三日三晩火を起こし、眠るコトなく鉄をつくる。
数メートルにもたち昇る火を扱う鉄づくりは、危険と背中合わせのまさに超重労働。火加減1つでできあがる鉄の良し悪しが決まる厳しい作業です。
鉄づくりで日本を支えてきた、今風にいえば企業城下町といったところですね?
そんなしごとを見守っていただくために、たたら場を守る神様を祀る神社がかならずありました。

金持神社(鳥取県日野町)

それがこの金持神社。
天之常立尊(あめのとこたちのみこと)を御祭神とする全国でも数少ない神社。国土経営、開運、国造りの神様をお祀りしています。
「かもちじんじゃ」と読みます、「かねもちじんじゃ」じゃありませんよ。
鉄のことを当時は かね(金)と呼んでいたのです。
10年ほど前から、このまちの資産をゆっくりじっくりしっかりと魅力に変えていった方々がいらっしゃいました。
神社札所(売店)には、とてもユニークなここでしか購入できない開運・金運祈願のお土産が多数並んでいて、
中国地方・関西地方を中心に開運・金運祈願に訪れるひとが絶えません。

金持神社札所(鳥取県日野町)

そのひとつが、これっ。

金持神社・名刺入れ

お会いする方々とその方の所属する団体・企業の繁栄をお祈りしながら、名刺交換をさせていただいております。

 

どなたも、この名刺入れを見てものすごくびっくりされますが(親愛なる同期から「金の亡者か?」という第一印象をもらいましたが・・・笑)わたしはこの大判小判を模したこの意匠がとても気に入っています。

 

金持神社(もう読めますね、かもちじんじゃです) 参拝者がついに年間30万人に迫ってきています。 まちの人口の100倍のひとたちが訪れる神社、現在、産業の乏しいこのまちがミライに続いていけるように思慮を重ねて動いていきたいと思っています。 温かいまちのひとに囲まれて このまちにしかない豊かな資産をかけがえのない魅力に磨いていく、その扉も開いてくださる大切な神社です。

 

時は金なり
読み手のみなさまの開運・金運も祈願させていただきながら、にっぽんトコトコ・第一回は 金持神社(かもちじんじゃ)@鳥取県日野郡日野町 でした。

鳥取県日野町

次回は、75の島 です

*たたら製鉄の話は、別の機会に詳しくおつたえしたいと思います
*写真①②④:鳥取県日野町役場にご提供いただきました

このエッセイは 2016年11月1日 株 博報堂hpに掲載されたものを転載しています

日本トコトコッ
トコトコカウンター:ただいま60トコトコッ

*トコトコカウンター:今年4月より訪れた場所ののべ数

金持神社

住所:〒689-4512 鳥取県日野郡日野町金持1490(金持神社札所)
アクセス:JR伯備線根雨駅下車3.5km〜タクシーで約7分
URL:http://kanemochi-jinja.net/

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